2017ロイヤル・アスコット2日目

ロイヤル・アスコットの2日目、6月21日も気温が30度越えの熱さで、コースは散水を施しても good to firm と高速馬場が続いていました。
2日目も初日と同じパターン、第1レースから第4レースまでがG戦で、残りはハンデ戦とリステッド戦と言う番組です。第1レースから取り上げていきましょう。

2日目の皮切りはジャージー・ステークス Jersey S (GⅢ、3歳、7ハロン)。去年は初日にクイーン・アンに勝ったリブチェスター Ribchester が制したレース、20頭と頭数が揃いましたが、ここはフランスから遠征してきたル・ブリヴィド Le Brivido が2対1の1番人気。仏2000ギニーでゴール寸前短頭差ブラムトー Bramtot に交わされ、陣営は1マイルが少し長いのではと判断して7ハロンに回ってきました。
アスコットの直線コースで行われる多頭数レースは、枠順の小さいスタンドから遠いグループと、枠順の大きい(日本で言う外枠)スタンド側グループの二手に分かれるのが常。このレースもスタンドから遠い中央部分を4番人気(12対1)のムーア騎乗ホワイトクリフスオブドーヴァー Whitecliffsofdover が逃げ、スタンド側は11番人気(25対1)でゴドルフィンのパルフェ Parfait が逃げます。
スタンド側の2番手を進んだオブライエン厩舎で15番人気(66対1)のスピリット・オブ・ヴァラー Spirit of Valour が抜け出して一旦は先頭に立ちましたが、これをマークするように進んでいた本命ル・ブリヴィドが捉え、スピリット・オブ・ヴァラーに首差で人気に応えました。これもスタンド側の後方を追走していた7番人気(20対1)のムブタシム Mubtasim が2馬身4分の1差の3着。

勝ったル・ブリヴィドはアンドレ・ファーブル厩舎、これがロイヤル・アスコット初勝利となるピエール=シャルル・ブードー騎乗で、シャンティーで2連勝して臨んだ仏2000ギニーが2着。未だ4戦目、G戦は初勝利ながらGⅠ戦に勝ってもおかしくない戦績です。ファーブル師は前走と今回のレース内容から1マイルにも自信を深めたようで、次走はドーヴィルのジャック・ル・マロワ賞になりそうです。

続いても多頭数となったクイーン・メアリー・ステークス Queen Mary S (GⅡ、2歳牝、5ハロン)。1頭の取り消しが出ても23頭立てで、こうなると人気の何頭かは除いて残りは25対1、33対1、66対1、100対1など大雑把なオッズに何頭もが犇めくことになります。
一昨年はアカプルコ Acapulco 、去年はレーディー・オーレリア Lady Aurelia (今年も初日にキングズ・スタンド圧勝)と2年連続でアメリカから快速馬を送り込んできたウェスリー・ワード厩舎が、今年はキーンランドでデビュー勝したばかりのハッピー・ライク・ア・フール Happy Like A Fool で遠征、鞍上にライアン・ムーアを得たこともあって10対11の断然1番人気に支持されていました。

これも大きく二つのグループに分かれ、遠い側の6頭を除くスタンド側から中央にかけてコースを取ったのがメイングループ。結果的にはスタンド側の圧勝で、先頭を走った本命ハッピー・ライク・ア・フールを2番手でマークしていた2番人気(5対1)のハータック Heartache が抜け出し、大本命に2馬身半差を付ける完勝でした。これもスタンド側の3番手を進んでいた4番人気(14対1)のアウト・オブ・ザ・フレイムズ Out Of The Flames が半馬身差で3着に入り、その他大勢はその他大勢のままでした。
アメリカ勢の3連覇を阻んだハータックは、クライヴ・コックス厩舎、アダム・カービー騎乗。本命馬はキーンランドのデビュー戦を4馬身差で圧勝していましたが、こちらもバース競馬場の新馬戦を6馬身差で圧勝していた逸材。ワード厩舎のスタイルとして、ハッピー・ライク・ア・フールも一旦アメリカに帰国し、再度ヨーロッパに遠征してくるのは間違いない所。場所が何処になるかは分かりませんが、ハータックとの再対決が見られるかもしれません。

第3レースのデューク・オブ・ケンブリッジ・ステークス Duke Of Cambridge S (GⅡ、4歳上牝、1マイル直線)も、引き続き直線コースのマイル戦とあって多頭数。2頭が取り消して14頭立てとなり、ジャージー・ステークス同様フランスのケマー Qemah が5対2の1番人気に支持されていました。既にGⅠ戦に2勝している強豪ですが、半年以上を経ているためペナルティーの対象ではなく同斤で走れるのは有利です。
こちらもレースは二手に分かれましたが、スタンドから遠い側を選んだのは内枠の3頭のみ。遠い側は14番人気(150対1)の伏兵サマー・アイコン Summer Icon が逃げましたが、主導権を取ったスタンド側は3番人気(9対2)のスマート・コール Smart Call がグループを引っ張ります。
メイン・グループの後方に待機した本命ケマー、今回は早いペースと展開にも恵まれ、期待通りに末脚を爆発させると、これも後方から伸びる10番人気(40対1)のアルジャッジ Aljazzi に4分の3馬身差を付ける快勝です。惜しかったのは2番人気(11対4)、やはりスタンド側を先行していた去年の勝馬アシェレット Usherette で、前が開かずコースを変え、そこから猛追したものの首差届かず3着でした。

危機を克服したジャン=クロード・ルジェ厩舎、グレゴリー・ブノア騎乗のケマーは、去年のコロネーション・ステークスに続いて2年連続ロイヤル・アスコットでの勝利。去年は仏1000ギニー3着からコロネーションを制し、そのあとはロッシルド賞にも勝ってGⅠ戦に2連勝していました。
今期はケンプトン競馬場のチャートウェル・フィリーズ・ステークス(GⅢ)に遠征してシーズンを始動しましたが、道中の大きな不利もあって2着。本来の能力に戻れば、GⅡのマイル戦で彼女の相手になる馬は見当たりません。

初日の最後、第4レースはこの日唯一のGⅠ戦となるプリンス・オブ・ウェールズ・ステークス Prince Of Wales’s S (GⅠ、4歳上、1マイル1ハロン212ヤード)。去年はエイシンヒカリ参戦で話題になりましたが、今年は1頭が取り消して8頭立て。去年の愛ダービー馬で今期初戦のドバイ、シーマ・クラシックも快勝したジャック・ホッブス Jack Hobbs が9対4の1番人気。
レースは7番人気(20対1)、本命馬のペースメーカーを務めるゴドルフィンのスコティッシュ Scottish が引っ張り、直線でも最後まで粘り腰を見せていましたが、2番手を追走した2番人気(9対4)のハイランド・リール Highland Reel が漸くこれを捉えた時、5番手を進んだ3番人気(9対2)のユリシーズ Ulysses 、3番手に付けていた5番人気(10対1)のデコレイテッド・ナイト Decorated Knight が外から並び掛け3頭の叩き合い。
ゴール前1ハロンで最外のユリシーズが一旦先頭に立ったものの、最内からハイランド・リールが再び盛り返し、結局はハイランド・リールがユリシーズを1馬身4分の1差抑えての勝利となりました。短頭差でデコレイテッド・ナイトが3着に入り、後方2番手で待機した人気のジャック・ホッブスも外から追い込む気配こそ見せましたが、最後は伸びきれず8着最下位でゴールを通過しています。

言うまでもなく、ハイランド・リールはエイダン・オブライエン厩舎、ライアン・ムーア騎乗のガリレオ Galileo 産駒で、これがGⅠ戦5勝目。先のエプサムでコロネーション・カップを制してから僅か20ほど、このひもレースのスタート数時間前にアスコットに着いたというタフさで、シーマ・クラシック7着の雪辱も見事に果たして見せました。
プリンス・オブ・ウェールズ・ステークスは、オブライエン師にとってGⅠ戦300勝目とのこと。師によればハイランド・リールはガリレオのガッツを最も良く受け継いでいる馬だそうで、次は同じアスコット、キング・ジョージの2連覇に挑むことになりそうです。

二日目も第5・6レースを簡単に纏めておきましょう。
第5レースは1マイルのハンデ戦、ロイヤル・ハント・カップ Royal Hunt Cup 。29頭とG戦を上回る多頭数で、1番人気(13対2)のエイブ・リンカーン Abe Lincoln が15着と大敗し、25対1のズイ・フェン Zhui Feng が勝つという大荒れ。大外26番枠発走、アマンダ・ベルト厩舎、マーチン・ダイヤー騎乗で、去年の2000ギニーに出走して10着に入った馬です。

最終第6レースのサンドリンガム・ハンデ Sandringham H は牝馬限定の1マイル・リステッド戦。やはり24頭立ての多頭数で、こちらも1番人気(6対1)のジムナスト Gymnaste が同じく15着に敗退。アメリカのウェスリー・ワード厩舎が遠征、ジェイミー・スペンサー騎乗の20対1、コン・テ・パルティロ Con Te Partiro というリステッド戦中心に走ってきた馬が勝ちました。

 

 

 

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