2015ロイヤル・アスコット2日目

昨日はロイヤル・アスコットの二日目、初日と同じく第1レースから第4レースまでG戦が続き、一日6レースと言うプログラムです。馬場は更に乾燥し、good to firm 、重馬場を得意とする馬にとっては厳しいコースとなりました。

二日目の第1レースは3歳馬の7ハロン戦、ジャージー・ステークス Jersey S (GⅢ、3歳、7ハロン)。16頭が出走し、牝馬も2頭含まれていました。15対8の1番人気に支持されたのは、2000ギニーと愛2000ギニーで共に3着したアイヴァウッド Ivawood 、距離が短い方が適しているという判断もあったようです。

レースはアメリカ(ウェスリー・ワード厩舎)から参戦してきた11番人気(25対1)のラック・オブ・ザ・キッテン Luck Of the Kitten が逃げて速いペース、アイヴァウッドは先行グループの直後、中団を進みます。しかし本命馬は勝負所で他馬と接触する不利もあって後退、結果14着と大きく期待を裏切ってしまいます。
替って伸びたのは、本命馬と同じような位置に付けていたジョイント6番人気(14対1)のダッチ・コネクション Dutch Connection 。残り2ハロンで先頭に立つと、後方から追い込む4番人気(9対1)の牝馬ファダイール Fadhayyil に半馬身差を付けて優勝。親子調教師のワン・ツー・フィニッシュとなりました。4分の3馬身差で最後方から追い込んだジョイント2番人気(8対1)のボッシー・ゲスト Bossy Guest が3着と言う波乱。

勝ったダッチ・コネクションは、2着馬を管理するバリー・ヒルズ師の息子に当たるチャールズ・ヒルズ厩舎の馬で、ジム・クロウリー騎乗。2歳時にはアコーム・ステークス(GⅢ)に勝ち、アイルランドに遠征したナショナル・ステークス(GⅠ)は3着だった馬。今期初戦の2000ギニーは7着でしたが、距離が1ハロン短いこの距離が最も適しているようです。それでも陣営は1マイルへの望みも捨てておらず、次走が7ハロンになるか1マイルに向かうかは、レース後の経過などを見ての判断となる由。
一方敗れたアイヴァウッド陣営、道中の不利も敗因でしょうが、クラシックに連戦した疲れと、これが既に今期4戦目に当たることも影響した模様。立て直しての再挑戦に期待しましょう。

続いては今期最初の2歳牝馬によるG戦、クィーン・メアリー・ステークス Queen Mary S (GⅡ、2歳牝、5ハロン)。3頭の取り消しがありましたが、それでも20頭立てと言う多頭数。前走を勝って参戦してきたのは12頭。他の3頭も既に勝鞍があるというメンバーながら、5対2の1番人気に支持されたアカプルコ Acapulco は、未勝利馬5頭の中の1頭。何とも不思議な人気です。
毎年のことですが、多頭数で直線の短距離戦は、スタートからスタンド側と遠い側の二つのグループに分かれる競馬。先頭に立ったのはスタンド側スタート(21番枠)の4番人気(8)で2戦2勝のラー・ラー Rah Rah でしたが、中間地点では同じくスタンド側スタート(20番枠)の本命アカプルコが交わして楽に先頭に立つ勢い。この時点で勝負あったの内容で、遠い側を追い込む3番人気(13対2)で2戦2勝のイーストン・エンジェル Easton Angel に1馬身半差を付けて見事人気に応えました。更に2馬身半差で、やはり遠い側を後方から追い込んだ2戦2勝、2番人気(6対1)のべシャーラ― Besharah が3着。

勝ったアカプルコは、ジャージー・ステークスで逃げたラック・オブ・ザ・キッテンと同じアメリカのウェスリー・ワード師が遠征してきた馬で、こちらはライアン・ムーアが騎乗していました。レース前日の前売りでは6対1のオッズでしたが、当日になって急速に支持が上がった馬。
デビュー戦はチャーチル・ダウンズで3着に終わり、ワード師はがっかりしたそうですが、その後の調教が師も経験したことが無い程凄いものだったとのこと。オーナーがクールモアの一員でもあり、スピードある2歳馬をロイヤル・アスコットに参戦させることを信条としている師でもあり、遠征に踏み切ったという経緯もあります。そうした「厩舎情報」が人気急上昇に繋がったのでしょう。

第3レースはデューク・オブ・ケンブリッジ・ステークス Duke of Cambridge S (GⅡ、4歳上牝、1マイル)。1頭が取り消して7頭がゲートに向かいましたが、2番人気に支持されていたユーロ・シャーリン Euro Charline がゲートインを拒否、発走スタッフによって除外されてしまうアクシデント。結果6頭立となった一戦で8対11の圧倒的1番人気に支持されたのは、去年のこのレースの勝馬で去年GⅠ戦を2勝しているインテグラル Integral 、連覇に期待が掛かります。

4番人気(9対1)のブラッギング Bragging がスローに落して逃げましたが、残り3ハロンで早くも一杯。替って2番人気(7対1)、ロイヤル・アスコットでは2年連続で勝っている(クィーン・メアリー・ステークスとコロネーション・ステークス)リジーナ Rezeena が先頭を奪い、ロイヤル・アスコット3連覇目前。しかし遅れたスタートから最後方を進んでいたブービー人気(25対1)のアメージング・マリア Amazing Maria がアメージングな末脚を繰り出すと、リジーナを2馬身突き放して観客を驚かせました。更に2馬身差で3番手を追走していた3番人気(8対1)のクラドセラ Cladocera が3着に入り、本命インテグラルは4番手を進むも伸びを欠いて5着敗退に終わっています。
これがロイヤル・アスコットは2勝目、G戦は初となるデヴィッド・オメーラ厩舎、ジェームス・ドイル騎乗のアメージング・マリアは、今期初戦のアスコットのハンデ戦、カラー遠征のランウェイズ・スタッド・ステークス(GⅢ)は共に3着だった4歳馬。去年3歳時はオークス最下位を含めて3戦し、一度も掲示板には載らなかった存在でした。2歳時にプレステージ・ステークス(GⅢ)に勝った実績はありましたが、陣営も彼女の特質を掴み切れていなかった節があります。これまでは重馬場の馬と思われていましたが、この日の固い馬場での好走、オメーラ師も吃驚の快走でした。

最後は日本でも注目されていたプリンス・オブ・ウェールズ・ステークス Prince of Wales’s S (GⅠ、4歳上、1マイル2ハロン)。日本からスピルバーグ(Spielberg)が参戦することも話題でしたが、早くから去年のアメリカ2冠馬カリフォルニア・クローム California Chrome の挑戦が世界的には大きく取り上げられていました。2冠馬は枠順発表の時点では登録がありましたが、残念ながら故障が発覚し取り消し。最終的には9頭立てで行われています。
5対2の1番人気には、アイルランドのウェルド師が送り込んだフリー・イーグル Free Eagle 。厩舎のクラシック候補でしたが故障で全休し、これが未だ5戦目と言う4歳馬です。仏ダービーと愛チャンピオンとGⅠ2勝のザ・グレイ・ギャッツビー The Grey Gatsby が9対2の2番人気で続き、スピルバーグはフランスのエクトー Ectot と並んで7対1の3番人気と高評価です。

逃げたのは7番人気(10対1)のガイロ・チョップ Gailo Chop 、最初こそ強いペースでしたが、次第にスローに落して進路に戸惑う馬も出る流れ。前半3番手から中間地点では2番手、残り2ハロンで先頭に立った本命フリー・イーグルが、5番手から追い込むザ・グレイ・ギャッツビーの急襲を短頭差凌いでの優勝。ザ・グレイ・ギャッツビーは道中何度も前が塞がる不利があり、スローペースの犠牲者だったと言えそうです。その意味ではペースを速くする存在になったはずのカリフォルニア・クロームの欠場が痛かったとも言えそうです。
2馬身4分の3差でジョイント5番人気(8対1)のウエスタン・ヒム Western Hymn が3着。並んで後方を進んだ3番人気の2頭、スピルバーグとエクトーは共に奮わず、前者は6着、後者は最下位9着に沈んでいます。スピルバーグはペースが上がった所で付いて行けず、最後の1ハロンでは苦しがって右に寄れていました。やはりアスコットの直線の急坂は日本馬には経験が無く、能力以前の問題があると思われます。

デルモット・ウェルド厩舎、パット・スマーレン騎乗のフリー・イーグルは、上記の様に3年間で5戦。これが今期の初戦でしたが、予定していたトトソルズ・ゴールド・カップを熱発で取り消していました。ウェルド師は仕上がりには自信が無いことを表明してファンに注意を喚起していたほどですが、馬の能力が状態を上回ったとも言えるでしょう。
2歳時は2戦1勝、去年はレパーズタウンでエンタープライズ・ステークス(GⅢ)に勝って、秋のアスコットでチャンピオン・ステークスが3着。これが同馬に注目が集まった最初の機会でした。

2日目はこのあと、名物ロイヤル・ハント・カップは30頭立ての混戦をライアン・ムーア騎乗の馬が制し、最終レースのサンドリンガム・ハンデ(17頭立ての牝馬戦)はデットーリ騎乗のオサイラ Osaila が勝っています。デットーリは、これがロイヤル・アスコット50勝目と節目の勝利。

 

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