ロンドンとニューヨーク、学生オケのコラボレーション
2012年にジョン・アダムス指揮で聴いた記憶がありますが、今年もロンドンのロイヤル・アカデミーと、ニューヨークのジュリアード音楽院という二つの音楽学校で学ぶ学生たちのオーケストラの競演が実現しました。22日の月曜日に行われたプロムス6です。
7月22日 ≪Prom 6≫
アナ・トルヴァルズドティーア Anna Thorvaldsdottir/メタコスモス Metacosmos
ブリテン/ヴァイオリン協奏曲
~休憩~
ストラヴィンスキー/春の祭典
Orchestra of the Royal Academy of Music and the Julliard School
指揮/エドワード・ガードナー Edward Gardner
ヴァイオリン/ジェームズ・エーネス James Ehnes
イギリスとアメリカの音楽学校オーケストラのリーダーが、プログラムの前半と後半のコンサートマスターを分担するコンサート。チョッとしたハプニングもありましたが、熱心なプロムス・ファンの声援に支えられて成功裡に終わったようです。
最初に紹介された曲は、今年のプロムスで目立つ女性作曲家の作品。何とも読み難い名前ですが(BBCのコメンテイターの発音では上記の様に聞こえました)、アイスランド生れの作曲家で、どんな方かは彼女のホームページをご覧ください。
この日演奏されたメタコスモスという作品、タイトルの意味は宇宙の変遷とでも言った意味でしょうが、要するに今年のプロムスのテーマでもある宇宙繋がりの一つ。何とミュージック・セールス・グループのホームページで作品解説も、スコア本体も見ることが出来ます。ネットで検索するのが面倒な方は、直接こちらからどうぞ。もちろん無料です。
http://www.musicsalesclassical.com/composer/work/5024/57716
次のブリテンも「タダ」でスコアが読めます。こちらはブージー・アンド・ホークスのホームページからアクセスできる「オン・ライン・スコア」というサイト。メールアドレスと自身で設定するパスワードでログインでき、ブージー社の多くのスコアが閲覧できます。もちろんブリテン作品は数も多く、今まであくせく買い込んできたスコアは何だったのか、と思ってしまいました。
https://www.boosey.com/cr/perusals/
カナダのヴァイオリニスト、エーネスはジュリアードのメンバーだった一人。ブリテンの協奏曲はプロムスではお馴染みで、イダ・ヘンデルは3度も取り上げたことがあるそうです。
冒頭に書いたアクシデントとは、協奏曲の最終楽章、最後のレント(練習番号45から)のコラールの個所で客席から野次と言うか罵声が浴びせかけられるのです。恐らくホールの上階から発せられているのでしょうが、何を叫んでいるのかは不明。
似たようなアクシデントは、以前のプロムスでイスラエル・フィルが来演した時にもあり、あの時は場内騒然としてBBCの中継も途中で中止されましたっけ。今回は単独犯のようで、放送はこれを無視して続けられ、最後は客席の大歓声で恙無く終了しています。
エーネスのアンコールは、バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番から第3楽章アンダンテ。古巣との共演を果たしたエーネス、後半のストラヴィンスキーでもヴァイオリン・セクションの後方で演奏に加わった由。プロムスのツイッターでも紹介されています。
オーケストラもアンコールがあり、オリヴァー・ナッセンのフローリッシュ Flourish 。この作品はストラヴィンスキー初期の短いオーケストラ曲「花火」に霊感を得たもので、英国人ナッセンが友人であるアメリカ人指揮者のマイケル・ティルソン・トーマスがロンドン交響楽団の首席指揮者に就任した際の披露演奏会のために作曲したもの。ナッセンの父はロンドン交響楽団のコントラバス奏者でしたし、ナッセン自身もタングルウッド音楽祭と深い関係だったこともであり、この演奏会には最適のアンコールだったと言えるでしょう。
因みにフローリッシュも出版社フェイバーのホームページで閲覧できますし、もちろん春の祭典は無料楽譜サイトIMSLPでダウンロード可能。
この日の4曲は全てネットでスコアも楽しめるということで、正に現代ならではの音楽の楽しみ方を体験できる時間でした。
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