怒りのチェロ協奏曲
土曜日のガーシュウィン・プログラムをパスしたプロムス、14日の日曜日に行われたオラモ/BBC響から再スタートしましょう。丁度この回から今年のプロムスも後半戦と言うことになります。
8月14日 ≪Prom 39≫
ハイドン/交響曲第34番ニ短調
シャーロット・ブレイ Charlotte Bray/Falling in the Fire(BBC委嘱作品、世界初演)
~休憩~
マーラー/交響曲第5番
BBC交響楽団 BBC Symphony Orchestra
指揮/サカリ・オラモ Sakari Oramo
チェロ/ガイ・ジョンストン Guy Johnston
ハイドンとマーラーの交響曲に、今年のテーマであるチェロ協奏曲を加えたプログラム。ハイドンとマーラーと言えばかつてバーンスタインが良く組み合わせていた作曲家だったことを思い出しながら聴いていました。
それにしても最初のハイドンはかなり珍しい部類の交響曲。100曲以上ある作品の中で、短調で書かれた交響曲としては26番「悲しみ」に次ぐ2つ目のものでしょう。尤もニ長調と書かれている資料もあるようですが、所謂シュトルム・ウント・ドランク様式の初期を成す作品。
チェンバロを加えて演奏された今回のものは、250年前の作品でプロムス初演なのだそうです。
続くチェロ協奏曲シリーズの新作は、1982年生まれの英国女流作曲家の作品。彼女自身、バーミンガム音楽院で作曲とチェロを学んでいます。詳しいプロフィールはここでゴチャゴチャ書くよりウィキペディアで↓
https://en.wikipedia.org/wiki/Charlotte_Bray
今回のBBC委嘱作品は1年前から準備して来たとのことで、ISによるシリアのパルミラ遺跡の破壊に道徳的な怒りを覚えて音楽にした由。作品は2011年にリビアで爆死した戦争写真家のティム・ヘドリントンに捧げられています。
作曲に至るドキュメンタリー映像を見つけましたのでご覧あれ↓
http://charlottebray.co.uk/2016/08/falling-in-the-fire/
冒頭の打楽器連打と低音金管楽器の炸裂は、如何にも怒りの表現を実感させてくれます。
後半はマーラー。今プロムスではサロネンの1番、ハイティンクの3番に続くもので、このあとマーラー作品ではエルダーが大地の歌、ヴォルコフのリュッケルト歌曲集、ラトルは7番を取り上げることになっています。
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