イスラエルの新星

19日に開幕したプロムス、5日目の23日はBBCフィルハーモニックが新しい首席指揮者を迎えてのプログラムです。

7月23日 ≪Prom 7≫

モーツァルト/ピアノ協奏曲第15番変ロ長調K450
パウル・ベン=ハイーム/交響曲第1番

     ~休憩~
シェーンベルク/管弦楽のための5小品
シューマン/交響曲第4番
 BBCフィルハーモニック
 指揮/オマー・メイアー・ヴェルバー Omer Meir Wellber
 ピアノ/ソン・ヨルム Yeol Eum Son

指揮者もソリストもプロムス・デビューということですが、何と読めばよいのかよく判らない指揮者、ヴェルバーを聴きました。
1981年、イスラエルのベルシェバ生まれということで、この7月にBBCフィルハーモニックの首席指揮者に就任したばかり。イスラエル期待の新星、ということでしょうか。少なくとも日本では未知の才能かと思われますが、一応ホームページでプロフィールを確認しましょう。

http://www.omermeirwellber.com/

このコンサート、いきなり協奏曲から始まりますが、ソリストは4年前の秋に京都で聴いたソン・ヨルム。その時はプロコフィエフで、プロムスの中継で再会できるとは思いませんでした。個人的にはお気に入りの才媛、こちらもホームページで確認してください。
韓国の原州市(ウォンジュ)生まれで、BBCではヨルム・ソンと紹介しています。

変ロ長調ケッヘル450はバーンスタインが得意にしていて、彼が初めてウィーン・フィルと弾き振りで録音したデッカ盤は私の愛聴盤でした。
モーツァルトのピアノ協奏曲は木管楽器の編成に注目、とのこと。この曲はオーボエ2本、ファゴット2本とホルン2本なのですが、終楽章だけにフルートが1本加わります。それは何故か? 今度モーツァルト講座で教えていただかなければなりませぬ。

ソン・ヨルム嬢、最近ヨーロッパで主流になりつつあるという装飾音~アポジャトゥーラと言うそうですが~を加えた演奏ではなく、出版されている譜面通りに、丁寧にピアノを紡いでいました。カデンツァは第1・3楽章共にモーツァルト自身のもの。

2曲目のベン=ハイームの第1交響曲はプロムス初演だそうで、個人的にはこれが最も聴きたかった演奏。もちろん同郷の指揮者ヴェルバーもこれを紹介したかったのだろうと思います。
日本では殆ど知られていないベン=ハイームですが、1960年にイスラエル・フィルが初来日した時に彼の「ピアノと管弦楽のための奇想曲」という作品が演奏されていました。この時はあのジュリーニが指揮したのですが、当時は我が音楽サークルでもほとんど話題になっていなかったと記憶します。一応ウィキペディアで確かめておきましょうか。

https://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Ben-Haim

休憩の後はシェーンベルクとシューマンというドイツ物が並びます。意外の間もありますが、シェーンベルクは今年生誕150年のヘンリー・ウッドがプロムスで初めて紹介した作品と言うことで選ばれた由。
一方シューマンは、ヴェルバーが「シューマン大好き人間」だからとか。マーラー版などの派手な改変はせずオリジナルのまま、全ての繰り返しを実行する手堅いシューマンを楽しみました。

ヴェルバー/BBCフィルのコンビはこのあと、7月29日にも登場してハイドンの天地創造を演奏することになっています。彼も「ハイドン大好き人間」なのかもね。

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