ウィーン国立歌劇場公演「ヘンゼルとグレーテル」

2020年のお正月は、ウィーン国立歌劇場からのライブ・ストリーミング三昧でしたね。三が日は大晦日に行われた「こうもり」でウィーンの年末気分になり、4日からはバレエ「海賊」で目を楽しませてもらいました。
「海賊」はアドルフ・アダンの所謂フレンチ・バレーで、日本では珍しい演目かも知れません。私はバレエには疎いので感想などは遠慮しましたが、日本人として初めてウィーン国立バレエで第1ソリストに就任している橋本清香さんがグルナーレ役を踊っているということで、バレエ・ファンならずとも注目の舞台。これを書いている6日まで放映されていますから、華やかな舞台をご覧になることをお勧めしておきましょう。

ということで、2020年最初のオペラは、フンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」。海外ではクリスマスから新年にかけての目玉となる演目で、大人から子供まで一緒に楽しめる人気作品です。
6日から放映中の舞台は、現地では1月5日に行われたもの。去年の12月27・30日と新年2日と5日の4公演のうち最終日の模様です。

箒職人ペーター/ボアズ・ダニエル Boaz Daniel
ゲルトルード/ステファニー・ハウツィール Stephanie Houtzeel
ヘンゼル/マーガレット・プラマー Margaret Plummer
グレーテル/アンドレア・キャロル Andrea Carroll
人食い魔女/モニカ・ボヒネク Monika Bohinec
砂の妖精・露の妖精/イレアナ・トンカ Ileana Tonca
指揮/トマーシュ・ハヌス Tomas Hanus
演出/エードリアン・ノーブル Adrian Noble
舞台及び衣装デザイン/アンソニー・ワード Anthony Ward
照明/ジャン・カルマン Jean Kalman
振付/デ二・セイヤーズ Denni Sayers
映像/アンジェイ・グールディング Andrzej Goulding

ヘンゼルとグレーテルですから感想も簡単に。

指揮のハヌスは、ウェールズ・ナショナル・オペラの音楽監督で、このあと来月にはドヴォルザークの「ルサルカ」も振ることになっているチェコの若手。数年前に新国立劇場で「イェヌーファ」を指揮していましたから、懐かしく観戦される方も多いでしょう。
演出のノーブルは、6月に当ブログでも紹介したウィーンの「オテロ」の演出家。このオテロも2月に別のキャストで再演・放映される予定になっていますから、映像を駆使した舞台をチェックしておきましょう。

主役のヘンゼルとグレーテルを含め、ウィーン国立歌劇場のアンサンブル・メンバーで固めたキャスト。魔女のボヒネクは、先日の「ペルシネット」でも魔女役に抜擢されており、すっかり魔女役が板についています。
フリースの新作同様、巧みな杖さばきで客席の喝采を浴びていました。

序曲がアレグロの主部に入ったところで幕が上がり、父親(?)が魔法のランタンという新兵器で子供たちを驚かせるシーンから始まります。オペラ本編は、序曲に出てくる兄妹が成長してヘンゼルとグレーテルになるという設定でしょうか。ランタンに映し出されるおとぎ話の世界とも解釈できそう。
第2幕の最後、「夢のパントマイム」のシーンは演出家が最も工夫を凝らす場面で、今回のノーブル演出では台詞通り14人の天使が登場し、たくさんの風船を使って幻想的な舞台を見せてくれます。

一部、字幕の不具合があったのは残念ですが、このオペラをよく知っている人には問題ないでしょう。

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