ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(10)

4月4日現地ウィーンでのアーカイヴ放送は、早朝から子供向けに「シンデレラ」、昼からは大人が楽しむ「ラ・ボエーム」となっているようですね。オッタヴァ・テレビのストリーミングでは、昨4日の夕方6時から「シンデレラ」が始まり、「ラ・ボエーム」が5日早朝から8日早朝までの3日間視聴することが出来ます。「シンデレラ」は5日の夕方6時までの24時間限定ですから注意してください。

ということで、先ず「シンデレラ」を紹介しておきましょう。シンデレラと言っても第一弾として放送されたロッシーニではなく、ましてやマスネーでもありません。
何と作曲したのは2005年生まれの神童と呼ばれる少女アルマ・ドイチャー Alma Deutscher で、驚くなかれ10歳で作曲した短編オペラなのです。今回アーカイヴ配信で選ばれたのは2018年1月28日に上演されたもので、「子供向けウィーン・ヴァージョン」となっています。オッタヴァで表記されている世界初演という表記は誤りで、初演だとすればウィーン版が、ということでしょう。キャストなどはこんな具合。

シンデレラ/ブリオニー・ダイアー Bryony Dwyer
グリゼルダ/カロリーネ・ウェンボーン Caroline Wenborne
ジバルドナ/ウルリケ・ヘルツェル Ulrike Helzel
継母/シミナ・イヴァン Simina Ivan
エメリン(妖精)/ボンジヴェ・ナカニ Bongiwe Nakani
王子/パーヴェル・コルガティン Pavel Kolgatin
国王/ダン・パウル・ドゥミトレスクー Dan Paul Dumitrescu
大臣/ラファエル・フィンガーロス Rafael Fingerlos
ヴァイオリン・ソロとクラヴィア/アルマ・ドイチャー Alma Deutscher
指揮/ヴィトルフ・ウェルナー Witolf Werner
演出/ビルギット・カイトナー Birgit Kajtna

繰り返しになりますが、ドイチャーは名前こそドイツとなっていますが英国ハンプシャー州の生まれで、21世紀のモーツァルトと呼ばれる天才女流作曲家。公式ウェブサイトもありますから、こちらを参照してください。

https://www.almadeutscher.com/

オペラ「シンデレラ」は8歳の時に書き始めて10歳の時、2015年にイスラエルで世界初演された由。それが評判となり、オーケストラのサイズを変えながら各地で上演され、サンノゼ・オペラでの映像がソニーからDVDで出ています。
お馴染みの童話が土台になっていますが、シンデレラは作曲家という設定なのが面白いところで、意地悪な姉妹はシンデレラの書いた歌をパクッて失敗するというストーリーになっています。演奏時間も1時間ちょっと、始まって間もなく舞台上でヴァイオリンを弾くのがドイチャー本人です。彼女は客席に置かれいてる小さなオーケストラでクラヴィアも弾いています。(一部映像と音声が途切れるところがありますが、気にせず見続けてください)

ウィーン国立歌劇場と言ってもいつもの大きなオペラハウスではなく、名前は知りませんが学校の講堂を思わせる小さなスペース。歌手たちと観客の子供たちがやり取りしながら進んだり、出演者も客席に降りて歌うなど、日本ではなかなか見られない光景を目にすることが出来ます。もちろん歌手たちは国立歌劇場で歌っている面々。
歌唱はドイツ語、字幕が無いので細かいことは分かりませんが、ストーリーがストーリーですから、聴いて見て楽しめばよろしい。現代の音楽と言っても典型的な「ゲンダイオンガク」とは別世界。ミュージカルというよりオペレッタに近いかも。

思えばモーツァルトが最初のオペラを書いたのが11歳の時。ドイチャーはそれより前にオペラを書き上げたことになります。モーツァルトもドイチャーも、作曲された時点では現代音楽であることに違いはありませんね。
話は変わりますが、ネットでギリシャ・ニュースが伝えている記事によると、7歳の天才作曲家ステリオス・ケラシディス Stelios Kerasidis 君が昨今のコロナ騒動に触発され、「隔離ワルツ」(Isolation Waltz)なるピアノ曲を作曲したそうな。自分でピアノを弾いて披露している動画も見ましたが、これもまた現代音楽の一つでしょう。

家に引き籠ってネットばかり見ていると、それまでは気が付かなかった情報に次々と出会えるものですな。

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