バーデン・バーデンのオペラ・ガラ

この前の日曜日にNHKハイビジョンで放送されたものを録画しておきました。
オペラ・ガラの類を見なくなって久しいのですが、番組紹介でガランチャの名前を見つけたので見る気になったもの。

内容はバーデン・バーデン祝祭劇場で2007年7月に行われた公演。2年前の映像ですから恐らく再放送でしょう。年末に放送されるNHKの蔵出し映像でしょうか。
ガラといっても出演する歌手は4人だけ。曲によっては音楽にナレーションが被ってしまうので、極力編集の手が入った映像作品(ユニテル制作)です。恐らく現実のコンサートでは管弦楽だけの作品も演奏されたと思われますが、映像では歌しか流れません。出演者は、

ソプラノ/アンナ・ネトレプコ
メゾ・ソプラノ/エリーナ・ガランチャ
テノール/ラモン・ヴァルガス
バリトン/リュドヴィク・テジエ
 指揮/マルコ・アルミリアート
 管弦楽/南西ドイツ放送交響楽団

演奏された作品は以下の順序。

ベルリーニ/「ノルマ」清らかな女神よ(ソプラノ)
サン=サーンス/「サムソンとデリラ」あなたの声に心は開く(メゾ・ソプラノ)
ドリーブ/「ラクメ」花の二重唱(ソプラノ、メゾ・ソプラノ)
ドニゼッティ/「愛の妙薬」人知れぬ涙(テノール)
ビゼー/「カルメン」闘牛士の歌(バリトン)
ビゼー/「真珠採り」神殿の奥深く(テノール、バリトン)
ベルリーニ/「ノルマ」ノルマよ、見てごらん(ソプラノ、メゾ・ソプラノ)
ベルリーニ/「清教徒」命をかけて(バリトン)
ロッシーニ/「シンデレラ」悲しみと涙のうちに生まれて(メゾ・ソプラノ)
ヴェルディ/「ドン・カルロ」われらの胸に友情を(テノール、バリトン)
ヴェルディ/「ルイザ・ミラー」穏やかな夜には(テノール)
ヴェルディ/「ドン・カルロ」ロドリーゴの死“終わりの日は来た”(バリトン)
プッチーニ/「ボエーム」愛らしいおとめよ(ソプラノ、テノール)
ヴェルディ/「リゴレット」いつかあなたに会った時から~美しいおとめよ(四重唱)
     以下アンコール
レハール/「ジュディッタ」熱き口づけ(ソプラノ)
ロッシーニ/踊り(テノール)
ヴェルディ/「椿姫」乾杯の歌

感心したのはよくあるガラ・コンサートとは一味、いや二味は違う所ですね。

その一は、かなり徹底してベル・カントの作品に絞られていること。ガラでは思い切り声の迫力を聴かせる場面が多いものですが、ここでは声そのものの美しさや技量で勝負する作品が選ばれています。

第二は、男女ペアの作品がプッチーニ1曲だけしかないこと。オペラの二重唱で圧倒的に多いのは、「恋人たち」による愛の告白。しかしこのガラでは濡れ場は極力避けられているようです。

何のかの言っても、私の大好きなガランチャが見所・聴き所でしょう。それにヴァルガスがいい。
現在のテノール界はヴィリャソンあり、フローレスあり、べチャーラありと人気も多彩ですが、私の一押しはヴァルガスですね。
テジエをたっぷり聴いたのも今回が初めて。この人もいずれ本公演で接したいバリトンです。

一般的にはネトレプコが目玉なんでしょうが、彼女はそのファンに任せておいて、私はガランチャとヴァルガスにブラヴァ、ブラヴォです。
オケ(特にクラリネット)も巧いし、アルミリアートの指揮がまたいい。

一度見ればそれでいいようなガラ・コンですが、2007年のガランチャとヴァルガスが聴けるので、もしかしたら永久保存版か。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください