ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(9)
本来であれば4月のウィーン国立歌劇場は4日に「サムソンとデリラ」、12日が「パルジファル」、19日の「ばらの騎士」、26日に「アルジェリアのイタリア人」と4本のオペラがライブストリーミングされるはずでした。
武漢肺炎の影響で3月10日に閉鎖されたスターツオーパーでは、4月2日までの間は無料でアーカイヴを放送してきましたが、閉鎖期間も13日までと延長され、無料アーカイヴ放送も同日まで引き続き実施されることになっています。ウィーン国立歌劇場のホームページでは13日までの予定がリストアップされていますが、日本ではオッタヴァ・テレビが現地と交渉の結果、アーカイヴ・シリーズ第二弾として9日までのプログラムが公開されました。「ラ・ボエーム」と「利口な女狐」が三日間、他は24時間限定での配信となるようです。
ウィーン国立歌劇場が14日に再開されるのか、また閉鎖が更に延期された場合にアーカイヴ配信が続けられるのかは未定ですが、暫くは世界的に自粛が求められることは避けられそうにありません。何しろバイロイト音楽祭を始め、夏の音楽祭も次々に中止に追い込まれていますからね。
当欄も3月の演奏会は全てキャンセル、4月に入っても中止が相次ぎ、外出する機会が訪れるのは早くても5月に入ってから。ということで、暫くは巣籠りレポートを続けましょうか。
些かアーカイヴ・レポートにも疲れてきたので、第二シリーズは簡単にチャチャッ、と紹介するに留めます。
現地4月3日、日本では4日に配信されたのは今回が3種類目となる「フィガロの結婚」です。同じ演出でキャストは替わり、3本の中では最も古い映像となる2014年11月25日の公演でした。
アルマヴィーヴァ伯爵/ルカ・ピサローニ Luca Pisaroni
伯爵夫人/オルガ・べズメルトナ Olga Bezmertna
スザンナ/アニタ・ハルティヒ Anita Hartig
フィガロ/アダム・プラチェツカ Adam Plachetka
ケルビーノ/レーチェル・フレンケル Rachel Frenkel
マルチェリーナ/ドンナ・エレン Donna Ellen
ドン・バジリオ/パヴェル・コルガティン Pavel Kolgatin
ドン・クルツィオ/ベネディクト・コーベル Benedikt Kobel
ドン・バルトロ/パク・ヨンミン Jongmin Park
アントニオ/ミハイル・ドゴターリ Mihail Dogotari
バルバリーナ/ダニエラ・ファリー Daniela Fally
指揮/サッシャ・ゲッツェル Sascha Goetzel
演出/ジャン=ルイ・マルティノティ Jean-Louis Martinoty
舞台装置/ハンス・シェイヴァーノッホ Hans Schavernoch
衣装/シルヴィー・ド・セゴンザック Sylvie de Segonzac
照明/ファブリス・ケブール Fabrice Kebour
今から5年半前の映像ということで、コンマスがライナー・キュッヒルであることに気が付きます。指揮は日本のオケにも度々登場しているゲッツェル。ゲッツェル指揮、キュッヒルのソロと言えば、確か神奈川フィルでコルンゴルトの協奏曲を共演したことがあったのじゃないかしら。あれはこれより後のことだったかも。
マルティノティ演出のフィガロ、3度目の視聴ですが、実に良く計算された舞台だと思います。見る度に新しい発見がある。
これまで演奏・演出の細部には触れませんでしたが、第4幕のマルチェリーナのアリア(24番)とドン・バジリオのアリア(25番)はカットしての上演。比較的オリジナルに忠実な舞台だと思います。
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