ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(26)
先日、ウィーン国立歌劇場から5月度のアーカイヴ配信プログラムが発表されました。スターツオパーでは劇場の閉鎖が決まった直後からアーカイヴ映像の無料配信を決断し、先ずは3月後半の予定を公表。閉鎖が長引くことが決まると、4月は前半と後半の2回に分けてアーカイヴ・プログラムを発表してきました。
最終的には2019-20年シーズンの終了が決まり、先の5月度のアナウンス。5月は丸々ひと月分の予定が一気に公開され、アーカイヴ配信としては第4弾に相当することになります。このまま行けば第5弾もあると思われます。
ということで5月1日(現地時間)からは第4弾がスタートしましたが、最初の演目「ラ・ボエーム」は2019年12月22日の公演。ついこの間の演奏で、オッタヴァ・テレビからもライブストリーミングとして放映されたばかりで、当ブログでもその模様をレポートしました。従ってボエームはパスし、今日は「フィデリオ」を紹介しましょう。
えッ、またフィデリオか、と思われるかもしれません。実はアーカイヴ配信としても4度目の演目で、前3回はアーカイヴ(24)として纏めましたから、そちらも参考にされてください。
本来なら5月にウィーン国立歌劇場からライブストリーミングされるのは、2日に「フィデリオ」、10日が「ウイリアム・テル」、17日がバレエの「シルヴィア」で、19日「魔弾の射手」、29日に「ドン・ジョヴァンニ」と続く予定でした。従って「フィデリオ」は正にこの時期に上演されていたはずで、2月の「レオノーレ」(フィデリオの初稿)と対比させるという企画でもあったわけ。予定ではアダム・フィッシャーの指揮、シモーネ・シュナイダー、シャーガー、コニェチュニー他というキャストでした。
従ってオッタヴァ・テレビでは、今回のフィデリオは6日早朝までの3日間見ることが出来ることになっています。2015年6月9日の公演ということで、これまで見たフィデリオの中では最も古い映像ということになります。演出は全て同じシェンクの伝統的な舞台ですから、4回も見ると細部まで頭に入ってしまった感がありますね。
フロレスタン/ロバート・ディーン・スミス Robert Dean Smith
レオノーレ/ニナ・シュテンメ Nina Stemme
ドン・フェルナンド/セバスチャン・ホレチェク Sebastian Holecek
ドン・ピツァーロ/ヨッヘン・シュメッケンベッヒャー Jochen Schmeckenbecher
ロッコ/ラルス・ヴォルト Lars Woldt
マルツェリーネ/アンニカ・ゲルハルズ Annika Gerhards
ヤキーノ/ノルベルト・エルンスト Norbert Ernst
指揮/アダム・フィッシャー Adam Fischer
演出/オットー・シェンク Otto Schenk
舞台構想/ギュンター・シュナイダー=シームセン Gunther Schneider-Siemssen
衣装/レオ・ベイ Leo Bei
アダム・フィッシャーということで、去年の公演と同じ指揮。とにかくエネルギッシュな棒で、ここぞという瞬間では指揮棒を左手に持ち替え、拳を握った右手でボディー・ブローを放つような仕草、いいですよねぇ~。
個人的に注目していたフィナーレ前のレオノーレ序曲第3番、他の二人の指揮者と同じように冒頭のフォルテから普通に演奏していました。最初に見た2019年の冒頭1小節を省略する弱音開始は何だったのか、私の聴き損ないだったのかと不安に駆られているところです。でも、あれはあれで良いアイディアだったのじゃないでしょうか。
配役で共通しているのは、ドン・ピツァーロのシュメッケンベッヒャー位のもの(去年のフィッシャーと同じ)。ニナ・シュテンメのレオノーレが聴き物でしょうか。
レオノーレ序曲ではピット内の様子も様々な角度から映し出されており、コンマスのライナー・ホーネック以下、顔馴染みが揃っています。スウェーデンと日本のハーフであるヘーデンボルク兄弟の揃い踏みも確認できました。それにしてもウィーンでの「フィデリオ」人気は相当なもので、レオノーレ序曲の後や、最後のカーテンコールでの盛り上がりは凄まじいものがあります。そして最大の喝采を浴びるのは指揮者フィッシャー。3月の「指環」も彼が振ることになっていたんですよねェ~。
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