東京籠城日記(13)

昨日の続きのようなものですが・・・。

毎月一日は、ナクソス・ミュージック・ライブラリーにナクソス本体の新譜が新着アルバムとして配信されることになっています。たとえ1日が日曜日であっても新着は休みになりません。それで昨日の新着を見ていて、オオッ、と思ったものが4点もありましたので、それを紹介しましょう。
毎朝新着アルバムをチェックするのは私の長年来の習慣になっていますが、籠城生活が続いているため、いつもより丹念に見ていていて目に留まるものが増えているかと思います。箇条書きに。

①プロコフィエフ/歌曲とロマンス集 マルガリータ・グリツコヴァ/マリア・プリンツ ナクソス盤
②ベートーヴェン/ピアノ・トランスクリプション集 児玉麻里 ペンタトーン盤
③プロコフィエフ/交響曲第3番・6番 ピエタリ・インキネン指揮ザールブリュッケン・カイザーストラウテルン・ドイツ放送フィル SWRクラシックス盤
④ベートーヴェン/交響曲・協奏曲・序曲集 ハンス・ロスバウト指揮ケルン放送交響楽団、バーデン=バーデン南西ドイツ放送交響楽団他  SWRクラシックス盤

面白いと思うのは全く個人的な趣味です。

①は、このところウィーン国立歌劇場のアーカイヴ配信ですっかりお馴染みになったロシアの若手メゾ・ソプラノ歌手グリツコヴァのロシア歌曲集第2弾。グリツコヴァは故マリス・ヤンソンスに見出された名花で、ウィーンではフィガロの結婚のケルビーノ、アルジェリアのイタリア人のイザベラなどで楽しんできました。
彼女がナクソスに録音したロシア歌曲集第1弾は、チャイコフスキー、リムスキー=コルサコフ、ラフマニノフの歌曲を集めたもので、これが実に良かった。ロシアの歌曲は余り良く知らないのですが、私にとっては新たな発見でもあります。その彼女の第2弾が、プロコフィエフ歌曲集。これまた私にとっては未知の世界で、大いに楽しみですね。

②は、ベートーヴェン・アニヴァーサリーを意識した新録音?でしょうか。児玉麻里が弾いた意外なベートーヴェン特集です。内容はベートーヴェンの弦楽四重奏曲を様々な作曲家がピアノに編曲したものが入っており、最後はモーツァルトのクラリネット五重奏曲の終楽章をベートーヴェンがピアノ編曲した一品で締められています。そのモーツァルト/ベートーヴェンを含め、大半が世界初録音というから驚き。
弦楽四重奏は全曲ではなく、ある楽章の編曲で、サン=サーンス(ラズモ第1の第2楽章、第6番の第2楽章)、バラキレフ(ラズモ第2の第3楽章、作品130のカヴァティーナ)、ムソルグスキー(作品135抜粋)の3人によるもの。先ずこういう編曲があることを知らなかったし、嬉しいサプライズでもあります。幸いペトルッチの楽譜ライブラリーを検索してみると、ムソルグスキー以外は全て楽譜も手に入ります。ラズモ第2の第3楽章の編曲がムソルグスキーではなくバラキレフというのも傑作ですが、ブックレットをダウンロードして編曲の経緯などを読みながら聴くのも一興ですね。

③は、日本フィルで楽しませてもらっているインキネンの新録音で、プロコフィエフの交響曲2曲というのが興味をそそります。日本フィルでプロコフィエフと言えばラザレフの縄張りで、インキネンのプロコフィエフは彼が首席を務めるドイツのオーケストラでなければ聴けないレパートリーでしょう。
この録音、もしかしてプロコフィエフ交響曲全集に発展していくのかしら、ね。

④これはいわゆるアーカイヴです。ハンス・ロスバウトは私が密かに愛聴している指揮者で、これほど纏まってベートーヴェン演奏が残っているのは知りませんでした。交響曲は全曲ではなく、第4と第9はありません。その代わり、第8は2種類の録音が収められています。
協奏曲では何と言ってもジネット・ヌヴーとのヴァイオリン協奏曲が大注目で、ゲザ・アンダとの皇帝も入ってます。恐らく全てモノラル録音だと思いますが、南西ドイツ放送が運営しているSWRクラシックス盤ですから、音質も期待できそう。ロスバウトの引き締まったテンポは、ベートーヴェンの刻みにはピッタリでは。CD7枚分と量的にも十分、大いに楽しめそうですね。

ということで、一日ではとても全部は聴き切れません。何日かかけてゆるゆると楽しむことにしましょう。

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