今日の1枚(96)

朝6時台の散歩でも汗ばむほどになってきました。
さてフルトヴェングラー、英EMIの Great Recordings of the Century のもう1枚は 7423 5 66990 2 という品番。

①ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲二長調作品61
②メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64

ヴァイオリンの独奏はどちらもユーディ・メニューイン、ウィルヘルム・フルトヴェングラーの指揮で①はフィルハーモニア管弦楽団、②はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団です。
②は既に「今日の1枚(76)」で取り上げていますので、ここでは本体は取り上げません。

当盤に附されたデータは、
①1953年4月7日と8日 ロンドン、キングスウェイホール
②1952年5月25日と26日 ベルリン、イエスキリスト教会

プロデューサーは①が Lawrence Collingwood と David Bicknell 、②は Lawrence Collingwood 。エンジニアは①が Douglas Larter 、②は Robert Beckett とクレジットされています。
②のデータは日本盤とは微妙に違っています。プロデューサーとエンジニアの名前も東芝盤には記載がありませんでした。う~~ん。

グレート・レコーデングスのブックレットはどれも充実していて、これは Alan Sanders の執筆。初めて知った情報や、日本では違った認識だった話題なども登場して吃驚します。詳しくは紹介できませんので、興味ある方は買って読んで下さい。

①はメニューイン/フルトヴェングラーにとって二度目の正規スタジオ録音です。一回目はルツェルンのオーケストラと録音したSPでしたが、LPが登場して再録音したのがこれ。定番として長く親しまれてきたベートーヴェンの代表的名演です。
録音も優れていますし、現在でも立派に現役でしょう。カデンツァは第1楽章も第3楽章もクライスラーのもの。

第1楽章のオーケストラにスコアとやや違う箇所が散見されます。ただし私の使用しているスコア(ユニヴァーサル)の印刷ミスの可能性もあるので、一概にフルトヴェングラーによる改変とは言えないかもしれません。順に挙げると、
55小節第3拍にコントラバスのピチカート追加。
62小節第4拍と63小節のコントラバスによるピチカート省略。
109小節第1拍にティンパニ追加。
247小節から256小節のティンパニは全て省略。
525・526小節と529・530小節にヴィオラの旋律線追加。

以上でしょうか。ティンパニの省略箇所については、奏者が落ちた可能性も否定できません。ここを叩かない演奏は他に聴いたことがありませんからね。とすれば、かなり重要なミスだと思いますが、どうしちゃったんでしょうか。

参照楽譜
①ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.45

 

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