今日の1枚(42)

昨夜晴海を辞す時も雨がパラついていましたが、今朝は快晴でした。気の早いハクモクレンが開花した樹もあり、シジュウカラのツツピーも聞かれます。春がスタートしたようです。
ベイヌムとコンセルトへボウ管弦楽団、今日はこれです。

①マーラー/交響曲第4番ト長調
②シベリウス/交響詩「エン・サガ」作品9

ポリグラムの POCL-4590(460 915-2) で、
①1951年9月、ソプラノ独唱はマーガレット・リッチー
②1952年12月の録音
録音場所は共にアムステルダムのコンセルトへボウ、プロデューサーは John Culshaw 、エンジニアはKenneth Wilkinson 。

①で驚かされるのは録音技術の進歩。僅か3年前のバルトークとは見違えるほどに音質が良くなっている事でしょう。もちろん最新のデジタル・ステレオに比べれば不満もありましょうが、音楽と演奏を鑑賞するにはほとんど気にならないレベルです。
ただ残念なのは、②にも共通することですが、超低音、特に大太鼓の音が物足りませんね。これは時代を考慮すれば止むを得ないでしょう。そこは聴く方の耳で調節することにして。

ベイヌムのマーラー/4番は、現代では素っ気無いほど淡々とした演奏。時に演奏時間が1時間をオーバーするものも少なくない中で、全体が52分チョッとというのはかなり速い部類に属すると思われます。
第2楽章冒頭のトライアングル、スコアでは4小節目に一つ鳴らす指示ですが、ベイヌムはここは鳴らさず、5小節目と6小節目に鳴らせています。この後のトライアングルと整合させたのでしょうか。
もう一つ、第3楽章の105小節と106小節。前のヴァイオリン・ソロを受け継いだヴィオラがレーラ、レーシ♭、と pp ppp で応える箇所。ここをヴィオラのソロに変えているように聴こえます。私の聴き違いかも知れませんが、スコアにはソロという指定はありません。
トライアングルの件共々、もしかするとコンセルトへボウにはマーラーが書き込んだパート譜が残されているかも知れず、個人的には興味が持たれる事実です。

ソプラノのリッチー Margaret Ritchie については、ブックレットには何の紹介もありません。
この人は1903年生まれ、1969年に亡くなったイギリスのソプラノで、シューベルトのリート歌手として有名だった方です。
もちろんオペラでも活躍、ブリテンの「レイプ・オブ・ルクレシア」のルチア役、「アルバート・へリング」のミス・ワーズワース役を最初に歌っています。
ヴォーン=ウィリアムスの南極交響曲の初演でヴォカリーズを務めたのもリッチー。

②はマーラーより更に1年後の録音だけあって、より素晴らしい音質。スリリングな演奏をシッカリ捉えています。ここでも大太鼓がもう少し明瞭であれば、と惜しまれますが・・・。
それでも最後のチェロの ppp など、左手の運指に伴う音が聴こえるよう。モノラルとしては最高クラスの出来だと思います。

参照楽譜
①インターナショナル・ミュージック No.1201
②ブライトコプフ(出版番号なし)

 

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