今日の1枚(83)

フルトヴェングラー大全集、チャイコフスキーに進みます。TOCE-3799 は、
①チャイコフスキー/交響曲第4番へ短調作品36
②チャイコフスキー/弦楽セレナード~第2楽章
③チャイコフスキー/弦楽セレナード~第4楽章
いずれもウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏。録音データは、
①1951年1月4・8~10日、2月16日 ウィーン、ムジークフェラインザール
②と③1950年2月2日 ウィーン、ブラームスザール
①の英国初出はSPでした。DB 21376/81S という品番で、5枚9面に収められ、最後の10面はブランクだったそうです(WERM第2巻)。
しかし音を聴いてみるとSP録音とは思えないほど鮮明。恐らくテープレコーダーに録音したものをSP化したのではないでしょうか。盤面の繋ぎ箇所も全く判りません。
チャイコフスキーの第4はフルトヴェングラーとしては珍しいレパートリーに属します。恐らくレッゲの意図が強く働いているのでしょう。
第1楽章第1主題の歌わせ方が如何にもフルトヴェングラー。レードドーシーと始まる最初の「レ」を思い切り長く伸ばしています。
コーダの繰り返しはもちろん実行しますが、ゆっくりと始めて次第にテンポを上げていくのもフルトヴェングラー。401小節と402小節の間にはパウゼを置かず、楽譜通り流れ込むのは現代的。
第4楽章の1小節目の音量が落ちているのは録音ミスでしょうか、それともCD化に当たっての編集ミス?
フルトヴェングラーはこの楽章に出るシンバルの扱いが気に入らなかったようで、いろいろ変更を加えています。
先ず副次部に入る手前の58小節目と、再現部の同じ箇所に相当する147小節目のシンバルを省略しています。
更にコーダに入ってから、271小節目の3拍目と4拍目にシンバルを加え、その代り273小節と274小節のシンバル(ここは大太鼓も)は省略という手の込んだ変更。
もう一つ、147小節の3拍目から4泊目にかけてトレモロのようなシンバルが聴こえますが、ここは鳴らしたのではなく、鳴ってしまったものと思われます。つまりシンバル奏者の事故でしょうか。
副次部の入り、60小節の前にはパウゼを置かないのに、再現部の同じ箇所、149小節の前には僅かなパウゼを置いています。ここも編集ミスの可能性あり。
コーダのホルン信号で一旦速度が落ちた後、テンポを主部に戻す所もゆっくりと始めて徐々にスピードを上げるのは第1楽章と同じ。
②と③は、当盤のデータでは同じ日の録音となっていますが、②は録音にムラがあるのに対し、③はキレイな音で録れています。
②はヨハン・シュトラウスのピチカート・ポルカとカップリングされたSP(DB 21173)が初出(WERM第1巻補巻)。対して③は単独のSP(DB 21172)(WERM第2巻)で初出。
②と③の状態が異なるのは、原テープの保存状態故か、LP(CD)化に用いた原盤の状態か、果て又そもそも録音日時が異なるのか、一切不明。
参照楽譜
①ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.71
②③オイレンブルク No.857

 

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