期待馬の凡走

昨日の日曜日、ロンシャンでは3つのクラシック・トライアルが行われ、まだら模様の結果が出ています。
3つのトライアルとは、
①ラ・グロット賞(GⅢ、3歳牝、1600メートル)
②フォンテンブロー賞(GⅢ、3歳、1600メートル)
③ラ・フォース賞(GⅢ、3歳、2000メートル)
グロット賞は去年ザルカヴァ Zarkava が勝ったレースと言えば手っ取り早いでしょう。
今年のザルカヴァに相当するのがプロポーショナル Proportional 、去年のマルセル・ブーサック賞を圧勝してフランスの2歳牝馬チャンピオンになった馬ですね。
当然ながら7対10という圧倒的人気を集めましたが、6頭立て3着に敗退、期待を裏切りました。
勝ったのはタマジルテ Tamazirte 、4番手から抜け出しました。調教師はルゲ、騎手はルメールです。このコンビ、今年のトライアル総なめの感があり、先日のメゾン=ラフィットでダブル、その前のノアイユ賞も勝っています。あまり早くから運を使ってしまっている感もありますが、ルゲ旋風と評して良いでしょう。
2着は首差でソネヴァ Soneva が強烈な追い込み。プロポーショナルは更に半馬身差3着。
このレースは恐ろしいほどにスローペースに落ちてしまい、結果をそのまま信じるわけにはいきません。勝タイムは1分42秒8、次のフォンテンブロー賞よりも3秒も遅いことが、それを如実に表しています。
負けたプロポーショナル、レース前は英1000ギニーで6対1の人気でしたが、これにより遠征取り止め。目標をフランス1000ギニーに変更しました。
勝ったタマジルテもフランス1000ギニーに向かいます。この馬は共同馬主で、その一人はフランスの防衛省長官。日本では騒がれるかも知れませんが、フランスでは競馬は立派な文化として認められていますから、この件はノー・プロブレム。
フォンテンブローは1番人気のシルヴァー・フロスト Silver Frost が2着ウェストファリア Westphalia に半馬身差をつけて順当勝ち。
3着は1馬身半でオワゾ・ド・フ Oiseau De Feu (火の鳥ですな)。
シルヴァー・フロストはこれがGⅢ3勝目、今年に入ってサン=クルーのオムニアム賞も勝っています。馬主サイドは3万ポンドの追加登録料を払って英2000ギニーに向かいたい意向ですが、調教師サイド(イヴ・ド・ニコライ)はフランス2000ギニーに食指。
このレースの注目はむしろ2着のウェストファリアでしょう。オブライエン厩舎が期待を籠めて送り込んできた馬です。ペースメーカーとしてセット・セイル Set Sail を出走させて万全を期しましたが、まさかの2着。どうも今年のオブライエンさんは運がないようです。
ラ・フォースは距離が伸びてダービー・トライアル。オブライエン厩舎はここにもダービー候補の呼び声高いブラック・ベアー・アイランド Black Bear Island を送り込んできましたが、3着敗退です。
13対10の本命に支持されていましたが、直線で前が塞がり、ムルタ騎手は無理をしませんでした。それでも最後は再度伸びる場面もありましたから、これで終わりということにはならないでしょう。
勝ったのはオンネ・ビヤン On Est Bien という馬。エリー・ルルーシュ調教師自身が生産した馬で、馬主も調教師夫人。所謂ファミリーの勝利です。
この馬はこれがシーズン3戦目、使われた有利は間違いないところですが、これも追加登録料を支払ってフランス・ダービーを目指す由。
敗退のブラック・ベアー・アイランド、英ダービーとブリーダーズカップ・ターフを制したハイ・シャパラル High Chaparral の全弟という良血馬ですから、まだまだ動向から目が離せません。

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