イギリス平場シーズン最後のG戦
10月も早や第4週、ヨーロッパの平場シーズンも終幕を迎えつあります。昨日はイギリスとアイルランドで今期最後のG戦が行われましたので、先ずイギリスから紹介して行きましょう。
G戦のグランド・フィナーレはドンカスターとニューバリー。ドンカスター競馬場のレーシング・ポスト・トロフィー Racing Post Trophy (GⅠ、2歳牡牝、1マイル)はシーズン最後のGⅠ戦です。
good to soft の馬場に7頭が出走。エイダン・オブライエン厩舎が3頭のG戦勝馬を登録して独占の構えでしたが、その1頭ドーヴィル Deauville を前走ロイヤル・ロッジ・ステークス(GⅡ)で破った3戦無敗のファウンデーション Foundation が10対11の断然1番人気。ドーヴィルが7対2の2番人気で続いていました。
しかしレースは大波乱。先ずオブライエン厩舎の6番人気(20対1)でベレスフォード・ステークス(GⅡ)勝馬のポート・ダグラス Port Douglas が逃げましたが、3番人気(7対1)でやはりオブライエン軍団のヨハンネス・フェルメール Johannes Vermeer が抜けて先頭。一塊になった後続はゴチャ付き、ファウンデーションは行き場を失ってもがくのを尻目に、前半は最後方を追走していた最低人気(33対1)のマーセル Marcel が伸び、ヨハンネス・フェルメールを1馬身半差し切る大逆転。ファウンデーションは2馬身半離された3着と期待を裏切ってしまいました。
勝ったマーセルは、前走ニューカッスルの7ハロン戦で初勝利を挙げたばかりで、これが未だ3戦目。管理するピーター・チャップル=ハイアム師はオーソライズド Authorized 以来で3度目のレーシング・ポスト・トロフィー制覇となります。騎乗したアンドレア・アトゼニは、何とこのレース3連覇。
この勝利でマーセルには、来年の2000ギニー、ダービー共に25対1のオッズが出されました。ピーター・チャップル=ハイアム師の見解では同馬は仏ダービー・タイプとのことでしたが、陣営はエプサム・ダービー制覇の夢を見ながら冬を越すことになりそうです。
今年最後のG戦の舞台は、例年通りニューバリー競馬場。こちらも good to soft 、所により soft の馬場にG戦は2鞍。ホリス・ヒル・ステークス Horris Hill S (GⅢ、2歳牡せん、7ハロン)は2頭が取り消して9頭立て。前走トトソルズ・ステークス(GⅢ)4着のゾンダーランド Zonderland が7対4の1番人気に支持されていました。
最低人気(25対1)のオペラ・バロン Opera Baron が逃げましたが、3番手を追走していた3番人気(5対1)のスタート・タイム Start Time が最後の直線で右に左にと大暴れ。この結果ほとんどの馬が影響を受ける乱戦となり、後方で待機していた2番人気(4対1)のクレージー・ホース Crazy Horse がスタート・タイムをハナ差捉えて勝利。更にハナ差で4番人気(6対1)のリターン・オブ・ザ・マック Return of the Mak 3着という大混戦です。人気のゾンダーランドは5着。スタート・タイムに騎乗していたウイリアム・ビュイックが不注意騎乗で5日間の騎乗停止処分となっただけで、着順の変更はありませんでした。
ジョン・ゴスデン厩舎、ロバート・ハヴリン騎乗のクレージー・ホースはゴスデン夫人の所有馬で、ニューマーケットの7ハロン戦でデビュー勝ちしたばかり。これで2戦2勝、無傷のまま来シーズンに備えることになります。
今年のG戦フィナーレはセント・サイモン・ステークス St Simon S (GⅢ、3歳上、1マイル4ハロン5ヤード)。9頭が出走しましたが、人気になったのは3頭が参戦していた3歳馬たちで、前走パーク・ヒル・ステークス(GⅡ)6着ながらクーラ Koora が5対2の1番人気。
8番人気(20対1)のティー・ブロッソム Tea Blossom が逃げましたが、3番手に付けていたクーラが抜け、同じく2番手追走の2番人気(7対2)メロディアス Melodious を1馬身半差捉えて見事期待に応えました。更に半馬身差で4番人気(6対1)のモデラー Moderah が3着に入り、3歳馬が1着から3着までを独占。3歳馬のレヴェルが高い今年を象徴するような結果でシーズンを終えました。
勝ったクーラはルカ・クマニ厩舎、ジェイミー・スペンサー騎乗。2着のメロディアスはパーク・ヒル4着でクーラに先着していましたが、その前のヨークのリステッド戦ではクーラがメロディアスを破っており、その実績がここでも証明された形です。
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