敵無し? アンライバルド

皐月賞、見てました。馬券など買いませんので気楽な観戦です。
“ロジユニバース、1頭だけ大人ですね” などと解説者がまるで勝ったような事を言っていましたが、解りませんね、競馬は。
私は後出しジャンケンみたいだけど、例によって血統を紐解いて見ましょう。
競馬ファンの中には「血統オタク」という人達が少なからずいて、特にクラシック・レースになると “この馬はクラシック血統じゃないから” などと侃々諤々の議論になります。
今年の皐月賞、終わってみれば良血党には堪らない結果になりましたな。
本命に推されていたロジユニバース、血統を調べると、昔よく言われていた「サラ系」に当たります。つまり由緒正しい英国のジェネラル・スタッド・ブック General Stud Book に遡れない牝系。日本ではこれを一括して「サラ系」と称していました。(今は使われないんでしょうか)
その昔のダービーで本命になったサラ系・タカツバキがスタート直後に落馬、“サラ系の祟り”なんて言われたもんです。
ロジユニバースの牝系はイギリスでも“Verdict 伝説”と呼ばれていて、ファミリーナンバーで言うとB3号族に分類されるサラ系です。
このファミリーからソニック・レディー Sonic Lady という名馬が出て愛1000ギニー、コロネーション、サセックス、ムーランを制圧、現在ではサラ系を話題にする人もいませんが、Verdict を基礎牝馬とする血統であることは事実です。
ロジユニバースは正にソニック・レディから下ってくる直接のファミリー・ライン。クラシックに勝てば快挙であったことに違いはありません。
(まだダービーも菊花賞もありますから落胆は尚早です)
一方、名前の通り「敵無し」の勝ち方をしたアンライバルド。こちらは絵に描いたような名血です。5代血統表を御覧なさい。
http://www.pedigreequery.com/unrivaled4
2代母に Sun Princess の名前が燦然と輝いているじゃありませんか。
このサン・プリンセスこそ未勝利馬ながら完全とエプサム・オークスに挑戦、2着を12馬身もぶっちぎる圧勝劇を演じ、秋にはセントレジャー(日本の菊花賞)でも牡馬をなぎ倒して2冠を達成した名牝なのですゾ。
(オークスのとき、イギリスのクラシックを未勝利馬で制したのは33年ぶりという快挙でした)
それだけじゃありませんよ。オークスのあと果敢にもキングジョージに参戦して古馬相手に3着、その年の凱旋門賞もあわやの2着。
サン・プリンセスが繁殖に入って8歳の時に産んだ娘がバレー・クイーン Ballet Queen 。
そのバレー・クインが日本に輸入されて産んだ子供達がまた凄い。何しろこの母、1993年から2000年まで8年間ぶっ続けに子供を産み、1年休んで2002年から2006年まで産駒を出し続けています。14年間で13頭の子供!!
ただ子供がいるというだけじゃありませんね。
初仔のフサイチコンコルドは1996年のダービー馬にして菊花賞3着。
2番目の娘グレースアドマイヤは繁殖に上がってから、一昨年の皐月賞馬ヴィクトリーを出す。
そして2006年に生まれたのが、我がアンライバルド。
アンライバルド、名前の意味は Unrivaled ですから、「あん・らいばるど」と読んで下さいね。「あんらい・ばるど」と言わない様に。
サン・プリンセスの牝系は、イギリスでも最もクラシックに縁の深い1号族のLという分岐に属しています。近親にも距離が伸びて力を発揮する馬ばかり。
このファミリーから出たアンライバルド、少なくとも血統から判断する限り、ダービーに距離の問題は全くありませんね。

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