ダンテ、半世紀ぶりに地元へ

ヨーク競馬場のダンテ開催、昨日の二日目は開催の冠でもあるダンテ・ステークスを中心に2鞍のG戦が行われました。

最初はミドルトン・ステークス Middleton S (GⅡ、4歳上牝、1マイル2ハロン88ヤード)。good の馬場に8頭立て。ここ10年で7勝と1番人気が強いレース、今年の1番人気(2対1)はフランスから遠征してきたダルカラ Dalkala で、既にGⅡを勝っている2ポンドのペナルティーにも拘わらず格上との評価です。
ネゴシエイト Negotiate の逃げをジックリ見て進んだダルカラ、少し早いようにも見えましたが残り1ハロンで抜け出すと、アンビヴァレント Ambivalent の追撃にも怯まず1馬身差を付けて優勝、今年も本命馬としての貫録を見せ付けました。首差で2番手追走のレディーズ・ファースト Ladys First が3着。

アガ・カーン所有のダルカラは、アラン・ド・ロワイヤー=デュプレ師の管理馬でクリストフ・ルメール騎乗。去年のフランス・オークス5着馬で、秋にはロワイヤリュー賞(GⅡ)を制覇。今期は前走ダルクール賞(GⅡ)4着での試走を経、三つ目のG戦を獲得しました。
今回はやや輸送に手古摺ったようですが、デュプレ師によればフランス競馬はとかくスローペースに成り勝ちで、末脚勝負のダルカラには適さないとのこと。サン=クルー大賞典を目指してはいるものの、陣営は流れが速くなる英国競馬により魅力を感じている様子。必ずヨークシャー・オークスに戻ってくることを誓っていました。

そしてダービーへの最大のトライアルとなるダンテ・ステークス Dante S (GⅡ、3歳、1マイル2ハロン88ヤード)。ダービーを目指すべく8頭が出走してきましたが、1番人気(11対4)に推されたのは、先週行われた四つのダービー・トライアルを全て制したエイダン・オブライエン厩舎のインディアン・チーフ Indian Chief 。前走4月にレパーズタウン競馬場で初勝利を記録したばかりですが、2歳時のデビュー戦でクリテリウム・インターナショナル勝馬ロッホ・ガーマン Loch Garman の2着した馬。その関係から見ても人気は当然でしょう、鞍上もジョセフ・オブライエン。
レースはダッシング・スター Dashing Star の逃げ、インディアン・チーフは最後方に待機します。2番手に付けた4番人気(5対1)でこれもアイルランドから遠征してきたトレーディング・レザー Trading Leather が抜け、インディアン・チーフも追い込んできましたが、最後の1ハロンで抜けたのは、やはり後方を進んだブービー人気(33対1)のリバータリアン Libertarian 。2着トレーディング・レザーに1馬身4分の1差をつけ、インディアン・チーフは更に4分の3差で3着に終わりました。

観衆をあっと言わせ、歓喜に導いたリバータリアンは、地元ヨークシャーに厩舎を構えるエレーン&カール・バーク夫妻が調教する馬。ヨークシャー調教馬がダンテを制したのは、何と1962年のバリメライス Ballymarais (後に我が国に種牡馬として輸入された)以来のこと。ほぼ半世紀ぶりの快挙です。
3歳になってデビューした若馬で、ポンテフラクトでデビュー勝ちしたあと4月26日にサンダウンのクラシック・トライアルで4着。騎乗していたフィル・メーキンの判断が拙かったこと、馬が未だ経験不足だったこともあって、今回は余り間隔を開けずにウイリアム・ビュイックを鞍上に迎えての勝利。ダービー出走は未定ですが、20対1のオッズが出されました。

結果は荒れたダンテですが、2着のトレーディング・レザーを管理するジム・ボルジャー師は満足げ。ダービーの断然中心馬ドーン・アプローチ Dawn Approach を預かる師はロッホ・ガーマン Loch Garman も管理しており、同馬はドーン・アプローチに何か問題が発生しない限りはエプサムには向かわない由。ロッホ・ガーマン共々フランスかアイルランドのダービーに向かうことを示唆しています。
一方、3着に終わったインディアン・チーフのオブライエン陣営も決して失望してはいません。騎乗したジョセフは、同馬の(1マイル半への)スタミナに確信を持った模様で、エプサムにはトライアル勝利組と共に参戦しそうな勢いでした。

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