2009クラシック馬のプロフィール(1)
今年は英国クラシック馬の血統から見たプロフィールを紹介していこうと思います。その1回目は2000ギニーを制したシー・ザ・スターズ Sea The Stars 。
漠然と「血統」というと多くは父系を指すのですが、私は競走馬の血統で最も注目すべきなのは「牝系」と考えています。つまり母、祖母、曾祖母と繋がっていく女系の歴史。種馬はあくまでも「種」、それは人間にも当て嵌まると言ったらお叱りを受けるでしょうか。
レースのレポートでも簡単に触れたとおり、シー・ザ・スターズはアーバン・シー Urban Sea の産駒であることに先ず注目しなければならないでしょう。
アーバン・シーは牝馬ながら1993年の凱旋門賞を制した女傑。とは言ってもそれまでGⅠに勝った実績はなく、レースではほとんど人気の無い一頭でした。
単勝オッズは37対1。2着ホワイト・マズル White Muzzle は更に人気がなく54対1という大荒れ。漸く3着にオペラ・ハウス Opera House が食い込んだレースですね。
37対1というのはあくまでもフランスの公式馬券(日本と同じ様に賭けた率で配当が決まります)でのこと、イギリスのブックメーカーで買った人は確か66対1ぐらいだったはずです。
アーバン・シーはこのあとジャパン・カップにも挑戦し、レガシーワールドの8着で入線しています。覚えていますか?
さて繁殖に上がってからのアーバン・シーの成績を見てみましょう。
()内はその父、種馬です。
1996 アーバン・オーシャン(ベーリング) Urban Ocean
1997 メリカー(ラムタラ) Melikah
1998 ガリレオ(サドラーズ・ウェルズ) Galileo
1999 スラック・サム・ベラミー(サドラーズ・ウェルズ) Slack Sam Bellamy
2001 オール・トゥー・ビューティフル(サドラーズ・ウェルズ) All To Beautiful
2002 マイ・タイフーン(ジャイアンツ・コーズウェイ) My Typhoon
2004 チェリー・ヒントン(グリーン・デザート) Cherry Hinton
2005 シーズ・レガシー(グリーン・デザート) Sea’s Legacy
2006 シー・ザ・スターズ(ケイプ・クロス) Sea The Stars
初産駒のアーバン・オーシャンはアイルランドで2歳チャンピオンになった馬ですし、何と言っても3年目にダービー、愛ダービー、キングジョージに勝ったガリレオを出したのが大注目。他にスラック・サム・ベラミーはイタリアとアイルランドでGⅠに勝ちイタリアの3歳チャンピオンになった強豪です。
娘たちも負けていなくて、メリカーはオークス3着で愛オークス2着、オール・トゥー・ビューティフルはオークス2着で愛オークス4着。マイ・タイフーンはアメリカの芝コースでGレースに6勝、GⅠのダイアナ・ハンデを制するという具合。
正にアーバン・シーはオーナー(凱旋門賞以来ずっと香港のツィ・ファミリー)にとって宝の山でした。残念ながらアーバン・シーは今春亡くなりましたが、ガリレオとシー・ザ・スターズという2頭のクラシック馬の母となり、近年のイギリスでは最も成功した繁殖牝馬と言えましょう。
しかしこのファミリー、遡ればドイツの名門牝系に行き当たるのです。アーバン・シーの5代母アステルブルーテ Asterblute は、1949年の独1000ギニー、独オークスに勝ったばかりか牡馬を蹴散らして独ダービーも勝った馬。ドイツの名門牧場シュレンデルハン牧場の基礎牝馬となっています。
アーバン・シーの3代母アナテフカ Anatevka もドイツで勝った牝馬ですが、産駒アンノ Anno は独セントレジャーを勝ち、アナタス Anatas も準クラシックと言えるユニオン・レンネン(GⅠ)を制しています。
そのアナテフカの娘アレグレッタ Allegretta が漸くイギリスで競馬、リングフィールド・オークス・トライアルで2着に入りました。
アレグレッタはアメリカに転戦、そのまま引退して繁殖生活に入りますが、その産駒は全てヨーロッパに戻って競走、アーバン・シーもその1頭です。
アレグレッタはアーバン・シーの他に2000ギニーを制したキングズ・ベスト(父キングマンボ)を出してクラシック馬の母となります。
以上、シー・ザ・スターズの牝系を簡単に描けば、母は凱旋門賞馬、兄にダービーと愛ダービーを制した名馬、叔父に2000ギニー馬。遡ればドイツのクラシック血統と言うことになりましょうか。
シー・ザ・スターズの父はケイプ・クロス Cape Cross 、グリーン・デザート Green Desert からダンジグ Danzig を経てノーザン・ダンサー Northern Dancer に到るサイアー・ラインですが、スタミナよりはスピードが勝っている血統ではあります。
しかしケープ・クロスは既にオークス、愛オークスに勝ち、凱旋門賞で3着という実績を残したウイジャ・ボード Ouija Board を輩出しています。
シー・ザ・スターズの牝系はあまり父親の影響を受けない実績がありますし、父も決してスタミナに不安があるとは言えません。
ダービーにも勝ち、一部で期待されているように40年ぶりの三冠馬に輝けば、シー・ザ・スターズの種牡馬としての価値は天上知らずになることでしょう。
ファミリー・テーブルでは9号族hに分類されます。
漠然と「血統」というと多くは父系を指すのですが、私は競走馬の血統で最も注目すべきなのは「牝系」と考えています。つまり母、祖母、曾祖母と繋がっていく女系の歴史。種馬はあくまでも「種」、それは人間にも当て嵌まると言ったらお叱りを受けるでしょうか。
レースのレポートでも簡単に触れたとおり、シー・ザ・スターズはアーバン・シー Urban Sea の産駒であることに先ず注目しなければならないでしょう。
アーバン・シーは牝馬ながら1993年の凱旋門賞を制した女傑。とは言ってもそれまでGⅠに勝った実績はなく、レースではほとんど人気の無い一頭でした。
単勝オッズは37対1。2着ホワイト・マズル White Muzzle は更に人気がなく54対1という大荒れ。漸く3着にオペラ・ハウス Opera House が食い込んだレースですね。
37対1というのはあくまでもフランスの公式馬券(日本と同じ様に賭けた率で配当が決まります)でのこと、イギリスのブックメーカーで買った人は確か66対1ぐらいだったはずです。
アーバン・シーはこのあとジャパン・カップにも挑戦し、レガシーワールドの8着で入線しています。覚えていますか?
さて繁殖に上がってからのアーバン・シーの成績を見てみましょう。
()内はその父、種馬です。
1996 アーバン・オーシャン(ベーリング) Urban Ocean
1997 メリカー(ラムタラ) Melikah
1998 ガリレオ(サドラーズ・ウェルズ) Galileo
1999 スラック・サム・ベラミー(サドラーズ・ウェルズ) Slack Sam Bellamy
2001 オール・トゥー・ビューティフル(サドラーズ・ウェルズ) All To Beautiful
2002 マイ・タイフーン(ジャイアンツ・コーズウェイ) My Typhoon
2004 チェリー・ヒントン(グリーン・デザート) Cherry Hinton
2005 シーズ・レガシー(グリーン・デザート) Sea’s Legacy
2006 シー・ザ・スターズ(ケイプ・クロス) Sea The Stars
初産駒のアーバン・オーシャンはアイルランドで2歳チャンピオンになった馬ですし、何と言っても3年目にダービー、愛ダービー、キングジョージに勝ったガリレオを出したのが大注目。他にスラック・サム・ベラミーはイタリアとアイルランドでGⅠに勝ちイタリアの3歳チャンピオンになった強豪です。
娘たちも負けていなくて、メリカーはオークス3着で愛オークス2着、オール・トゥー・ビューティフルはオークス2着で愛オークス4着。マイ・タイフーンはアメリカの芝コースでGレースに6勝、GⅠのダイアナ・ハンデを制するという具合。
正にアーバン・シーはオーナー(凱旋門賞以来ずっと香港のツィ・ファミリー)にとって宝の山でした。残念ながらアーバン・シーは今春亡くなりましたが、ガリレオとシー・ザ・スターズという2頭のクラシック馬の母となり、近年のイギリスでは最も成功した繁殖牝馬と言えましょう。
しかしこのファミリー、遡ればドイツの名門牝系に行き当たるのです。アーバン・シーの5代母アステルブルーテ Asterblute は、1949年の独1000ギニー、独オークスに勝ったばかりか牡馬を蹴散らして独ダービーも勝った馬。ドイツの名門牧場シュレンデルハン牧場の基礎牝馬となっています。
アーバン・シーの3代母アナテフカ Anatevka もドイツで勝った牝馬ですが、産駒アンノ Anno は独セントレジャーを勝ち、アナタス Anatas も準クラシックと言えるユニオン・レンネン(GⅠ)を制しています。
そのアナテフカの娘アレグレッタ Allegretta が漸くイギリスで競馬、リングフィールド・オークス・トライアルで2着に入りました。
アレグレッタはアメリカに転戦、そのまま引退して繁殖生活に入りますが、その産駒は全てヨーロッパに戻って競走、アーバン・シーもその1頭です。
アレグレッタはアーバン・シーの他に2000ギニーを制したキングズ・ベスト(父キングマンボ)を出してクラシック馬の母となります。
以上、シー・ザ・スターズの牝系を簡単に描けば、母は凱旋門賞馬、兄にダービーと愛ダービーを制した名馬、叔父に2000ギニー馬。遡ればドイツのクラシック血統と言うことになりましょうか。
シー・ザ・スターズの父はケイプ・クロス Cape Cross 、グリーン・デザート Green Desert からダンジグ Danzig を経てノーザン・ダンサー Northern Dancer に到るサイアー・ラインですが、スタミナよりはスピードが勝っている血統ではあります。
しかしケープ・クロスは既にオークス、愛オークスに勝ち、凱旋門賞で3着という実績を残したウイジャ・ボード Ouija Board を輩出しています。
シー・ザ・スターズの牝系はあまり父親の影響を受けない実績がありますし、父も決してスタミナに不安があるとは言えません。
ダービーにも勝ち、一部で期待されているように40年ぶりの三冠馬に輝けば、シー・ザ・スターズの種牡馬としての価値は天上知らずになることでしょう。
ファミリー・テーブルでは9号族hに分類されます。
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