これぞ昭和レトロ、外山/N響の運命

放送音楽

引き続きテレビ放送の録画。10月N響定期から、外山雄三の指揮でブラームスのピアノ協奏曲第1番とベートーヴェンの第5交響曲。ソロは、N響定期では珍しく日本人ソリストで小山実稚恵。プログラムを見て、これは「懐かしのN響・名演奏シリーズ」かと思いましたよ。でも、これ、この間実際にNHKホールでやってたんですねぇ。

ブラームスの協奏曲。確か小山は初めて弾く、って何かに書いてあったと思います。その所為ですかね、小山のスタンダードからすると結構ミスタッチがありましたし、まだ音楽を完全には自分の物にしていない恨みがありました。特に第1楽章。第2楽章の後半あたりからは、いつものパワー溢れるピアノを響かせていました。

ところで第1楽章にホルン信号があります。提示部は第3ホルン、再現部は第1ホルンの担当なんですね。映像を見ていて気が付きました。
で、第3ホルンは樋口が吹いていました。この人、以前は首席でしたよね。今回の第1は吉永。この人は新日本フィルの首席だったと思いましたが、N響に移籍したんですかね。そう言えばN響で吹くのをよく見ます。

もう一つ。ブラームスの1番は、指揮者にとって3大難曲協奏曲の一つなんだそうです(沼尻くんの話)。ヘッポコ指揮者は、絶対にこれは振らない由。どこが難しいかというと、多分、第1楽章の8分の6の振り方と、第3楽章のピアノとの合わせ、でしょうね。
第1楽章は六つに振ると慌しいし、二つではアンサンブルを合わせるのが至難の業。外山さんの指揮を見ていたら、楽章全て二つ振りに徹してました。アンサンブルが合わないのはN響のお家芸。この日もお家芸連発でしたが、振り方の所為だけでもなさそうですけど。

外山さんにとっては、N響のメンバーは皆小僧っ子でしょう。二つ振り、後はオレについて来い、と言ったかも知れませんな。

メインの第5。これは昔ながらの素晴らしい第5でした。
ところで外山雄三と言えば、N響定期の指揮台に立った最初の日本人指揮者。そのときの曲目もベートーヴェンの第5交響曲でした。知ってますかぁ。私は子供の時にシッカリとテレビで見て目に焼きついています。両足をガッ、と広げて、エネルギッシュな棒でしたよぉ。

ですから、私のようなロートルにとって、外山と言えばベートーヴェンの運命。運命と言えば外山雄三なのです。
傍で見ていた家内が、モノラル録音で聴いている運命みたい、って言っていましたが、正しくそれ。往年の第5はこういうスタイルでしたし、我々はこういうベートーヴェンを聴いて育ったんです。そう、昭和レトロの「運命」。N響もずっと腕が上がって、ヨッフム/ベルリンの第5とか、ベーム/ベルリンの第5とかとあんまり変わりませんよね。

あぁ、懐かしかった。

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