NHK音楽祭2007/マリインスキー劇場管弦楽団
放送音楽
1週前に放送されたプログラム、やっと見る時間が出来ました。先日インカントでご一緒したT夫人が行かれたコンサートの録画ですね。
ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団によるロシア・バレエの精髄。チャイコフスキーのバレエ組曲「白鳥の湖」、プロコフィエフのバレエ「ロメオとジュリエット」組曲からの抜粋、最後はストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」。2007年11月18日、NHKホールでの演奏。
オーケストラの並び方が他とは違います。ヴィオラが右に出る普通のスタイルですが、コントラバスが左手奥、つまりヴァイオリン群の後に位置しています。ホールで聴くとどんな感じ゛なんでしょう。
あと、ハープがヴィオラとチェロの間、それも指揮者に近い位置に置かれているのも目を惹きます。現地でもこういう配置なんですかね。
ゲルギエフは指揮台に乗って指揮していました。これがナマで聴いた東京交響楽団のときと違うところ。ミューザではオケとのコンタクトに特別なものを感じましたが、マリインスキーではそんな特別なものはなく、日々繰り返されるルーチーンなコンサートでした。
楽器もいわゆる西洋オーケストラとは違うように見えましたが、詳しいことは分かりません。
チャイコフスキーとプロコフィエフはトランペットとコルネットを使い分ける楽譜ですが、この演奏では全てトランペットで演奏していたと思います。特に首席は楽器をやや斜に構え、ラッパ口を高く掲げて吹くんですよ、マーラーみたいに。
白鳥の湖は、普通の組曲版。オイレンブルク版と同じ選曲版でした。ゲルギエフ独特のテンポや思い切ったルバートがかかります。ヴァイオリン・ソロの入る情景などオッソロシク遅いテンポなんですが、それが緊張には繋がらず、間延びした感じに聴こえてました。
プロコフィエフは7曲が選ばれました。まず第2組曲の最初の3曲、「モンタギュー家とキャプレット家」、「少女ジュリエット」、「修道士ロレンス」、次に第1組曲から「メヌエット」と「仮面」。
再び第2組曲に戻って「ロメオとジュリエットの別れの場」、最後に第1組曲の「タイボルトの死」。
要するに、大ホールを埋めたお客さんに喜んでもらえる華やかな終わり方です。当然に大喝采。
春の祭典。ゲルギエフでこれを最初に聴いたのは、確かクラシック7で放送された海外のコンサート、ロッテルダム・フィルだったと思いますが、大変な衝撃でしたよ。とんでもない名演が現われたもんだと驚愕しました。
でも、もうあの衝撃はありませんね。随所にゲルギーならではの独特なアゴーギグは聴かれるものの、どれもワザとらしく聴こえてしまうのでした。特に最後の一発、ナンですか、あの「タメ」。ネタばれした手品を見ているよう。
アンコールを3つも続けてやってました。チャイコフスキーのくるみ割りからパ・ド・ドゥ~アダージョ、プロコフィエフからオレンジの行進曲。再びくるみ割りのトレパーク。
客席は大喜びでしたが、どうも私は一つ面白くなかった。この類のコンサート、タダ券を貰えば有難く行きますが、自ら高いチケット代を払う気は起きません。
これなら東京交響楽団との邂逅コンサートの方がサプライズがあったし、はるかに音楽を聴く喜びがありましたもの。
マリインスキー劇場のオケ、さすがにマッシヴな迫力では適いませんが、奏者個々に限れば、日本のオケの方が上手い。
別にゲルギーとマリインスキーを貶しているわけじゃないんですが、どうもねぇ。という、テレビを見た限りでの感想。
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