ロイヤル・アスコット2009・3日目

イェーツ、ゴールド・カップ4連覇達成!! というのが今日の大見出しです。歴史を変えた日。
ゴールド・カップ「金杯」に4回チャレンジして4勝、正に100%の勝率は「純金」 Pure Gold とも。
しかし今年はレース順に結果をレポートしていますから、今日もルールを守ります。ところで木曜日はレディース・デイ。どういう特典と言うか特色があるか知りませんが、こんな雰囲気です。
http://gallery.sportinglife.com/Gallery_Detail/0,17732,13262_5387404,00.html
第1レースはノーフォーク・ステークス(GⅡ、2歳、5ハロン)。12頭が出走し、前2日で勝馬を出しているアメリカ遠征組、ウォード/ヴェラスケス・コンビのヨガルー Yogaroo に注目が集まります。
そのヨガルー、勝負所でヴェラスケス騎手がムチを見せると驚いて左に激しくよれます。これが1番人気(6対4)のムッシュ・シュヴァリエ Monsieur Chevalier にぶつかり、連鎖でレイジォヘッド Radiohead にも衝突。
しかし10対1のレイジォヘッド、これにもめげずに体勢を立て直し、見事にバランスを回復して快勝。
2着は2馬身差で大穴レイニャー Reignier 、3着は半馬身でタワーブ Tawaabb 。
冷静に対処したジェイミー・スペンサーの好騎乗が光りました。
1番人気のムッシュ・シュヴァリエは不運な4着。
勝馬の調教師はブライアン・ミーハン師。
第2レースはリブルスデール・ステークス(GⅡ、3歳牝、1マイル4ハロン)。オークスと同じ距離ですから、残念オークス。オークスに間に合わなかった馬たちの戦いです。
10頭立ての1番人気は無敗の新星レオコルノ Leocorno 。しかし若さが出たか実力が劣るのか4着敗退。
勝ったのは5対1に支持されたフライング・クラウド Flying Cloud 。2着は4馬身離されてセシル厩舎のフレーム・オブ・ジブラルタール Flame Of Gibraltar 、3着には1馬身4分の1でユーヴィンザ Uvinza が入っています。
フライング・クラウドはゴドルフィンの馬、デットーリ騎乗。
今シーズンのゴドルフィンは絶不調、開幕から3ヶ月はほとんど勝鞍がない状態でした。
主戦のデットーリも得意のフライング・ディスマウントを披露する機会が無く、フラストレーションの続く日々だったと思います。
初日、ゴドルフィンのエースと目されていたグラディアトラスの6着敗退がその象徴でもありましたね。
それだけにフライング・クラウドの圧勝はトンネルを抜けた感じ。喜びも一入だったでしょう。
この馬、6週間前にフランスのファーブル厩舎からサイード・ビン・スオール厩舎に移籍してきたばかりで、運も向いてきたのかもしれません。
今日は逃げるアニス・ステラート Anice Stellato を2番手でマークしての抜け出し。次はアイルランド・オークスに挑戦する計画だそうです。
いよいよ第3レースがアスコット・ゴールド・カップ(GⅠ、4歳上、2マイル4ハロン)。ステイヤー9頭が顔を揃えました。
注目は何と言ってもこれまで3連覇のイェーツ Yeats 。前走ネイヴァンでの6着惨敗で4連覇に黄信号が灯っていただけに、オブライエン師の心痛も並のものではなかったでしょう。
しかしブックメーカー各社はイェーツの実力を信じ、結局は6対4の1番人気に。
レースはヒンドゥー・クシュ Hindu Kush の逃げをデットーリ騎乗のヴェラシティー Veracity がマークする展開。ムルタのイェーツは終始3~4番手で機を窺っています。
ゴール前3ハロン、イェーツにエンジンがかかって一気に先頭に抜けると、スタンドからは怒涛の如き大歓声が・・・。
やはりイェーツは強かった。そのまま追いすがるパトカイ Patkai を寄せ付けず、3馬身半の差を付けて4連覇達成。
3着は前2年共に2着だったジョーディランド Geordiland が15馬身離されて流れ込みます。
先行したヴェラシティーとワシントン・アーヴィング Washington Irving は競走を中止するという激しいレースでした。
イェーツとジョーディランド、3度の対決は最初が1馬身半、去年が5馬身、遂に今年は19馬身と、年を重ねる毎に開いていったのですね。
オブライエン師、“信じられない!” の一言。実は師、朝からプレッシャーのために胃がキリキリと痛んでいたことを告白しています。
ジョニー・ムルタ騎手、今ロイヤル開催の勝鞍はこれで4勝。3日目までで勝鞍トップに躍り出ています。残念ながら騎乗停止処分のため残り2日間は騎乗出来ませんが、他のジョッキー次第では開催リーディングを獲得するチャンスが残されています。
イェーツの今後、果たして来年の5連覇を目指すことになるのか。それは神のみぞ知るところでしょう。
クールモア総裁のマニエ氏の言葉、“皆がイェーツを見ることを喜びとしている、イェーツも走ることを喜びとしている、そして我々スタッフもイェーツと共に競馬場に行くことを喜びとしている”。
これに尽きるのではないでしょうか。
この日の残り3レースはどれもパターン・レースではありません。結果だけ簡単に。
第4レースはブリタニア・ステークス。3歳のみ1マイルのハンデ戦です。
何と30頭立て。4頭がゴール前で並ぶ大接戦となりましたが、勝ったのは20対1、エド・ダンロップ厩舎のファリーア Fareer 。リチャード・ヒルズ騎乗でした。
4頭の着順は頭、短頭、短頭の激戦。
6対1の1番人気ブリーフ・インカウンター Brief Encounter は6着止まり。
第5レースは3歳の1マイル2ハロンで争われるリステッド、ハンプトン・コート・ステークス。
12頭立てを制したのは8対1のグラス・ハーモニアム Glass Harmonium 。スタウト/ムーア・コンビの今ロイヤル開催初勝利です。
スタウト師、初日は2着3回、ゴールド・カップも2着でしたが、これでやっと晴れ間が見えました。
イーヴンの1番人気フリーマントル Freemantle は5着敗退。
2着はフランス(ロワイヤー=デュプレ厩舎、モッセ騎乗)のキャッシェルガー Cashelgar で、直線での進路妨害が審議になりましたが、不思議にも着順通り確定しています。
第6レースは3歳のハンデ戦、1マイル4ハロンのキング・ジョージ5世ハンディキャップ。
19頭立てを制したのは超大穴、66対1というコスミック・サン Cosmic Sun 。大穴の筈です、これまで10戦して一度も勝ったことのない馬。
調教師リチャード・ファヘイ師も吃驚でしょう。騎乗したポール・ハナガン君はロイヤル・アスコットでの初勝利でした。
ここでも1番人気(9対2)は敗退、ザリンスキ Zarinski は4着。
以上、イェーツに沸いたアスコット3日目でした。

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