アルトゥール・ロジンスキ指揮ニューヨーク・フィル(3)
引き続き1943-1944シーズンのプログラムです。
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1943年12月30・31日 カーネギーホール
ロイ・ハリス/戦時の行進曲(世界初演)
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番
マルティヌー/交響曲第2番
R.シュトラウス/ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ピアノ/ロベール・カサドシュ
1944年1月1日 カーネギーホール
ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
ロイ・ハリス/戦時の行進曲
マルティヌー/交響曲第2番
R.シュトラウス/ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年1月2日 カーネギーホール
ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番
ロイ・ハリス/戦時の行進曲
R.シュトラウス/ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ピアノ/ロベール・カサドシュ
1944年1月3日 ニューユーク・ハローラン病院
ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
チャイコフスキー/交響曲第4番~第3・4楽章
ガーシュイン/パリのアメリカ人
ベートーヴェン/交響曲第5番
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年1月5・7日 カーネギーホール
スティル/民主主義のために死した黒人兵への「イン・メモリアル」(世界初演)
ドヴォルザーク/交響曲第9番
デュケルスキー/ヴァイオリン協奏曲ト短調
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ヴァイオリン/ルース・ポッセルト
1944年1月8・9日 カーネギーホール
スティル/民主主義のために死した黒人兵への「イン・メモリアル」
ドヴォルザーク/交響曲第9番
モーツァルト/ピアノ協奏曲ハ長調K.467
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ピアノ/オルテンセ・モナース
1944年1月10日 ニューヨーク、ホテル・プラザ
マーラー/交響曲第2番~第2楽章
モーツァルト/交響曲第40番
シューベルト/「ロザムンデ」~間奏曲とバレエ音楽
スッペ/喜歌劇「美しきガラテア」序曲
ヨハン・シュトラウス/喜歌劇「こうもり」序曲
ヨハン・シュトラウス/常動曲
ヨハン・シュトラウス/円舞曲「ウィーンの森の物語」
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年1月13・14日 カーネギーホール
R.シュトラウス/クープランによる舞踏組曲
ショパン/ピアノ協奏曲第1番
ラヴェル/スペイン狂詩曲
ルーセル/交響曲第3番
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ピアノ/アレキサンドル・ブライロフスキー
1944年1月16日 カーネギーホール
チャイコフスキー/スラヴ行進曲
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番
ラヴェル/スペイン狂詩曲
ルーセル/交響曲第3番
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ピアノ/アレキサンドル・ブライロフスキー
1944年1月18日 ニュージャージー州キャンプ・ジョイス・キルマー
ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
チャイコフスキー/交響曲第4番
ヨハン・シュトラウス/喜歌劇「こうもり」序曲
ヨハン・シュトラウス/常動曲
ヨハン・シュトラウス/円舞曲「ウィーンの森の物語」
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年1月20・21・23日 カーネギーホール
ヘンデル=ハーティ/オルガン協奏曲二長調
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲
ヒンデミット/ウェーバーの主題による交響的変容
ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」抜粋
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ヴァイオリン/ブロニスラフ・フーベルマン
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年末年始にかけて演奏されたロイ・ハリス Roy Harris (1898-1979) の作品も戦意高揚のための機会作品だと思われます。ハリスはネブラスカ州生まれのアメリカの作曲家ですが、彼の主要作品リストには出て来ない作品。これが最初で最後の演奏だったかも知れません。
ロジンスキの演奏会記録には、軍施設や病院、ホテルなどでの演奏会が度々出てきますし、音楽的には然程重要とは思われない作品も取り上げています。これらは音楽監督としての義務だったと思われますね。
こうしたポストが色々な意味でキツかったことを証明する記録でもあると思いますが、如何でしょう。
1月初めに取り上げたスティル作品も、あるいは機会作品としての性格があったと思われます。スティル William Grant Still (1895-1978) はミシシッピー州に生まれロサンジェルスで没したアメリカの黒人作曲家。ポール・ホワイトマンのバンドでも働いていた高名な方ですね。
イン・メモリアムは6分ほどの作品ですが、スコアも出版されていますし、現在でもアメリカでは時々演奏されているようです。現代まで生き残った数少ない作品の一つでしょう。
同時に演奏されたデュケルスキーには面白い逸話が残っています。
デュケルスキー Vladimir Dukelsky (1903-1969) はロシア生まれの作曲家で、1936年にアメリカ国籍を取得しています。カリフォルニア州サンタ・モニカで没。
1922年からニューヨークに定住し、ディアギレフのためにバレエ音楽を作曲したこともあるほど。
あるときガーシュインの勧めで名前を変え、ミュージカル・コメディーや映画、ポピュラー歌曲などをペンネームで作るようになります。
ヴァーノン・デューク Vernon Duke がその名前で、特に「4月のパリ」 April in Paris という歌が大ヒットしたそうですね。
クラシック畑では交響曲が4曲、様々な協奏曲、オラトリオ、各種ソナタなどがあります。この日に演奏されたヴァイオリン協奏曲は、これがニューヨーク初演とのこと。
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1943年12月30・31日 カーネギーホール
ロイ・ハリス/戦時の行進曲(世界初演)
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番
マルティヌー/交響曲第2番
R.シュトラウス/ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ピアノ/ロベール・カサドシュ
1944年1月1日 カーネギーホール
ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
ロイ・ハリス/戦時の行進曲
マルティヌー/交響曲第2番
R.シュトラウス/ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年1月2日 カーネギーホール
ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番
ロイ・ハリス/戦時の行進曲
R.シュトラウス/ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ピアノ/ロベール・カサドシュ
1944年1月3日 ニューユーク・ハローラン病院
ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
チャイコフスキー/交響曲第4番~第3・4楽章
ガーシュイン/パリのアメリカ人
ベートーヴェン/交響曲第5番
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年1月5・7日 カーネギーホール
スティル/民主主義のために死した黒人兵への「イン・メモリアル」(世界初演)
ドヴォルザーク/交響曲第9番
デュケルスキー/ヴァイオリン協奏曲ト短調
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ヴァイオリン/ルース・ポッセルト
1944年1月8・9日 カーネギーホール
スティル/民主主義のために死した黒人兵への「イン・メモリアル」
ドヴォルザーク/交響曲第9番
モーツァルト/ピアノ協奏曲ハ長調K.467
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ピアノ/オルテンセ・モナース
1944年1月10日 ニューヨーク、ホテル・プラザ
マーラー/交響曲第2番~第2楽章
モーツァルト/交響曲第40番
シューベルト/「ロザムンデ」~間奏曲とバレエ音楽
スッペ/喜歌劇「美しきガラテア」序曲
ヨハン・シュトラウス/喜歌劇「こうもり」序曲
ヨハン・シュトラウス/常動曲
ヨハン・シュトラウス/円舞曲「ウィーンの森の物語」
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年1月13・14日 カーネギーホール
R.シュトラウス/クープランによる舞踏組曲
ショパン/ピアノ協奏曲第1番
ラヴェル/スペイン狂詩曲
ルーセル/交響曲第3番
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ピアノ/アレキサンドル・ブライロフスキー
1944年1月16日 カーネギーホール
チャイコフスキー/スラヴ行進曲
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番
ラヴェル/スペイン狂詩曲
ルーセル/交響曲第3番
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ピアノ/アレキサンドル・ブライロフスキー
1944年1月18日 ニュージャージー州キャンプ・ジョイス・キルマー
ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
チャイコフスキー/交響曲第4番
ヨハン・シュトラウス/喜歌劇「こうもり」序曲
ヨハン・シュトラウス/常動曲
ヨハン・シュトラウス/円舞曲「ウィーンの森の物語」
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年1月20・21・23日 カーネギーホール
ヘンデル=ハーティ/オルガン協奏曲二長調
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲
ヒンデミット/ウェーバーの主題による交響的変容
ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」抜粋
指揮/アルトゥール・ロジンスキ
ヴァイオリン/ブロニスラフ・フーベルマン
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年末年始にかけて演奏されたロイ・ハリス Roy Harris (1898-1979) の作品も戦意高揚のための機会作品だと思われます。ハリスはネブラスカ州生まれのアメリカの作曲家ですが、彼の主要作品リストには出て来ない作品。これが最初で最後の演奏だったかも知れません。
ロジンスキの演奏会記録には、軍施設や病院、ホテルなどでの演奏会が度々出てきますし、音楽的には然程重要とは思われない作品も取り上げています。これらは音楽監督としての義務だったと思われますね。
こうしたポストが色々な意味でキツかったことを証明する記録でもあると思いますが、如何でしょう。
1月初めに取り上げたスティル作品も、あるいは機会作品としての性格があったと思われます。スティル William Grant Still (1895-1978) はミシシッピー州に生まれロサンジェルスで没したアメリカの黒人作曲家。ポール・ホワイトマンのバンドでも働いていた高名な方ですね。
イン・メモリアムは6分ほどの作品ですが、スコアも出版されていますし、現在でもアメリカでは時々演奏されているようです。現代まで生き残った数少ない作品の一つでしょう。
同時に演奏されたデュケルスキーには面白い逸話が残っています。
デュケルスキー Vladimir Dukelsky (1903-1969) はロシア生まれの作曲家で、1936年にアメリカ国籍を取得しています。カリフォルニア州サンタ・モニカで没。
1922年からニューヨークに定住し、ディアギレフのためにバレエ音楽を作曲したこともあるほど。
あるときガーシュインの勧めで名前を変え、ミュージカル・コメディーや映画、ポピュラー歌曲などをペンネームで作るようになります。
ヴァーノン・デューク Vernon Duke がその名前で、特に「4月のパリ」 April in Paris という歌が大ヒットしたそうですね。
クラシック畑では交響曲が4曲、様々な協奏曲、オラトリオ、各種ソナタなどがあります。この日に演奏されたヴァイオリン協奏曲は、これがニューヨーク初演とのこと。
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