アルトゥール・ロジンスキ指揮ニューヨーク・フィル(4)

1943-1944年シーズンの最終回です。
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1944年2月10・11日 カーネギーホール
 ミャスコフスキー/弦楽合奏のためのシンフォニエッタ第2番作品32
 ショスタコーヴィチ/交響曲第1番
 チャイコフスキー/交響曲第6番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年2月13日 カーネギーホール
 スメタナ/歌劇「売られた花嫁」序曲
 クレストン/サクソフォンと管弦楽のための協奏曲(世界初演)
 チャイコフスキー/交響曲第6番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  サクソフォン/ヴィンセント・J・アバト
1944年2月14日 ニューヨーク、ホテル・プラザ
 ヘンデル/オーボエ協奏曲ト短調~第1楽章
 ヘンデル=ウィルバー/ホルンと弦楽のためのコンチェルト・ピッコロ
 コラー/フルートと弦楽合奏、ハープのためのバガテル
 ルクー/Cramignon Liegeois による対位法的幻想曲
 モーツァルト=ベリソン/クラリネットと管弦楽のための演奏会用ロンド、アダージョと終曲
 シュライナー/ティンパニ・ソロのための「困った太鼓叩き」
 シューマン/楽しき農夫(チューバ・ソロのための)
 ウェーバー/ファゴット協奏曲~第2楽章
 ハイドン/交響曲第45番「告別」
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ヴァイオリン/ジョン・コリリアーノ
  ヴァイオリン/イムレ・ポガニー
  ヴィオラ/ウイリアム・ランサー
  チェロ/レナード・ローズ
  コントラバス/アンセルム・フォルティエ
  フルート/ジョン・ウンマー
  オーボエ/ハロルド・ゴンバーグ
  クラリネット/シメオン・ベリソン
  ファゴット/ウイリアム・ポリージ
  ホルン/ウェルダン・ウィルバー
  チューバ/ウイリアム・ベル
  ティンパニ/サウル・グッドマン
1944年2月17・18日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/八重奏曲~スケルツォ
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
 ウイリアム・シューマン/ウイリアム・ビリングス序曲(世界初演)
 シベリウス/交響曲第5番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ヴァイオリン/ナタン・ミルステイン
1944年2月20日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/八重奏曲~スケルツォ
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
 モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
 モーツァルト/交響曲第40番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ヴァイオリン/ナタン・ミルステイン
1944年2月24・25日 カーネギーホール
 モーツァルト/交響曲第40番
 ブラームス/交響曲第4番
 R.シュトラウス/ツァラトゥストラはかく語りき
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年2月26・27日 カーネギーホール
 カロル・ラートハウス/交響的ポロネーズ作品52
 ショパン/ピアノ協奏曲第2番
 ブラームス/交響曲第4番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ピアノ/ヴィトルド・マルクジンスキ
1944年3月2・3・5日 カーネギーホール
 スカルラッティ=バーンズ/弦楽のための組曲
 シューマン/交響曲第1番
 アントン・ルビンシテイン/ピアノ協奏曲第3番ト長調作品45
 フェルナンデス/組曲「牧場の主顕祭の踊り」~バティーク
 グァルニエリ/二つのブラジル舞曲集
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ピアノ/ヨゼフ・ホフマン
1944年3月4日 カーネギーホール
 スカルラッティ=バーンズ/弦楽のための組曲
 シューマン/交響曲第1番
 フェルナンデス/組曲「牧場の主顕祭の踊り」~バティーク
 グァルニエリ/二つのブラジル舞曲集
 R.シュトラウス/ツァラトゥストラはかく語りき
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年3月23・24日 カーネギーホール
 コダーイ/ガランタ舞曲集
 ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番
 ミヨー/葬列(世界初演)
 フランク/交響曲
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ピアノ/ウイリアム・カペル
1944年3月25日 カーネギーホール
 ミヨー/葬列
 ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
 フランク/交響曲
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ヴァイオリン/ジョン・コリリアーノ
1944年3月26日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
 R.シュトラウス/ツァラトゥストラはかく語りき
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ヴァイオリン/ジョン・コリリアーノ
1944年4月2日 カーネギーホール
 ウイリアム・シューマン/ウイリアム・ビリングス序曲
 ショスタコーヴィチ/交響曲第8番(西側初演)
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年4月3日 ブッシュネル記念ホール
 ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
 チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
 ブラームス/交響曲第4番
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
1944年4月13・14日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/交響曲第1番
 プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番
 ブラームス/交響曲第1番
 スーザ/行進曲「星条旗よ永遠なれ」
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
  ピアノ/ナディア・ライゼンバーグ
1944年4月16日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/交響曲第1番
 ブラームス/交響曲第1番
 スーザ/行進曲「星条旗よ永遠なれ」
  指揮/アルトゥール・ロジンスキ
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2月13日に世界初演されたクレストン Paul Creston (1906-1985) は別の資料ではアルト・サックスと管弦楽のための協奏曲と表記されています。
2月14日のコンサート、バレンタインを記念したものと思われますが、演奏曲順は想像もつきません。一応、作曲家のアルファベット順に並べておきました。恐らく最後はハイドンだっただろうというのは私の思い込み。
登場したソリストは恐らく全員がニューヨーク・フィルのメンバーでしょう。以前に書いたように、ランサー、ローズはロジンスキがクリーヴランドから引き抜いたプレイヤーです。
2月26・27日のラートハウス Karol Rathaus (1895-1954) は、現ウクライナのタルノポル Tarnopol で生まれ、59歳でニューヨークに没したポーランドの作曲家です。1938年にアメリカに帰化。
シュレーカーに作曲を学び、ヨーロッパ時代はセル、ヨッフム、クライバー、フルトヴェングラーなどが挙って作品を取り上げた才人です。アメリカでもルービンシュタインが積極的に支援していました。
1931年に初めて映画音楽を手掛け、この分野で大成功した作曲家。何となくコルンゴルトの経歴を連想させます。
ロジンスキは同郷の誼で取り上げたようですが、現代でも復活が待たれる作曲家の一人です。
3月に世界初演されたミヨー作品は、恐らく世界大戦の犠牲者への追悼の意味があると思われます。
4月2日にショスタコーヴィチの第8が演奏されていますが、前年にムラヴィンスキーがモスクワで世界初演したもの。ロジンスキ/ニューヨーク・フィルが西側での初演となります。時代の証人とも言えるドキュメント。
このシーズンの最後、何故かこのプログラムでスーザのマーチが演奏されています。最初からプログラムにあったのか、それともアンコールなのか。資料に残されたままを記録しておきました。

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