バリードイルのワン・ツー

日曜日の結果が入ってきました。まずアイルランドから。
フェスティヴァルのメイン、アイルランド・ダービー(GⅠ、3歳、1マイル4ハロン)は当初の登録が13頭でしたが、ダービー馬シー・ザ・スターズとオブライエン厩舎の1頭へイル・シーザーが取り消して11頭立て。出走全馬がアイルランド調教馬というのは、1957年以来のことなのだそうです。
シー・ザ・スターズの取り消し理由は重馬場、オックス師が予防線を張っていたように、更なるスタミナを要求される馬場を回避したかったのでしょう。これにより主戦キネーン騎手は同じオックス厩舎のムーラヤン Mourayan (実況では「ムーレイ」と聞こえますね)に文字通り鞍替え。
レースはロックハンプトン Rockhampton の逃げで始まり、ダービーと同じ様にゴールデン・ソード Golden Sword が追走します。
8対11という圧倒的人気を集めたムルタ騎乗のフェイム・アンド・グローリー Fame And Glory は中団待機。
直線に向いてレースが動くと、ペースメーカーを交わして先頭に立ったゴールデン・ソードをムーラヤンが追走。
いつの間にか3番手に進出したフェイム・アンド・グローリー、ムルタがゴーサインを送ると結果は瞬時。難なく先頭に立ったフェイム・アンド・グローリーの脚は桁違いで、2着に5馬身差を付ける圧勝。
2着にはオダナグー騎乗のゴールデン・ソードが粘り込み、3着は更に1馬身でムーラヤンが続きます。
以下、4着にマスターオブザホース Masterofthehorse 、5着リチャージ Recharge 。
ムルタくん、鞭は一発も使いませんでした。最後は馬なり、馬を抑えるほどの余裕。結果論ですが、シー・ザ・スターズが出ていたらどうだったでしょうか。
フェイム・アンド・グローリーがエプサム以降もグングン成長していることは明らかです。
アイルランド・ダービー143年の歴史で、エイダン・オブライエン調教師は7勝目。クールモアを作り上げた故ヴィンセント・オブライエン師を抜いて単独トップに立ちました。しかも4連覇達成と言うオマケつき。
ことクールモア産馬という視点で見れば、何と11連勝。
ムルタ騎手は、2000年のシンダー、2003年のアラムシャーに続いて3勝目。今回は騎乗馬の選択を誤りませんでした。
この日のカラー競馬場、他にパターン・レースが2鞍組まれています。
サファイア・ステークス(GⅢ、3歳上、5ハロン)は9頭立て。イングザイル Inxile が6対4で1番人気に支持されましたが、勝ったのは大ヴェテラン、8歳のベンバウン Benbaun です。
5ハロンで2着に2馬身半は圧勝。その2着はスネーフェル Snaefell 、3着に頭差でイングザイル。
勝ったベンバウン、実はカラー競馬場のスペシャリストとでも言うべき存在で、これがこの競馬場での7勝目。フライング・ファイヴというGⅢを3連覇した他、グリーンランド、ルネサンス、それに今回とカラーのパターン・レースだけで6勝。何よりも一昨年のアベイ・ド・ロンシャン賞の勝馬でもあります。
ベンバウンは、ずっとマーク・ウォーレス師が調教してきましたが、一旦オーストラリアに移籍、再びイギリスに戻ってヨークをベースにするケヴィン・ライアン厩舎に転厩していた馬。実にタフなスプリンターです。
騎手はパット・スマーレン。
カラーのダービー・フェスティヴァル名物、レイルウェイ・ステークス(GⅡ、2歳、6ハロン)は伝統ある2歳戦。7頭が出走してきました。
勝ったのは6対4の1番人気、オブライエン/ムルタ・コンビのアルフレッド・ノーベル Alfred Nobel 。後方から進んでゴール前1ハロンで先頭、2着イン・サム・リスペクト In Some Respect に1馬身4分の1差を付けて楽勝。3着は頭差でキング・レドリー King Ledly 。
オブライエン厩舎は、レールウェイはここ13年で11勝という強さ。ほとんど独占状態です。
アルフレッド・ノーベルはこれで4戦2勝、走る度に強くなっているとのことです。
さてフランスのサン=クルー競馬場に行きましょう。
まずサン=クルー大賞典(GⅠ、3歳上、2400メートル)は10頭立てですが、半分の5頭がイギリスからの遠征馬。
勝ったのも英国代表、スタウト厩舎のスパニッシュ・ムーン Spanish Moon です。2着は1馬身半で地元デュプレ厩舎のアルパイン・ローズ Alpine Rose 、3着に4対5の1番人気、連覇を狙ったユームザイン Youmzain が1馬身半という結果。ユームザインはまたしても運がありませんでした。
勝ったスパニッシュ・ムーン、実は5月のジョッキー・クラブ・ステークスでゲートインを嫌い、イギリスでは6ヶ月間の出走停止処分を受けていたのですね。従って海外に活路を見出すしかない馬。
この日もゲートインを嫌いましたが、フランスのスタッフが辛抱強く馬を宥めてのスタート。
スタウト師は先ずフランスのスタッフに感謝を捧げています。
もう一つサン=クルーのパターン・レース、マユレ賞(GⅡ、3歳牝、2400メートル)。8頭立てですが大番狂わせです。
何と同厩の本命馬シャマキーヤ Shamakiya のペースメーカーとして使われたアシャランダ Ashalanda の逃げ切り勝ち。
フランスでは馬券がカップルになるので問題ありませんが、イギリスでは33対1の大穴。
2着は短頭でテール・デュ・ヴァン Terre Du Vent 、3着は本命シャマキーヤとカーラ Kalla の同着という結果。
デュプレ厩舎はペースメーカーとしてルジェ厩舎からアシャランダを受け入れたのが1週間前。厩舎としてもこの馬の能力は良く判らなかったようです。
騎乗したフレッディー・ディ・フェードくんにとってはパターン・レース初勝利、まだ25才の若者です。

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