日曜日のロンシャンはトライアル・デイ

ヨーロッパも日付が変わって昨日の正式な結果が発表されました。

日曜日(13日)のロンシャン競馬場は全部で9レース、内5レースがパターン・レースで、どれもが3週間後の本番に向けたトライアルになっています。GⅠからGⅢまでランクは様々ですが、レース順を追って振り返りましょう。

プティ・クーヴェール賞(GⅢ、3歳上、1000メートル)はアベイ・ド・ロンシャン賞へのトライアル。
6頭が出走し、2年前のアベイ勝馬で8歳のベンバウン Benbaun が6対5(以下全てフランスでのオッズ)で1番人気になっていました。
ベンバウンはゴール前で急速にバテて4着敗退。勝ったのは12対5、6歳のウォー・アーティスト War Artist でした。
2着は短首でスターン・オピニオン Stern Opinion 、3着に2馬身でブラスター Bluster 。

ウォー・アーティストはオーストラリア出身で、現在はジェームス・ユースティス厩舎に所属。この日はオリヴィエ・ペリエが騎乗。ユースティス師は、これが僅かに2度目のロンシャン遠征でした。
前走は8月、ドイツで6ハロンのゴールデネ・ペイチュを制していましたから、これで世界を股に架けての2連勝となります。

この馬はこのところずっと6ハロンを使ってきましたが、本来は5ハロンで最もスピードを活かすタイプ。ドイツは馬場が良かったことが幸いだった由。
当然ながら3週間後のアベイを目指します。

ヴェルメイユ賞(GⅠ、3歳上牝、2400メートル)は、かつては3歳牝馬限定の実質的にフランス・オークスという位置付けでしたが、現在は古馬にも解放され、牝馬のための凱旋門賞トライアルになっています。

今年は12頭が出走。仏オークスを圧勝した女傑スタチェリータ Stacelita が断然の1番人気(9対10)に支持されていました。
そのスタチェリータ、勝って無敗の記録を伸ばしはしたものの、裁決委員の判定での勝利。やや後味の悪い結果になってしまいました。競馬に負けて勝負に勝ったようなもの。

ゴール板を先頭で駆け抜けたのは、2対1の人気の1頭で古馬(4歳)のダー・レ・ミ Dar Re Mi 。この日記でもお馴染みの馬ですね。
しかしフォーチュン騎乗のダー・レ・ミは、直線で追い込む際に最終的に5着で入線したソベラニア Soberania の進路を妨害したと判定され、フランスのルールにより5着降着に。

これに伴い、2着から5着までに入線した馬が一つづつ着順が繰上げとなります。
最終的には1着スタチェリータ、2着は1馬身半でプルーマニア Plumania 、3着に短頭でボード・ミーティング Board Meeting で確定。
現実に1着したダー・レ・ミとスタチェリータの着差は短首でしたが・・・。
ジミー・フォーチュン騎手はこれにより2日間の騎乗停止処分を受けています。

スタチェリータはジャン=クロード・ルジェ厩舎、ルメール騎乗。オークス以来の3ヶ月休養明けでしたが、取り敢えず凱旋門賞への準備は整ったと言えましょう。当初登録がないので、10万ユーロの追加登録料を支払っての本番出走となります。

ニエル賞(GⅡ、3歳、2400メートル)はクラシック世代限定の凱旋門賞トライアル。過去13年の凱旋門賞馬のうち7頭がこのレースをステップとして頂点に立っています。

今年は6頭立て。2対5の1番人気に支持されたカヴァリーマン Cavalryman (カヴァルリーマンと発音しても良いでしょう)が順当に勝っています。
半馬身差2着にベヘシュタム Behestam 、3着は4分の3馬身で逃げ粘ったアイザフォスキ Aizavoski 。

アンドレ・ファーブル厩舎所属でパリ大賞典を制した3歳チャンピオン牡馬。順当な仕上げは流石に凱旋門賞7勝のファーブル師。
この日はデットーリを鞍上に迎えましたが、本番もデットーリで臨む旨が発表されました。

このレースは超スローペースになり、事実上2ハロンのスプリント戦。デットーリによればカヴァリーマンは最初の2ハロンは“寝ていたよ”。
それでもキッチリ差し切るあたり、本番で恐い1頭はこの馬かもね。

フォア賞(GⅡ、4歳上、2400メートル)は古馬のための凱旋門賞トライアル。当初6頭の登録がありましたが、2頭が取り消して僅かに4頭立て。
フランス古馬のエース格であるヴィジョン・デ・タ Vision D’etat が休み明けにも拘らず1番人気(4対5)でした。実績から見て当然でしょうが、この日はエンジンの掛りが遅く、最後方からズブく追い上げたものの4分の3馬身及ばず2着。

勝ったのはイギリスから遠征した5歳馬、9対10に支持されたスパニッシュ・ムーン Spanish Moon で、3着は半馬身でクロスハーバー Crossharbour の順。

スパニッシュ・ムーンはサー・マイケル・スタウト師の調教、ライアン・ムーアがイギリスから駆けつけていました。
実はスパニッシュ・ムーン、ゲート入りを嫌う癖があって11月までイギリスの競馬場では出走禁止になっています。スタウトさんに言わせれば“そんなアホな、” ということですが、ルールである以上仕方ありません。これだけの実力馬を締め出すイギリスにとっても損失でしょうにね。

ということで、スパニッシュ・ムーンは凱旋門賞のあともカナダ、香港、日本、ドバイが視野に入っています。日本中央競馬会もその辺の情報をシッカリ把握して同馬を招待しては如何。良い反応が得られるはずですよ。

最後はグラディアトゥール賞(GⅢ、4歳上、3100メートル)。これは凱旋門賞ではなくカドラン賞のトライアル戦。

長距離戦には珍しく10頭が参戦し、前走ドーヴィル大賞典3着のカスバー・ブリス Kasbah Bliss が、1番人気(13対5)で4月のバルベヴィユ賞を制したポアンティリスト Pointilliste を4分の3抑えて優勝しています。
3着に首差でインカント・ドリーム Incanto Dream 。

調教師はドウメン、ティエリー・テュイレ騎乗でこのレース2連覇です。既に7歳馬ですが、当然ながらカドラン賞でGⅠ制覇を狙うでしょう。

以上、日曜日のトライアル戦でした。この結果、凱旋門賞はシー・ザ・スターズの本命予想は変わらず。いや、むしろ確立は更に高まった、というのが各ブックメーカーの見方のようですね。

 

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