読売日響・第484回定期演奏会

読響の7月定期、まさか七夕イヴだからという訳でもないでしょうが、惑星です。(七夕って本来旧暦の行事でしょ。今は朝露を結ぶような季節でもあるまいし)
今期の読売日響定期は、オケの特質を反映した重戦車路線。4月の涅槃、5月は交響舞曲集、先月は家庭交響曲ですから、聴き疲れする作品の連続です。これからも大管弦楽を堪能できるプログラムばかり、若者には堪えられないでしょうね。
(私のようなロートルには些かキツイのが正直な感想)
で、今回のプログラムは、
ラヴェル/ピアノ協奏曲ト長調
~休憩~
ホルスト/組曲「惑星」
指揮/パオロ・カリニャーニ
ピアノ/清水和音
合唱/国立音楽大学合唱団(合唱指導/永井宏、副指揮/佐藤宏)
コンサートマスター/デヴィッド・ノーラン
フォアシュピーラー/小森谷巧
白眉は何と言っても惑星ですが、その前に指揮者について。
私がカリニャーニを聴くのは3回目。06年のモーツァルトと新ウィーン楽派のプロ、07年の展覧会の絵、そして今回。
私は聴いていませんが、06年には幻想があり、07年は春の祭典もあったはず。そして今回はローマ三部作が控えています。
07年は確か代役として登場したので軽々には判断できませんが、彼のレパートリーの中心(管弦楽曲の)はオーディオ・ファンが喜ぶような、いわゆる「色物」にあるようです。
1961年ミラノ生まれ。イタリアの「イケ面」で、映画俳優としてもやっていけるような風貌の持主です。頭はスキンヘッドとでも言うのでしょうか、態とそうしているのか、毛が全くありません。
この頭に汗が光ると、恐らく女性の目にはある種セクシャルなアピールが感じられるのではないかと羨望します。
背が高く、体躯がスラリとしているのも特徴。やや長めで細い指揮棒を使って指揮します。全てそうだったか記憶がありませんが、譜面台にスコアを置いての指揮。今日の例で言えば、ラヴェルはデュラン版、ホルストは意外にもオイレンブルク版を使用していました。
アクションは大きいのですが、美しいというほどでもありません。オーケストラから最大音量を引き出すときには、長躯を二つ折りにするほど屈め、両手を下向きに落として楽員に指示。クレッシェンドでは屈めた身体をピンと伸ばすので、高低の落差激しく、見た目にも絶大な効果を上げるのです。
音楽は、一つにはイタリア人であること、もう一つにはオペラで活躍してきた経歴があるせいか、実によくオケを歌わせ、劇的な効果を最大限に引き出すもの。演目にもよるでしょうが、繊細で室内楽的なニュアンスとはあまり縁が無いように聴きました。
従って「惑星」の第4曲、例のビッグ・チューンはホール一杯に鳴り響き、読響の高いレヴェルの合奏がいやが上にも音楽を盛り上げるのでした。
先月のシュトラウスでは指揮者の意向で特殊楽器を省略した読響。惑星にもバス・フルート、バス・オーボエ、テノール・チューバなどの特殊楽器が出てきますが、全てスコア通り使っていました。ホルン6、トランペット4にもアシスタントは入れていません。
ただオーボエだけは第3オーボエがバス・オーボエ持ち替えのところを、バス・オーボエを専任に置き、他にオーボエ3人が並んで計5人のオーボエ属というのが目を惹きます。
完全に舞台裏に置かれた女声合唱が神秘的な効果を良く出していました。最後のア・カペラ反復は4回だったはず。
カーテンコールでコーラスも舞台に登場、その雄姿を披露していました。
最近の読響は割れんばかりの拍手とブラヴォの大歓声が儀式になっているようです。あのラヴェルですら“ブラァヴォォォォ~~~”ですから驚き。アンコールで「亡き王女のためのパヴァーヌ」を弾いてくれたことへの喝采かも知れませんが・・・。
ということで賑々しく終わった定期。正直に告白すれば、私はカリニャーニという人は積極的に聴こうとは思わないタイプです。
派手なアクションの指揮、そう言えば音量を抑える、というようなジェスチャはほとんどやらないことに途中で気が付きました。
今日はテレビ・カメラがズラリ入っていました。いずれ日本テレビ系列で放送されるでしょうから、関心のある方はジックリ観察してみて下さい。特に女性ファンの皆様、お見逃しなく。
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