セントレジャーはマスタリー

ヨーロッパの秋競馬は、短期間の中で多数のレースが犇いています。一日にいくつものパターン・レースが行われるのも必然。
昨日の土曜日はそうした一日でした。
記録をチェックするのも、日記としてレポートするのも手間がかかりますから、2本に分けて紹介することにしましょう。
先ずはドンカスター競馬場の最終日、今年最後のクラシック・レースであるセントレジャー(GⅠ、3歳、1マイル6ハロン132ヤード)が行われました。
今年第233回を迎えるイギリス最古、ということは世界最古のクラシックでもあります。
枠順は一昨日紹介しましたが、1番人気は予想通りゴドルフィンのエース格であるカイト・ウッド Kite Wood の9対4。デットーリ騎乗で万全の態勢でした。
ところが最後の叩きあい、大本命に土を付けたのは同じチーム、即ちゴドルフィンの1頭でサイード・ビン・スロールが調教するマスタリー Mastery でした。オッズは14対1、騎手は今年36歳のテッド・ダーカン。セントレジャーは初勝利です(クラシックは2007年オークスのライト・シフトに続く2勝目)。
カイト・ウッドは4分の3馬身交わされて2着、3着には1馬身4分の3でモニター・クローズリー Monitor Closely が入りました。
即ち「ロイヤル・ブルー」の勝負服、ゴドルフィンのワン・ツー・フィニッシュです。
マスタリーは枠順紹介で忘れてしまいましたが、今年のイタリア・ダービーの勝馬でもあります。例年ならGⅠ2勝目となるのですが、伊ダービーは今年からGⅡに格下げ。セントレジャー優勝で文句ないGⅠホースの仲間入りを果したことになります。
スロール師にとってセントレジャーは5勝目。2004年のルール・オブ・ロウ Rule of Law 以来のことです。
クラシック制覇もまた5年振りになりますが、その間ゴドルフィン軍団はGⅠレースに40勝しています。
師曰く、イギリスのクラシック・レースは世界で最も勝つのが難しい難関とのこと。競馬の最高峰は常に英国のクラシックにあります。
勝ったマスタリー、惜しくも2着に終ったカイト・ウッドとも今年はまだレースに使い、来年も現役に留まる意向です。
セントレジャーの前に行われたシャンペン・ステークス(GⅡ、2歳、7ハロン)。
7頭が出走し、11対8の1番人気に支持されたポエツ・ヴォイス Poet’s Voice が見事に人気に応えました。
2着は4分の3馬身でヴィスカウント・ネルソン Viscount Nelson 、3着に頭差でシルヴァー・グレシャン Silver Grecian の順。
ポエツ・ヴォイスもゴドルフィン、即ちスロール師はパターン・ダブル達成で、こちらは主戦のデットーリが騎乗していました。
デットーリによれば、当初は控える競馬をする積りだったそうですが余にもスタートが良く。そのまま先頭をキープし、徐々にペースを上げて逃げ切ってしまった由。次回はペースメーカーを使うべきだとコメントしています。
ドンカスターのもう一鞍、パーク・ステークス(GⅡ、3歳上、7ハロン)はゴール前で4頭が並ぶ大接戦。
結局勝ったのは7対1のダフ Duff 、2着は首差でキャット・ジュニア Cat Junior 、3着が頭でアラビアン・グリーム Arabian Gleam 、更に首差でウークバー Ouqba でした。
7対4で1番人気だったスティミュレーション Stimulation は5着敗退。
勝馬の調教師はエドワード・ライナム、騎手はフラン・ベリー。
ダフは6歳のせん馬で、一昨年のこのレースでは2着に惜敗していました。今年3着のアラビアン・グリームは一昨年、去年とこのレースを連覇しており、惜しくも3連覇ならず。ダフは一昨年の雪辱を果たしたことになります。
さてイギリスではもう一つ、グッドウッド競馬場でセレクト・ステークス(GⅢ、3歳上、1マイル1ハロン192ヤード)も行われていますので、簡単に結果だけ。
5頭立てと寂しいレース。勝ったのは15対2のマック・ラヴ Mac Love 、1番人気(6対4)のストッツフォールド Stotsfold に1馬身差を付けての優勝。3着は半馬身でパーフェクト・ストライド Perfect Stride 。
勝ったマック・ラヴはシュテフ・リッディアード厩舎、フェントン騎手の騎乗。
2着に終ったストッツフォールドは、一昨年のこのレースの勝馬でした。
セレクト・ステークス、過去にはこのレースを勝って凱旋門賞を制したダンシング・ブレーヴの例もありますから、目立たないGⅢとして無視するわけにはいきません。
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