ニューマーケットのクレイヴァン・ミーティング開催

先日の日記で触れたとおり、昨日(4月16日)と今日の二日間、ニューマーケット競馬場でクレイヴァン・ミーティングが開催されています。そのレポート第1弾。
ニューマーケット競馬場については去年の競馬日記にも度々登場していますが、毎年のオープンはこの開催。次なるクラシック・レース(2000ギニーと1000ギニーが行われるスプリング・ミーティング)のトライアル戦がいくつか行われます。
そもそもニューマーケットがイギリス競馬の本拠地となるに当たっては、英国王室が深く係ってきました。
時はスチュアート朝。ジェームズⅠ世がこの地を気に入り、鷹狩や狐狩りの拠点にしたのが始まりです。ジェームズはここに別荘を建てています。ま、江戸時代に準えれば、将軍家の鷹狩の地として目黒が選ばれたようなもの。そう言えば目黒もかつては競馬場が拓けていましたっけ。
ニューマーケットが競馬場として整備されたのは、チャールズⅡ世の御世。チャールズは競馬というスポーツをこよなく愛し、ニューマーケットにレースコースを敷き、自らも騎手として活躍したのです。自ら賞金を賜るキングズ・プレートというレースも創設したほど。
ところで現在のニューマーケットにはレースコースが二つあります。一つはクラシック・レースなど春と秋に使われる「ロウリー・マイル・コース」。もう一つが後に拓かれた夏場だけ使われる「ジュライ・コース」。
このロウリー・マイル Rowley Mile という呼称はチャールズⅡ世に因んだもの。キングのお気に入りだった馬車馬のニックネームが「オールド・ロウリー Old Rowley」だったんです。その愛称を貰って付けたのが、ロウリー・マイルというレースコースの呼称。
「馬車馬」というと働くばかりの悪いイメージしか持たないかもしれませんが、王室御用達の馬車ともなれば威風堂々、馬だからと言って馬鹿にしてはいけませんぞ。
こういうことを書く人はほとんどいませんから、良い機会と思って紹介しました。
で、ニューマーケットはロウリー・マイルで行われるシーズン最初の開催。二日間で行われる大きなレースは、ミーティングのタイトルにもなっている2000ギニートライアルであるクレイヴァン・ステークス、その牝馬版に相当するネル・グィン・ステークス、伝統ある3歳のハンデ戦のヨーロピアン・フリー・ハンデ、スプリンターの重賞アバーナント・ステークス、それに古馬の1マイル1ハロン戦であるアール・オブ・セフトン・ステークスといったところでしょうか。
以上が長~あい前置きで、昨日の結果。
何と言っても1000ギニートライアルであるネル・グィン・ステークス(3歳牝馬・7ハロン・GⅢ)でしょう。新たなるスター誕生、と言うべきでしょうか。
前半は後方に待機したインフォーリブル Infallible が、あと2ハロン地点から一気に追い込み、2着(キレーン Kylayne)に3馬身半差をつけて圧勝したようです(ジミー・フォーチュン騎乗)。ゴールの写真を見ると、インフォーリブルは耳を立てたまま。これは馬が楽に走っている証拠。かなり強いと見てよいでしょうナ。
インフォーリブル、2歳時はこのニューマーケットで1戦1勝のみでしたが、厩舎筋ではかなり期待が高かった馬。その噂もあってネル・グィンでは7対2の2番人気に支持されていました。父はピヴォタル Pivotal 、このところ産駒の活躍が目立っていますね。
この勝利でオッズもいきなり3対1。本命に上がりました。それまでのナタゴラ対ムサバラの一騎討ちムードに新たな勢力が加わった様相。
調教師ジョン・ゴスデンも相手はナタゴラ1本に絞っている様子。
“我々はフランスのナタゴラを破らねばなりますまい。去年ニューマーケットでチーヴリー・パーク・ステークスというちっぽけなレースに勝った芦毛ですよ”ですと。
う~ん、ゴスデン御大も言うなぁ~。
そうそう、この日はもう一つ、ヨーロピアン・フリー・ハンディキャップという伝統あるクラシック・トライアルが行われました。7ハロンのリステッド・レース。
こちらはスティミュレーション Stimulation という1番人気が長い写真判定の末、鼻差で辛うじて勝ちましたが、2000ギニーでは惑星の1頭という感じでしょうか。
ハギー・モリソン調教師は、“出走しなければ勝つチャンスは無い”と、至極ご尤もな発言。父はショワジール Choisir 。ドバイで新馬勝、アイルランドのモイグレア・スタッド・ステークスでビーコン・ロッジ Beacon Lodge の2着になった馬です。

 

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