土曜日の復活劇

ニューマーケットのジュライ・ミーティングが閉幕し、イギリス競馬は比較的大人しい週末を迎えています。
それでもヨーク競馬場では大きなハンデ戦が行われていますし、アスコットでもパターン・レースがありました。
この日記はパターン中心ですので、アスコットのレポート。
サマー・マイル・ステークス(GⅡ、4歳上、1マイル)はレースの条件や名称が何度も変更されているレース、性格のやや不明瞭な一戦です。
これはそもそもシルヴァー・トロフィーと呼ばれていたもので、パターン・レースに格上げされたのは2003年のこと。当初はGⅢでした。
しかし早くも翌2004年にはアスコット競馬場の改修工事に伴い、開催場所がリングフィールド競馬場に、しかも芝コースではなくポリトラックのコースに変更されました。
ここで3年間開催されましたが、イギリスではポリトラック・コースで行われた歴史上初のGレースとなったわけです。
更に2006年、現在のサマー・マイルにレース名が改称され、2007年に現在のアスコット競馬場に復帰。3歳馬が出走できた時期もあったはずですし、何とも評価が定まらない競馬ではあります。
今年は4歳上のマイル戦。当初登録から2頭が取り消して7頭立てで行われました。
勝ったのは1番人気(15対8)の4歳馬アクラーム Aqlaam 、2着は半馬身差でコンフロント Confront 、更に半馬身差の3着が南アフリカのインボルギ Imborgi 。
アスコットのスペシャリストで、去年の3着馬チェーザレ Cesare は5着敗退。
勝馬の調教師はウィリアム・ハッガス、勝利騎手はリチャード・ヒルズです。
アクラームは、去年のロイヤル・アスコットでジャージー・ステークスを制覇したあと故障発生、11ヶ月の休養を余儀なくされた馬。
今シーズンはロッキンジ・ステークスから再始動(着外)、アスコットのクィーン・アンでパコ・ボーイの3着に入り、複調の兆しを見せていました。
今回の勝利で見事に復活、ハッガス師の努力が報われた形です。アクラームの馬主シェイク・ハムダンはクラシック馬ガナーティのオーナーでもあります。ガナーティはサセックスの有力候補ですから、アクラームはドーヴィルのジャック・ル・マロワに向かう可能性が高そうですね。
さてアイルランドのカラー競馬場、日曜日の愛オークスを盛り上げるように、この週末はGⅢが3鞍用意されています。土曜日はそのうち2レース。
先ずミンストレル・ステークス(GⅢ、3歳上、7ハロン)は1996年にGⅢに格上げされたレース。もちろんアイルランドの名馬ザ・ミンストレルに因んだレース名です。
2007年から3歳にも解放されていますが、今年は3歳の参戦は無く7頭立て。
8対1のスリー・ロックス Three Rocks が後方一気の差し足で楽勝しています。2着は1馬身4分の1でジョージバーナードショウ Georgebernardshaw 、3着は更に4分の3でマッド・アバウト・ユー Mad about You 、毎度お馴染みのメンバーですね。
1番人気(2対1)で先行したジュンバジュキバ Jumbajukiba は5着に沈みました。
勝ったスリー・ロックスは6連敗中で人気を落としていましたが、どんな馬場でも苦にしないタイプ、この日の渋い馬場が幸いしたかも知れません。久々の勝利の味。
調教師はジム・ボルジャー、騎手はケヴィン・マニング。
残る一戦はインターナショナル・ステークス(GⅢ、3歳上、1マイル1ハロン)。かつてはフェニックス・パークで行われていたGⅡ戦ですが、2004年からⅢに格下げされたレース。
7頭立て。2対5という圧倒的人気を集めたフェイマス・ネイム Famous Name が2着ステイイング・オン Staying On に2馬身差を付けて文句なく楽勝しています。3着は3馬身半遅れてレッド・ロック・キャニオン Red Rock Canyon 。
ウェルド厩舎、スマーレン騎乗のフェイマス・ネイム、2歳時のナショナル・ステークス(6着)以外は全て3着以内という堅実なタイプで、フランス・ダービー2着(勝ったのはヴィジョン・デタ)という実力は、ここでは役者が違いましたね。
前走の勝ちはリステッド・クラスでしたから、パターン・レース勝馬としては復活劇を演じたことになります。
当面は1マイル中心に歩む予定ですが、1マイル半でもいけるタイプ。今後の活躍次第では、より長い距離にも挑戦してくる可能性が残されています。
ということで、形は違えど、三様の復活劇でした。
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