ニューマーケット・ケンブリッジシャー・ミーティング二日目

金曜日、二日目のニューマーケット・ケンブリッジシャー・ミーティングは、二つのGⅠ競走を含めてパターン・レースが4鞍組まれています。レース順に行きましょう。

オー・ソー・シャープ・ステークス(GⅢ、2歳牝、7ハロン)は、もちろん1985年の三冠牝馬オー・ソー・シャープ Oh So Sharp の名を冠したレース。2007年にGⅢに格上げされて、今年3回目の重賞です。

2頭が取り消して8頭立て。前走スイート・ソレラ(GⅢ)で2着したブルー・メドン Blue Maiden が2対1の1番人気を集めましたが5着敗退。
勝ったのは、5対2のタバッサム Tabassum でした。最後のハロンでスタンド側によれる若さを見せましたが、2着に4馬身差を付ける圧勝。相当な器の持ち主という印象を与えました。

その2着はイレクトリック・フィール Electric Feel 、3着には更に2馬身4分の3差でヘイストリー Hastly が入っています。

タバッサムはマイケル・スタウト師の管理馬、リチャード・ヒルズの騎乗。
8月にニューマーケットで新馬戦に勝ち、これで無敗の2戦2勝。小柄な牝馬ながらガッツがあり、ナイェフ Nayef 産駒ということで成長力もありそう。
明らかに来年のクラシックを賑わせるクラシック・タイプの馬で、1000ギニーには14対1のオッズが出されました。

続くジョエル・ステークス(GⅢ、3歳上、1マイル)。オーナー・ブリーダーとして活躍したジム・ジョエル氏の名を冠したレースで、2003年からGⅢに格上げされた、これも歴史の浅いパターン・レースです。

9頭が出走し、7対4の1番人気に応えてコンフロント Confront が快勝しました。
2着は半馬身差でこの日記には久々のリオ・デ・ラ・プラタ Rio de La Plata 、3着も半馬身の差が付いてフォーゴットゥン・ヴォイス Forgotten Voice の順。

これまたサー・マイケル・スタウト師の管理馬。スタウトさん、この日は1・2レースと早々とダブル達成です。こちらの勝利騎手は主戦のムーア。

コンフロントはこれで3連勝。パターン・レースは初制覇ですが、これまでも善戦が続いていた4歳馬で、ここに来て本格化してきました。流石にスタウト師ですね。
オーナー・サイドでは、この後は香港遠征を考えている由。

また2着に入ったリオ・デ・ラ・プラタは2歳からクラシックにかけてパターン・レースの常連でしたが、先月1年2ヶ月振りにカムバック。初戦はしんがり負けに終りましたが、この好走で本格的に復活してきた感があります。

さてGⅠ2連発。先ずは牝馬によるチーヴリー・パーク・ステークス(GⅠ、2歳牝、6ハロン)。
1頭取り消して8頭立て。1番人気はパターン・レース2連勝中のレディー・オブ・ザ・デザート Lady Of The Desert でしたが、一旦先頭に立つも交わされて3着惜敗。

勝ったのはフランスから遠征してきたスペシャル・デューティー Special Duty 、2着は2馬身4分の3差が開いてミシーア Misheer 、3着に粘った本命馬は頭差差し切られました。

名前に相応しく見事なレースを披露したスペシャル・デューティーはヘッド=マーレク姐御の調教馬で、ステファン・パスキエが騎乗していました。
そもそもロベール・パパン賞に勝ち、モルニー賞でも2着していた馬。来年のクラシックでも中心になるクラスのクラシック候補です。

この日は先頭でレースを進め、一旦レディー・オブ・ザ・デザートに交わされながらも再び差し返しての優勝。スピードもさる事ながら、ここはスタミナで勝負した印象です。

このレヴェルの高いメンバーで2着に2馬身4分の3は圧勝と言える内容。来年の1000ギニーには早くも5対1という高いオッズが提示されました。
今シーズンはこれで終戦、来年は当然ながらクラシックを狙ってニューマーケットを再訪する予定。

ヘッド姉は、チーヴリー・ステークスを既に3勝しており、そのうち2頭(マ・ビッシュ Ma Biche とラヴィネラ Ravinella )は翌年の1000ギニーも制覇しています。それもスペシャル・デューティーの評価を高める要因となっているのは間違いないでしょう。

2着に食い込んだミシーアもチエリー・ヒントンで既にパターン・レースに勝っている実力馬。調教するブリテン師は、彼女こそイギリスの最強2歳牝馬と豪語していますから、今年のチーヴリー・パークの質の高さが伺われます。
師によれば、ミシーアはフランスの1000ギニーを目標にする由。

続いては男馬のミドル・パーク・ステークス(GⅠ、2歳、6ハロン)。ここは僅か5頭立てながら、実に見応えのある一戦となりました。

1番人気(15対8)はシャンペン・ステークスの勝馬でゴドルフィンのポエツ・ヴォイス Poet’s Voice 。ジムクラックの覇者ショウキャスティング Showcasting も差無く続きます。

しかし勝ったのは4対1のオウザーン Awzaan 。先日ミルリーフ・ステークス優勝を報告したばかりで、これも勝っておかしくない実力馬です。
2着は4分の3馬身でレイディオへット Radiohead 、3着に首差でショウキャスティングの順。差なくポエツ・ヴォイスも4着という結果でした。

オウザーンは先頭に抜け出した後にスタンド側に斜行しましたが、リチャード・ヒルズ騎手が上手くムチを使って立て直しての勝利。耳を立てたままの優勝は、着差以上に強いという印象でした。
マーク・ジョンストン厩舎の管理馬。

これでオウザーンは無敗の4戦4勝。来年の2000ギニーには14対1のオッズも出ました。

ヒルズ騎手は不注意な騎乗ということで1日の騎乗停止処分を受けましたが、この日は最初のオー・ソー・シャープと、更に第7レースにも勝ってトレブルを達成しています。

さて昨日はアイルランドでも注目すべきパターン・レースが行われました。
ダンダルク競馬場 Dundalk のダイアモンド・ステークス(GⅢ、3歳上、1マイル2ハロン150ヤード)。
この競馬場は初めて耳にする人も多いでしょうが、実は全天候型のコースを持つ競馬場。

ダイアモンド・ステークスは今年からパターン・レースに昇格したレースで、アイルランドで施行される最初のポリトラック・コースでのパターン・レースになります。
このレースは去年からダンダルクのポリトラックで開催されるようになりましたが、それまでは別の競馬場の芝コースで行われていたもの。

11頭立てで行われましたが、ここに何とあのマスタークラフツマン Mastercraftsman が出走してきたのです。
愛2000ギニーとセント・ジェームス・パレスのGⅠ2勝馬ですから当然ながら負担重量も重かったのですが、ファンの支持は熱く、2対9の圧倒的本命。

レースはボルジャー厩舎のヴィア・ガリレイ Via Galilei とオブライエン厩舎のオーガスタスザストロング Augustusthestrong が飛ばし、他馬を14馬身も離して直線に入るスリリングな展開。
しかし本命に跨るジョニー・ムルタは慌てず騒がず、いつもより多少早めに仕掛けましたが、直線ではムチも使わず桁違いの末脚を発揮して、2着ファイアリー・ラッド Fiery Lad を5馬身千切って見せました。
3着は更に1馬身半差で粘ったオーガスタスザストロング。

マスタークラフツマンは、もちろんエイダン・オブライエン厩舎所属。ここを使ったのはアメリカで行われるブリーダーズ・カップを視野に入れているからで、このコースの適性も証明されたことで、マイルに行くかクラシックを狙うか、贅沢な悩みが持ち上がったようですね。

 

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