ニューマーケット・オクトーバー・ミーティング(1)
競馬ファンの関心は専らパリの凱旋門賞でしょうが、こちらにも注目して欲しいですな。毎年この時期に行われるニューマーケットの10月開催です。前半は文字通り「オクトーバー・ミーティング」、後半は同時に行われる競売の名前を採って「ホートン・ミーティング」。
オクトーバー・ミーティングの目玉は2歳馬のためのGⅠが2鞍。最近はサン・チャリオット・ステークスもGⅠに格上げされ、それは今日行われます。
で、昨日行われたレースから。
チーヴリー・パーク・ステークス(GⅠ、2歳牝、6ハロン)は16頭の多頭数。距離が6ハロンということもあって、クラシックよりは将来の短距離路線での活躍に活路を見出す馬が多く排出されるレースです。
ところが去年の覇者ナタゴラは今年の1000ギニーに勝ちましたし、一昨年のインディアン・インクは翌年ロイヤル・アスコットでコロネーション・ステークスを制しています。
当然ながら、今年の勝馬にも期待が掛かろうというもの。
出走馬の顔ぶれにはラウザー・ステークスに勝ったインフェイマス・エンジェル Infamous Angel やファース・オブ・クライド・ステークス勝馬のアスペン・ダーリン Aspen Darlin というパターン勝馬も見られましたが、1番人気に支持されたのは2戦無敗のシリアス・アティテュード Serious Attitude 。
4対1の期待に応えて見事快勝です。2着は半馬身でアスペン・ダーリン、3着には更に4分の3馬身差でパスート・オブ・グロリー Pursuit of Glory が続いています。順当な結果と言えるでしょう。
調教師はレー・ゲストさん。1997年にマイ・エンマ My Emma でヨークシャー・オークスに勝って以来、11年振りのGⅠ勝利です。長かった。騎手はジミー・フォーチュン。
シリアス・アティテュード、実は競りで売れ残り、ゲスト調教師も4分の1に相当する金額を出資してこの馬の共同馬主になっているんですね。
父はムトト Mtoto ですから、血統の割にはスピードがある。この勝利で来年の1000ギニーに14対1のオッズが出ました。先週、追加登録料を支払ったばかりだそうです。
ミドル・パーク・ステークス(GⅠ、2歳、6ハロン)は9頭立て。これもチーヴリー・パーク同様、近年は将来のスプリンター探しのレースになってます。
今年はジュライ・ステークスに勝ったクラシック・ブレイド Classic Blade 、モールコム・ステークスのフィンジャーン Finjaan 、リッチモンド・ステークスのプロリフィック Prolific が出走し、早くもスプリント戦の様相を呈していました。
しかし人気は既にGⅠを制している(ドーヴィル競馬場のモルニー賞)ブッシュレンジャー Bushranger 、ここでも優位は動かず、15対8の1番人気に応えました。デーヴィッド・ワッハマン厩舎、ジョニー・ムルタ騎乗。
ムルタくんにとっては、これが今シーズン19勝目のGⅠとなりました。
2着は1馬身4分の1でセイーフ Sayif 、3着は2馬身半遅れてハントダウン Huntdown でした。
ニューマーケットの競馬の常として、馬群は二手に分かれ、ブッシュレンジャーは真ん中を通る3頭の中にいたようです。しかしゴール前3ハロンで内埒グループに馬体を合わせ、危なげない勝利。
追い風も手伝って、ニューマーケットの6ハロンのコースレコードになりました。
これで2000ギニーのオッズは16対1。デインタイム産駒ですから、距離が伸びても大丈夫でしょう。来年のクールモアの期待の1頭です。
他の二つのレースについても簡単に触れておきます。
2歳牝馬のGⅢ、7ハロンのオー・ソー・シャープ・ステークスはハノン厩舎、フォーチュン騎乗のソウターズ・シスター Souter’s Sister という馬が勝ちました。25対1の大穴。
前走のソールズベリーでのリステッド戦でチーヴリー・パークを制したシリアス・アティテュードに負けた馬ですから、チーヴリーにとっても良い宣伝効果になるでしょう。
ただしこの馬はこれが10戦目ということで、クラシックでどうこう言う馬ではないような気もします。
3歳上の1マイル戦、GⅢのジョエル・ステークスはイーグル・マウンテン Eagle Mountain の貫禄勝ち。と言ってもどんな馬でしたっけ、という方も多いはず。
去年のチャンピオン・ステークス2着以来、実に349日振りのレースでした。春先に脚部故障を発症し、治療に専念してきたのです。
このレースもミドル・パーク同様、追い風に恵まれて1マイルのコース・レコードを更新しました。1分34秒07。
ケヴィン・シェア Kevin Shea が騎乗しましたが、調教師のミック・デ・コック Mick de Kock さんは不在。何と、スコットランドでゴルフに興じていたとか。う~ん、イギリスでは話題にもならんか。
ということで、ニューマーケット。明日はGⅠのサン・チャリオット・ステークスが行われ、結構レヴェルの高いメンバーが揃ってます。
もう一つ明日は呼び物のケンブリッジシャー・ハンデも行われますね。一般的英国の競馬ファンは、多分凱旋門賞よりもこの伝統的ハンデ戦を楽しみにしているでしょう。なんたって馬券的には妙味がありますからね。
パリの頂上対決は貴族共に任せておいて、こちとら大ギャンブルじゃ~。そんな声が聞こえてきそうなニューマーケットであります。
凱旋門はまた別稿にでも。既に枠順も発表され、最終的には16頭立てみたい。それはいずれ土曜日予定のレースと合わせて・・・。
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