アンソニー・クラスタス来日

今日は風変わりなパターン・レースを紹介しましょう。昨日行われたアンドレ・バボアン賞(GⅢ、3歳上、2000メートル)。

パターン・レースに限らず、競馬というものは毎年同じ条件で行われるのが原則。それが前提となって生産(配合)も育成(調教)も決定されていきます。

ところが稀に毎年出走条件が変更されるレースもあります。アメリカのブリーダーズ・カップがその例で、アメリカの主要競馬場が持ち回りで開催することになっていますね。これに伴って開催時期も微妙に違ってきます。
ヨーロッパではこの種のレースはほとんどありませんが、唯一フランス競馬に組まれているパターン・レースにアンドレ・バボアン賞があります。

これは以前プロヴァンス大賞典 Grand Prix de Provinses と呼ばれていましたが、1986年から現在の名前に改名。アンドレ・バボアン Andre Baboin とは、1985年に没したリヨン競馬場の総裁だった方のようです。

フランスの競馬はパリ・ドーヴィル地区を中心にするものが世界的に有名ですが、それ以外の所謂地方競馬も極めて数が多く、その最大のレースと言えるのがアンドレ・バボアン。日本の中央競馬と地方競馬の関係に近いと思えば間違いありません。

ところでこのレースは、設立当初はボルドー競馬場、リヨン競馬場、マルセイユ競馬場の三場で持ち回りによって開催されてきました。6サイクル、18年を経過した所で2001年に一度だけトゥールーズ競馬場で行われ、その後はリヨンとボルドーが交替する形式に変わって現代に至っています。今年はリヨン、正式にはリヨン=パリリー競馬場。
因みに競馬場の形態から、リヨンは2000メートル、ボルドーは1900メートルで行われます。
パターン・レース・システムに組み込まれたのは1984年からのことで、ずっとGⅢです。

今年は地方、中央、イギリスからの遠征も含めて9頭が出走。ロワイヤー=デュプレ厩舎のグリ・ド・グリ Gris de Gris が6対4の1番人気に支持されていました。

しかし勝ったのは15対2人気のスターリッシュ Starlish 、測ったような追い込みです。2着は首差でキャプテン・クーラージュ Captaine Courage 、更に1馬身半差3着に本命のグリ・ド・グリが入りました。

スターリッシュはパターン・レース初勝利ですが、前走はドラー賞で5着に入線していた馬。
エリー・ルルーシュ厩舎の管理馬で、アンソニー・クラスタス Anthony Crastus が騎乗していました。

ところで今年24歳の若手騎手クラスタスは、11月から3ヶ月間の予定で日本で騎乗することが決まっています。アンドレ・バボアンは日本へ旅立つ前の最後のレース、見事な騎乗で締め括りました。
今シーズンのフランスで84勝、獲得賞金は300万ユーロを超えています。来年はウィルデンシュタイン軍団の主戦騎手として契約を結んでいますから、更なる飛躍が見込まれるところ。日本での騎乗をお見逃しなく・・・。

 

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