木下美穂子&成田博之/ジョイント・リサイタル

昨日の土曜日、今年の演奏会聴き初めとして表記の演奏会に出掛けてきました。情報誌「ぶらあぼ」にも載っていない小さなコンサートですが、私にとっては木下美穂子を眼前に聴くことができる重要な会です。

主催は元NHKプロデューサー、杉理一氏がほとんど一人で切り盛りしているという㈲ニュー・オペラ・プロダクション。氏はNHKが招聘してきたイタリア歌劇団の公演でプロデューサーなどを務めて来られた方で、オペラの現場に詳しく経験も豊富な方。
その氏が立ち上げたNOPコンサートの第48回に当るのだそうで、今年が創設20年の由。毎回オペラ歌手を原則として二人づつ紹介していく企画のようです。↓

http://members.jcom.home.ne.jp/newopera/

会場は毎回替るようですが、今回は神楽坂にある音楽の友社の「音楽の友」ホール。私は初めて聴くホールで、JR飯田橋で下車、観光客の犇めく神楽坂を目一杯歩いて現地に到着します。
ほぼ満席のホールで歌われたプログラムは、

ヘンデル/歌劇「クセルクセス」~ラルゴ「樹木の陰で」(成田)
ヘンデル/歌劇「リナルド」~「涙の流れるままに」(木下)
デンツァ/妖精のまなざし(成田)
トゥリーナ/カンターレス(木下)
トスティ/四月(成田)
デ・クルティス/忘れな草(木下)
ガスタルドン/禁じられた音楽(成田)
ディリンデッリ/おお春よ(木下)
     ~休憩~
ヴェルディ/歌劇「椿姫」~プロヴァンスの海と陸(成田)
グノー/歌劇「ファウスト」~宝石の歌(木下)
ジョルダーノ/歌劇「アンドレア・シェニエ」~国を裏切る者(成田)
プッチーニ/歌劇「トスカ」~歌に生き、愛に生き(木下)
ヴェルディ/歌劇「トロヴァトーレ」~二重唱「私の願いを聞いて下さい」(二人)
 ソプラノ/木下美穂子
 バリトン/成田博之
 ピアノ/梅田朋子(ピアノはヤマハ)

何分にも二人だけのコンサート、曲間の休憩を出来るだけ多く取るためでしょうか、杉氏の司会進行、丁寧な曲目解説を挟んで進められました。所々では木下、成田両歌手もマイクを通しての軽いトークもあります。

前半は歌曲、成田は恋の歌を、木下は春の歌を中心に披露し、会場は新春ムードに包まれていきます。
客席も最初から大変な盛り上がりで、成田組の声援と木下組の声援が競うよう。ブラヴォ、ブラヴァが飛び交います。

後半はオペラのアリア集、歌も歓声も更にヒートアップという状況で、あっという間に最後のデュオに到達します。
ここでは舞台さながらに演技も交えて迫力タップリ、最初に予想していた以上に楽しめるコンサートになりました。

夫々が日本語の歌を1曲づつ(私の知らない曲)アンコールし、最後は定番の乾杯の歌(ヴェルディ)。

ということで幸先のよいコンサート・ライフがスタートしましたが、このホールは音響に癖があって慣れるのに暫く時間がかかるのが難点。
最初の成田のヘンデルなど、譬えれば風呂場で割れ鐘を聴いているよう。(私のような)ヤワな耳の持ち主には唄声が頭にガンガンと響いて息苦しいほどでした。

ところが木下の場合は、声量こそ成田と好勝負なのに歪みはほとんど感じられません。声の質が違うのでしょうか、あるいは微妙な声のコントロールにもよるのか。

後半に歌った木下の2曲。グノーは今回が初舞台ということで、近未来には本格的な舞台でも披露して行きたい由。杉氏ならずとも舞台が楽しみなファウストであり、解説に出て行くのが躊躇われるほど圧倒的なトスカではありました。
絶唱のトスカ、このアリアを聴いているだけで涙が頬を伝うほどの素晴らしい出来栄えでしたね。

 

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