強者弱者(57)

二月

 此月風弥よ寒く雪弥よ多し。されど時に春めきて閑かなる日を交ふることあり。流石に季節といふ可し。
 蕗の薹弥よ頭を擡ぐ。野沢の氷なほ解けやらず。暖かき日は崩れそめたる霜柱を踏みて根芹、薺を摘む可し。
 毎年此季に入りて市に感冒流行す。

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これを読むと、100年前の東京はずっと寒かったことが判ります。雪いよいよ多し、なんということは無くなってしまいました。

「蕗の薹」は「ふきのとう」、「根芹」は「ねぜり」、「薺」は「なづな」。

感冒は100年前も現在も変らずこの時期に流行します。尤も現在はインフルエンザと言いますね。感冒(かんぼう)というのが如何にも明治ですが、私が子供のころも感冒と言っていました。

 

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