プレヴィン/N響のラフマニノフ他

放送音楽

昨日の放送を録画して見たもの。N響のサントリーホール公演で、プレヴィンじいさんの指揮。武満徹のセレモ二アル、コープランドのアパラチアの春、メインはラフマニノフの第2。

このコンサートは笑ってしまいました。最後のラフマニノフ、特に第4楽章の盛り上がり方は、さすがプレヴィンと言おうか、N響と言おうか。客席も沸きに沸いて、フライング拍手出まくり、ブラヴォーの連発で大いに盛り上がってました。これを見ると、いかにもN響健在、プレヴィン矍鑠という気になってしまうから可笑しなものです。“終わり良ければ全て良し”

ラフマニノフの第2交響曲を、本来の姿で世に知らしめたのはプレヴィンです。それまではフィラデルフィア・コネクションのカットだらけのバージョンで聴かされ続けてきたんですから。
それをプレヴィンが原点に戻し、ロンドンでレコーディングした。ラフマニノフ第2の真価は、彼によって初めて紹介されたんです。ですから、オーソリティー。それには敬意を表します。

今回も勿論カット無し、完全全曲版でした。ただし、第1楽章の繰り返しは省略。プレヴィンさん、辛いんでしょうか、楽章が終わるごとにため息をつき、肩で息してます。フレーズの終わりもサッと切り上げ、あまり余韻を残しませんね。そのせいか、ラフマニノフとしてはアッサリ系。フィナーレを除いて・・・。

しかし前半のプログラムは酷かったですね。最初の武満作品は、彼の全作品の中で最もつまらない曲、だと私は思います。笙のソロ(宮田まゆみさん)があって、オーケストラが登場、最後にまた笙、というだけ。確かこれは未だ楽譜が出ていないと思います。ショットとしても出す気にならないのじゃないかな。愚作と言ってもいいかも。
それにしてもN響、これ好きですね。確かデュトワも定期で取り上げてました。N響としては偶には現代音楽を、時々は邦人作品を、という批判をかわすためなのかな。演奏も難しくなさそうだし。

次のコープランド。これがイカン。遺憾ですよ。
アパラチアの春は、当然大管弦楽版で演奏されました。いくつか登場する打楽器の中に、テーバー tabor とクラヴェス claves というのがあります。テーバーは中世の小太鼓、本来はこれを左手で叩き、右手に笛を持って吹くのが正統だそうです。一方のクラヴェスはキューバの楽器、2本で1組、両手で打ち合わせる小さい角(または丸)棒で、ルンバを演奏する時に使うんだそうですね。
当然、これを見ようと期待してました。

ところがカメラは、これらを一度も捉えることなく、スコアから目を上げない老プレヴィンを追うばかり。カメラワーク、最低でしたね。作品の見所くらい事前にチェックしないんですか。
お茶の間の皆さんにとって、そんなことはどうでもいいのか、な。

演奏がまた酷かった。リハーサルやったんでしょうかね。楽器のミスなんかはなかったですよ。問題なのはリズムが滅茶苦茶。縦線がまるで合わない。弦のアンサンブルなんてアマチュア以下です。アマチュアはもっと練習します。それすら出来てない。

思うに指揮者が悪いんでしょうね。プレヴィンって人は、リズム音痴です。この人は昔ジャズをやってたんじゃなかったかしら。あのリズム感じゃ、ジャズは無理でしょ。仕方なくクラシックに転身したのか・・・。おいおい。

てなわけで、前半からラフマニノフの第3楽章までが酷過ぎ、お陰でフィナーレは爆発的に盛り上がったのでした。
N響さん、あのリズム、オーケストラがチャンと支えてあげなきゃ。日頃から名曲ばっかり、易しい曲ばっかり演奏していることのツケが回ってきてますヨ。弦楽四重奏で血みどろの努力をしている連中の爪の垢でも煎じて呑みなさい。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください