今度はオブライエンのワン・ツー

土曜日のキングジョージでスタウト師のワン・ツー・スリーを紹介しましたが、昨日の日曜日はアイルランドでオブライエン師がワン・ツーを達成しています。
カラー競馬場で行われたフェニックス・ステークス(GⅠ、2歳、6ハロン)はオブライエン厩舎が独壇場とする2歳馬による最初のGⅠ戦。
今年もオブライエン軍団が制し、この12年間で10勝という記録になりました。
8頭立て。5対4の1番人気に応えたのは、先のレイルウェイ・ステークスにも勝っているアルフレッド・ノーベル Alfred Nobel 。2着もオブライエン厩舎のエア・チーフ・マーシャル Air Chief Marshal が半馬身で続きます。3着に2馬身半、アングルジー・ステークスの覇者で無敗だった牝馬ウォーク・オン・バイ Walk On Bye の順。
アルフレッド・ノーベルは瞬発力に富んだ馬。この日の重馬場で能力を発揮できるかが試金石でしたが、自信満々のムルタ騎手は最後方からの競馬。オブライエン師の期待通り末脚を爆発させての快勝です。
この勝ちっぷりの良さから、来年の2000ギニーに向けてオッズは10対1に下がりました。
馬名のアルフレッド・ノーベルはもちろん「ノーベル賞」で名高いスウェーデンの技術者から採ったもの。アルフレッド・ベルンハルト・ノーベル Alfred Bernhard Nobel (1833-1896) は爆薬の発明者ですよね。
名前のようにクラシックに向けて末脚が「爆発」するでしょうか。
オブライエン厩舎のワン・ツー・フィニッシュは珍しくありません。この日は他に2頭出していましたが、ベートーヴェン Beethoven (オダナグー騎乗)とレゲエ・ダンサー Reggae Dancer (レヴェイ騎乗)が夫々5・8着に敗れたためGⅠのワン・ツー・スリーは成らず。
因みに2着のエア・チーフ・マーシャルは33対1の大駆け。騎乗していたのは師のご子息でした。
ベートーヴェンはアイルランドで勝てませんでしたが、ドビュッシーはフランスで快勝しています。
同じ日曜日の昨日、メゾン=ラフィット競馬場で行われたユージェーヌ・アダム賞(GⅡ、3歳上、2000メートル)は9頭立て。
イギリスから遠征したドビュッシー Debussy が見事に逃げ切り勝ち。2着には半馬身でワールド・ヘリテイジ World Heritage 、3着に2馬身差でプリンス・ジークフリート Prince Siegfried が続いています。
23対10で1番人気に推されていたキャッシェルガー Cashelgar は4着止まり。
ドビュッシーはエプサム競馬場でダービー・トライアルに勝った馬。本番とロイヤル・アスコットは一息足りない競馬でしたが、ここは実力を存分に発揮、ダービー出走組のレヴェルの高さを証明した形です。
ジョン・ゴスデン厩舎、ジミー・フォーチュンの騎乗で、このレースで英国馬は3連勝達成。
(2007年はハーランド Harland 、去年はトゥワイス・オーヴァー Twice Over )
ゴスデン師にとっても1992年(ポーレン・カウント Pollen Count )以来の2勝目に当ります。
今後は馬主のハヤ王女が裁量することになるでしょうが、2000メートルを中心にするGⅠが目標になるはず。当面はヨークのインターナショナルでしょうか。
メゾン=ラフィットはもう一鞍。ロベール・パパン賞(GⅡ、2歳、1100メートル)は伝統ある2歳馬の登竜門。
今年は6頭が揃い、これまで3戦無敗のシユーニ Siyouni が1対2の圧倒的1番人気に支持されていました。
しかし結果は出走馬中唯一の未勝利馬スペシャル・デューティー Special Duty が優勝。本命シユーニに1馬身半差をつける完勝です。3着は頭差でドールド・アップ Dolled Up 。
勝ったスペシャル・デューティーはクリスティーヌ・ヘッド=マーレク姐御が調教する牝馬。ステファン・パスキエの騎乗。
ヘッド女史にとってロベール・パパンは6度目の優勝。このレースを制してクラシック馬に成長したマ・ビッシュ Ma Biche (1982年)とべゼ・ヴォール Baiser Vole (1985年)に続きたいところ。手応えはあるようです。
スペシャル・デューティーは未勝利馬とは言っても、デビュー戦(ドーヴィル競馬場のリステッド、ヤコウレフ賞)はスタートで頭をぶつけるアクシデントを克服しての2着。未勝利でもいきなりGⅡに挑戦させるには、それなりの確信があってのことでしょう。
次なる目標のモルニー賞でのキャンフォード・クリフス Canford Cliffs (コヴェントリー・ステークス)との対決が楽しみになってきました。
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