強者弱者(91)

菜の花

 菜の花盛りなり。蕪村の句に於いて見るが如き雄大の光景は之を武蔵野に見る可からず。寧ろ麦の畑にとなりて一もと二もと咲き出でたるを大師詣の少女の手折らんとしたる、或は洗場の水に捨てられたる根の端に芽ぐみて、かりそめに咲き出でたるを蝶の慕い寄りたるに画の趣を見る可し。強いて菜園の美を求めんとすれば、府中の宿を出でて多摩川に沿ひ、登戸村に下る沿岸一帯の地に於いて之を見る可し。

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蕪村の句というのは、もちろん「菜の花や月は東に日は西に」という有名な一首のことでしょう。

ここにある「蝶の慕い寄りたる」とは、モンシロチョウのことで間違いないと思われます。

登戸は、明治までは登戸村でした。この辺りは湿地が多かったので、菜の花の群生が見られたのでしょう。地名の由来などは↓。

http://homepage2.nifty.com/plaza-k/name/ntama/tama01.htm

 

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