アルバン・ベルクQ/2005
放送音楽
その気になってテレビの音楽放送を探すと結構あるもので、今朝はハイビジョンでアルバン・ベルク弦楽四重奏団の放送がありました。てっきり今年の来日コンサートかと思ったら、2年も前、2005年5月26日・紀尾井ホールでの収録だそうです。
まぁ、いいでしょう。折角スイッチを入れたので、聴いてみました。
アルバン・ベルクQのナマは行ったことありません。理由は簡単で、チケットが高いから。タダ券を回してもらえば、喜んで行きますが、もうそんなチャンスありませんね。
2005年の来日は、何でもヴィオラのカクシュカが病気で、急遽カリシウスという女性奏者がピンチヒッターを務めたそうです。その後カクシュカが亡くなり、カリシウス嬢はそのまま正規に団員として活動している由。
へぇー、そんなことも知らなかったぞ。チャンとテレビ放送も見ておくもんだ。改めてこのトップ・クラスのクァルテットの歴史を調べちゃいました。
結成は1970年、ヴィーン音楽大学の教授たちがメンバー。第1ヴァイオリンがギュンター・ピヒラー、第2はクラウス・メッツル、ヴィオラがハット・バイエルレ、チェロはヴァレンタイン・エルベン。
78年に第2がゲルハルト・シュルツに、81年からヴィオラがトマス・カクシュカに代わり、更に2004年のカクシュカの死去に伴い、カリシウスになって現在に至る、ということらしいですね。ということは、2005年5月の紀尾井は、急遽でも何でもなく、このメンバーで1年ほど経過していたことになります。
そういうわけでこの放送は、ピヒラー、シュルツ、カリシウス、エルベンというメンバーでした。
曲目はシューベルトの変ホ長調D87、ハウベンシュトック=ラマティの第2。後半がハインリヒ・シフを第2チェロに加えてシューベルトの弦楽五重奏曲です。
放送ですから音量、音質ともにナマの印象とは違うのでしょうが、大ホールで沢山の聴衆に聴かせる大室内楽という感じでした。特にシューベルトの五重奏は迫力充分、ほとんどブルックナーの交響曲の世界でしたね。第1楽章の繰り返し、第3楽章主部の後半の繰り返しは省略していました。
珍しいのはハウベンシュトック=ラマティの第2。「クリストル・ジンメールの思い出に」というタイトルが付いています。Christl Zimmerl が何者か、についてのテロップ解説などは一切ありませんでした。自分で調べなさい、ということですかね。
全部で6楽章。特に第3楽章と第5楽章は、小節の区切りが書かれていないようで、ピヒラーが時折、弓を正眼に構えるように指示を出していきます。最後の第6楽章の一番ラスト、ここで第1ヴァイオリンだけがメロディックなソロを奏でるのが印象的でした。ジンメールの思い出、なんでしょうか。
ネットで検索してみたら、この曲はアルバン・ベルクQの録音もある(EMI)ですし、ウィーンでもシューベルト作品と併せてプログラムに載せていました。得意な作品なのでしょう。
楽譜はユニヴァーサルから出版されているとの事でしたが、同社の売譜カタログには未掲載(第1は売ってます)。いずれエクセルシオがやってくれるかも知れませんね。
客席最前列に例のカブリツキ男が陣取っていましたから、アルバン・ベルク・クァルテットはミーハー向け、金持ち向けエンターテインメントとしても成り立つんでしょうね。
まぁ、テレビ観戦が賢明、だと思いました。
尚、奏者の配列は、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの順。シフはヴィオラと第1チェロの間で弾いていました。
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