メットの「三部作」

放送音楽

もう先週の話ですが、メット・ケーブル・オペラでプッチーニの三部作を楽しみました。これで全6本を一渡り見たのですが、三部作が最高だった、というのが私の感想。これはニューヨークまで出掛けて見ても損はない舞台ですな。

とにかく出演者、揃いも揃って歌良し、演技良し。もう、文句の付け所がありません。
あ、プッチーニの三部作とは、「外套」、「修道女アンジェリカ」、「ジャンニ・スキッキ」という1幕ものオペラを一晩で上演するオムニバスのことです。外套はヒッチコック風のスリラー、アンジェリカは女性のみが登場する奇跡劇。ジャンニ・スキッキはフィレンツェを舞台にした喜劇です。

どれも良かったけれど、外套でルイージを歌ったリチートラ。正にはまり役ですね。これ以外のルイージは想像できなくなっちゃう。
アンジェリカは当然ながら、フリットリの熱唱。演出も素晴らしかったし、照明の見事なこと。ナマで見たら感動で震えが止まらなくなるでしょう。
ジャンニ・スキッキは何と言ってもコルベルリ。この人、DVDのドン・パスクワーレでたちまちファンになっちゃんたんですが、スキッキでの役者ぶりも本当に唖然とさせられます。腹を抱えて泣いてしまった。

記録のために主なキャスト。
「外套」 ジョルジェッタ/マリア・グレギーナ、ミケーレ/ファン・ポンス、ルイージ/サルヴァトーレ・リチートラ、ティンカ/デーヴィッド・カンジェロージ、フルーゴラ/ステファニー・ブライス。

「修道女アンジェリカ」 アンジェリカ/バルバラ・フリットリ、修道女長/ウェンディ・ホワイト、公爵夫人/ステファニー・ブライス。

「ジャンニ・スキッキ」 ツィータ/ステファニー・ブライス、シモーネ/ドナート・ディ・ステファーノ、ジャンニ・スキッキ/アレッサンドロ・コルベルリ、ラウレッタ/オルガ・ミキテンコ、リヌッツィオ/マッシモ・ジョルダーノ。

3作全てに出演したのはブライスです。
全て指揮はジェームズ・レヴァイン、演出がジャック・オブライエンでした。幕間に二人の対話も放送されていましたが、これまでプッチーニと言えば「ラ・ボエーム」「蝶々夫人」「トスカ」が専らでしたが、最近は他の作品の人気が高まっているのだとか。三部作もその一つですね。

演出も妙な読み替えなど無く、誰が見ても納得が行くのではないでしょうか。ドイツあたりの奇天烈な演出など糞食らえ、ですわ。
例えば、ジャンニ・スキッキに出る有名なラウレッタのアリア。この歌によってスキッキの気持ちが傾いていく。その辺の機微が見事に描かれているし、それに応える歌手たちの演技の素晴らしさ。最後のフィレンツェの鳥瞰も素敵でしたよね。思わず拍手が起きてました。

放送では、アンジェリカとスキッキの間に放送されたであろう舞台裏レポートがカットされていたようです。これも見たかったのにぃ~。

ということで6本。私にとってノー・サンキューは魔笛と始皇帝。清教徒は良かったですが、オネーギンとセヴィリアは最高。三部作が圧巻、ということですかね。
半分以上が当たりですから、さすがにメトロポリタン歌劇場。来年はオペラ・ヴューも見に行こうかな。予定を見て食指が動くのは3月の「マノン・レスコー」と「ピーター・グライムズ」、4月の「トリスタンとイゾルデ」かな。目黒パーシモンホールでも再上演があるそうだけれど、音響設備なんかどうなんだろう。

そうそう、昨日タワーの新譜情報コーナーを覗いたら、「清教徒」がDVDで出るそうです。商売としてはネトレプコにあやかるんでしょうが、私としては不満。先に出すべきものがあるでしょ。この辺が商業主義の悪しき慣習、限界なんだろうなぁ。三部作出してくれんかなぁ。

来年はプッチーニ生誕150年。CDでもデッカ録音をまとめたセットが出るそうだし、少しばかり散在しても罰は当たらんでしょう。

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