連日のBBCフィル

前回に続いて、8月2日のプロムスもBBCフィルの担当です。2日目の指揮者は首席指揮者ファンホ・メナ。
今年のプロムスはシェークスピア没後400年を記念した特集が目立ちますが、もう一つの隠れテーマに南米特集があります。もちろん、今週末からブラジルで世界大運動会が行われるからですが、英国では前回のロンドン大会に比べれば静かな印象です。
で、この日は南米の作品が冒頭で紹介されました。

8月2日 ≪Prom 24≫
ヒナステラ/交響的三部作「オエンタイ」 Ollantay (ロンドン初演)
ブリテン/ピアノ協奏曲
     ~休憩~
シューベルト/交響曲第9番「ザ・グレート」
 BBCフィルハーモニック管弦楽団 BBC Philharmonic
 指揮/ファンホ・メナ Juanjo Mena
 ピアノ/スティーヴン・オズボーン Steven Osborne

ヒナステラはブラジルの作曲家ではありませんが、固いことは言いますまい。アルゼンチンの作曲家で、南米と言うよりも今年生誕100年を迎えるということの方が注目点かも。
実は今年、彼の弦楽四重奏曲第1番をナマで2度も聴いてしまいました。今回ロンドン初演された作品、3ヶ月ほど前にスコアを注文しておいたのですが、残念ながら間に合いませんでした。仕方ないのでNMLなどで予習してから本番に臨んだもの。

「Ollantay」という言葉、見たままに「オランタイ」かと思っていましたが、どうも違うようですね。ある資料では「オジャンタイ」とされていたり、「オリャンタイ」と表記されているものも。
今回BBCで案内してくれたトム・レドモンドさんは「オエンタイ」と発音してました。要するに読み方は良く判りませんが、スコアには引用されたインカの伝説と言うか神話が印刷されているようですね。届いたら確認してみましょう。

NMLで読んだ解説によれば、オエンタイとは「大地の息子」のことで、「太陽の息子」インカと闘って敗れた英雄だそうですね。日本に当て嵌めれば、天照大神に対する素戔嗚尊のような関係でしょうか。
3楽章構成で、第1楽章は「オエンタイ旅籠の風景」、第2楽章「戦士たち」、第3楽章が「オエンタイの死」というタイトルが付いています。

前半の2曲目は、ガラッと変わってブリテンのピアノ協奏曲。1938年の8月にクィーンズ・ホールで、作曲者のピアノとサー・ヘンリー・ウッド指揮BBC交響楽団で初演されていますから、プロムスと縁がないわけじゃありません。
オズボーンのアンコールは、ラヴェルの「鏡」から第2曲「悲しき鳥たち」。

後半はシューベルトの天国的なザ・グレイト。速目のテンポでスッキリと演奏されました。
コメンテイターは「一音も見逃さない完全演奏」と言っていましたが、繰り返しを実行したのは第3楽章スケルツォ前半と、トリオ前半の2か所だけ。いつぞやN響に客演した某高齢指揮者の様に全部の繰り返しを実行するようなことはありませんでした。

 

 

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