強者弱者(113)
野生の菖蒲
菖蒲の花斂まる。此頃下総の野に野生の菖蒲を見るべし。習志野あたり、眞菰まじりに咲くゆかりの花、軍馬の蹂躙に任せたり。『潮来出洲』の俗謡はやがて下総一円の印象記なり。箱根の仙石原に野生するものは七月に入りて花咲く。
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「眞菰」(まこも)はイネ科の植物。河岸や池沼の水中に群生し、古代人の食糧だった可能性が高いそうです。現代ではあまり馴染の無い植物でしょう。
「『潮来出洲』の俗謡」とあるのは、いわゆる潮来節のことで、長唄「藤娘」に入れられたことで一般に膾炙するようになった由。
上記の眞菰も歌詞に登場し、“枯れた眞菰を照らしてる、潮来出島の・・・” とか、“潮来出島の眞菰の中で、あやめ咲くとはしおらしや・・・” などと唄われています。
仙石原の菖蒲は野生種の菖蒲だそうで、現在では貴重なもの。
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