土曜の英愛仏

昨日はイギリス(ニューバリー競馬場)、アイルランド(カラー競馬場)、フランス(メゾン=ラフィット競馬場)3国でパターン・レースが行われました。どれもGⅢ戦ですが、夏・秋のGⅠ戦を目指す馬たちがステップレースとして使ってくるケースも目立ちます。

先ずはニューバリー競馬場のハックウッド・ステークス(GⅢ、3歳上、6ハロン8ヤード)。
9頭が出走。前走ロイヤル・アスコットのキングズ・スタンド・ステークス(GⅠ)で2着したマーカブ Markab が9対4の1番人気に支持されていました。

結果は15対2の伏兵リーガル・パレード Regal Parade が前年の覇者ハイ・スタンディング High Standing に3馬身差を付けて圧勝、更に1馬身差3着にシークレット・アセットの順。
本命マーカブは不発、6着に敗退しています。

勝ったリーガル・パレードはデーヴィッド・ニコラス厩舎の管理馬。鞍上は師の息子、エードリアン・ニコラスでした。

リーガル・パレードは去年の9月にベットフレッド・スプリント・カップを制したGⅠホース。今シーズンはメイダンとロイヤル・アスコット(ゴールデン・ジュビリー)でいずれも着外に敗退していたため人気を落としていました。復調すれば流石にGⅠ馬の貫禄ということでしょう。

この日は良馬場ながら所々重馬場の発表、重得意のリーガル・パレードに馬場も味方した一戦でした。

愛オークスを翌日に控えたカラー競馬場は、ミンストレル・ステークス(GⅢ、3歳上、7ハロン)。
ここも9頭立て。確たる中心馬不在の中、3頭が4対1の1番人気を分け合いました。即ち英国(ノセダ厩舎)から遠征の6歳馬アラビアン・グリーム Arabian Gleam 、オックス厩舎の4歳馬ライェーニ Rayeni 、ボルジャー厩舎の3歳馬フリー・ジャッジメント Free Judgement 。

しかし人気の3頭はいずれも掲示板に乗らず、優勝は5対1のエア・チーフ・マーシャル Air Chief Marshal でした。1馬身4分の3差2着に逃げたダフ Duff 、更に1馬身半差3着がイタリア馬のダンディー・ボーイ Dandy Boy という結果。
1番人気の3頭は、ライェーニ4着、アラビアン・グリーム6着、フリー・ジャッジメント7着とそれぞれ敗退しています。

エア・チーフ・マーシャルはエイダン・オブライエン厩舎、ジョニー・ムルタ騎手のコンビで、同コンビはこの日の第1レース(2歳牝馬の未勝利戦)に続くダブル達成です。

黄金コンビでありながら1番人気にならなかったのは、同馬は11連敗したあと漸く前走のダンダルク競馬場で久々に勝ったばかり、そのレースもオール・ウェザー・コースでのもので、たった5日前の月曜日のことだったからでしょう。

騎乗したムルタによれば、エア・チーフ・マーシャルはやっとベストに戻った由。次はランクを一つ上げてGⅡ戦に挑戦する予定。

メゾン=ラフィット競馬場は2鞍。いずれも直線コースでのGⅢ戦です。

リゾランジス賞(GⅢ、3歳上、1200メートル)は7頭立て。1番人気は4対5のウォー・アーティスト War Artist 。世界を股にかけてパターン・レースをいくつも制している7歳馬ですが、ペナルティーの6ポンドをものともせず快勝しています。
2着は去年のこのレースに勝っているティザ Tiza で半馬身差。3着は短首差でダム・ドジー Dam D’Augy の順。

アラン・ロワイヤー=デュプレ師のワン・ツー・フィニッシュ、勝馬のジョッキーはオリヴィエ・ペリエ、2着馬にはジェラール・モッセが騎乗していました。

実は勝ったウォー・アーティストはデュプレ厩舎に転厩(それまではジェームス・ユスタース厩舎)したばかり。転厩初戦のロイヤル・アスコット(ゴールデン・ジュビリー)は6着でしたから、デュプレ師の管理下での初勝利となります。

師によれば、この日の勝利は最後で抑えるほど余裕のあったもの。負担重量を加味しても着差以上の実力があり、次はGⅠ(ドーヴィルのモーリス・ド・ギースト賞)を目指す予定だそうです。
一方2着のティザは同じドーヴィルでもモトリー賞を狙うとか。

残る一つ、メッシドール賞(GⅢ、3歳上、1600メートル)は8頭立て。
ここも7対10の圧倒的1番人気に支持されたフュイッセ Fuisse が期待に応えています。2着は4馬身の大差が付いて英国(クライヴ・コックス厩舎)から遠征したビーコン・ロッジ Beacon Lodge 、3着が更に1馬身差で去年の仏2000ギニー馬シルヴァー・フロスト Silver Frost の順。

このレースにはイギリスからもう2頭が参加していましたが、シェークスピアリアン Shakespearean は5着、ザ・レクティファー The Rectifier は6着に終わっています。

クリティック・ヘッド女史が管理し、ステファン・パスキエが騎乗したフュイッセは、去年の仏ダービーで2着した馬。ダービーのあとは長期休養に充てましたが、今シーズンは初戦で3着したあと3連勝。前走のGⅢ戦(シュマン・ド・フェル・デュ・ノール賞)に続いてパターン・レース2連勝です。

ヘッド姉さんの談話では、次走ジャック・ル・マロワ賞(GⅠ)でゴールディコヴァ Goldikova とパコ・ボーイ Paco Boy との対決前に楽なレースをさせたかった由。
思惑通りの結果が出たことでもあり、マロワでの一騎打ちが一層楽しみになって来ました。

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