グレンイーグルス、ギニー・ダブル達成!

昨日は英愛米3か国でG戦(ヨーロッパはグレード・レース、アメリカはグループ・レース)が行われましたが、先ずはアイルランドのクラシック・レース第一弾からレポートするのが順序でしょう。

ということでカラー競馬場で行われたG戦3鞍から、最初にアイルランド2000ギニー Irish 2000 Guineas (GⅠ、3歳牡牝、1マイル)を取り上げます。馬場は good to yielding で、高速馬場ではありませんが馬にとっては走り易く、どんなタイプの馬にも向いた馬場と言えそうです。
事前に枠順を紹介した通りの11頭立て。やはり英愛ギニー2冠の掛かるグレンイーグルス Gleneagles が2対5の圧倒的1番人気、ニューマーケットでは3着だったアイヴァウッド Iva wood が11対2の2番人気で続きます。新勢力ではレパーズタウン・トライアル2着のエンドレス・ドラマが9対1で3番人気に支持されていました。

レースは、アイヴァウッドが先手必勝とばかりの逃げ作戦。ニューマーケットでは先頭に立つのが早過ぎたとコメントしていたムーア騎乗の大本命グレンイーグルスは中団の後ろ7番手でジックリ待機。勝負所、アイヴァウッドが2馬身差で逃げ込みを図りましたが、スタンドから遠いラチ沿いで前が空くのを待っていたグレンイーグルス、一旦間隔を捉えると瞬発力はピカイチ。アイヴァウッドを捉え、更に外から追い込むエンドレス・ドラマを4分の3馬身差抑えて堂々のクラシック・ダブル達成です。
半馬身差でアイヴァウッドが3着に粘り、4番人気(12対1)のベラード Belard が4着、5番人気(12対1)のトームレーン Tombelaine が5着と、入着順もほぼ人気通りの順当な結果で終わりました。

これでエイダン・オブライエン師は愛2000ギニーは10勝目、ライアン・ムーア騎手は初制覇となります。オブライエン師は同馬をこれまで管理した最高のマイラーと評し、よりスピードのあるジャイアンツ・コーズウェイ Giant’s Causeway と譬えていました。大差では勝たないタイプで、速い馬場で最も能力を発揮する馬とのこと。スピードの活きない重馬場は敬遠することになるでしょう。
現時点でグレンイーグルスはダービーにも登録があり、何と言ってもダービーですからチャレンジする可能性も残されていますが、このままマイル路線を歩む公算が大きいと思われます。いずれにしても結論は来週になる由。ロイヤル・アスコットのセント・ジェームズ・パレスで3歳マイラーの頂点に立ち、グッドウッドのサセックス・ステークスと古馬に挑むという王道。

次にクラシックの前に行われたグリーンランズ・ステークス Greenlands S (GⅡ、4歳上、6ハロン)。短距離路線の見直しに伴い、今年から4歳上に替り、更にGⅢからGⅡに昇格しています。GⅡに相応しいハイレヴェルなメンバー9頭が揃い、7対2の1番人気には今期ニューマーケットでアバーナント・ステークス(GⅢ)を制した英国馬アステア Astaire が支持されていました。
ムーア騎乗のアステアがスタートから先頭に立って逃げ切りを図りましたが、中団5番手を進んだ2番人気(4対1)のムスタジーブ Mustajeeb が外から本命馬を交わし、後方7番手から追い込む6番人気(9対1)のマーレク Maarek に1馬身差を付けて快勝。半馬身差で3番手を進んだ5番人気(8対1)のマジェスティック・クイーン Majestic Queen が3着に入り、アステアは5着敗退。

デルモット・ウェルド厩舎、パット・スマーレン騎乗のムスタジーブは、去年のこの日に愛2000ギニーでキングマン Kingman の3着した馬。その後はアスコットでジャージー・ステークス(GⅢ、7ハロン)を制し、BCマイルに遠征して6着でシーズンを終えていました。今期はマイル路線から短距離に転向、6ハロンは2歳デビュー戦以来でもあります。そもそもスマーレン騎手は同馬を本質的にはスプリンターと感じていたとのこと。
このあとロイヤル・アスコットでは同じく6ハロンのダイアモンド・ジュビリー、更にニューマーケットのジュライ・カップと短距離GⅠ戦を歩むことになります。ダイアモンド・ジュビリーのオッズは10対1に上がりました。ウェルド厩舎にはナイェフ Nayef 産駒が2頭いるそうで、1頭はムスタジーブ、そしてもう1頭がゴールド・カップ本命に躍り出たフォーゴットゥン・ルールズ Forgotten Rules だというから驚くじゃありませんか。

カラー競馬場の最後は、クラシックの後に行われたランウェイズ・スタッド・ステークス Lanwades Stud S (GⅡ、4歳上牝、1マイル)。去年からこのレース名に変わった一戦で、実に3度目の改名。この古馬牝馬戦も今年からGⅡに昇格しました。9頭が出走し、グリーンランズ・ステークスに勝ったムスタジーブと同じウェルド/スマーレン・コンビのブローチ Brooch が8対11の断然1番人気。
最低人気(40対1)のサム・スピリット Some Spirit が逃げましたが、これは格下。3番手を楽に進んだブローチが馬なりのまま抜け出し、2番手に付けた5番人気(12対1)ラモーン Ramone に2馬身4分の1差を付けて見事に人気に応えました。頭差で2番人気(7対1)のアメージング・マリア Amazing Maria が3着。

勝ったブローチは、これで無傷の4戦4勝。3歳時の去年は9月にゴウランのデニー・コーデル・フィリーズ・ステークス(GⅢ)を含めて3連勝し、G戦も2勝目。次走はロイヤル・アスコットのウインザー・フォレスト・ステークス(やはり1マイル)を予定していますが、ウェルド師は彼女の最適距離を1マイル4分の1(ほぼ2000メートル)と見ているとのことで、更に力を付けたうえでより長い距離に挑戦する日が来ると思われます。オーナーはジャドモントのハーリット・アブダッラー氏。

 

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