強者弱者(156)

芝雑魚

 鮎漸くさびて、鯔、すずき、このしろなど所謂芝雑魚味よし。洗ひには鯉、こちなど酒に適す。土用の丑の日には各戸皆鰻の蒲焼を食ふ。鰻は大川、高輪の産をよしとす。市内の蒲焼近年多く浜名養魚場の鰻を用ふ。其味最も下卑たり。蒲焼にて名あるは神田川、竹葉など。
 芝浦、浜町の投網遊船は立秋の頃より、仲秋に至る間を最もよしとす。月の夜など、暁に至りて興の尽くるを覚えず。

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芝・品川は江戸時代から有数の漁場でした。芝雑魚(しばざこ)は、芝の浜で揚がる小魚類の総称。広辞苑には「芝魚」(しばざかな)という項目で記載されています。

「鯔」は「いな」。出世魚「ボラ」の20~30センチ位の幼魚のこと。ここから発した「いなせ」という表現がよく知られています。

明治時代のウナギの主力はもちろん天然もの。隅田川や高輪(たかなわ)で獲れるものが高級とされていました。養殖ものは“其味最も下卑たり” と言われていた頃の話です。

神田川も竹葉(ちくよう)も現代まで続く鰻の名店。神田川は神田明神下にあり、竹葉は銀座の老舗です。夫々のホームページは↓

http://www.unagidaisuki.com/mkandagawa.html

http://www.unagi-chikuyoutei.co.jp/

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