マクフィも復活宣言

日曜日のドーヴィル、1マイル戦としてはヨーロッパで最も賞金の高いジャック・ル・マロワ賞(GⅠ、3歳上、1600メートル)が行われました。前日に続いて雨の重馬場、というより不良に近い馬場状態が明暗を分けたのかも知れません。

出走馬は8頭。何と言っても注目されるのは、ロイヤル・アスコットのクィーン・アン・ステークス(GⅠ)で死闘を演じたゴールディコヴァ Goldikova とパコ・ボーイ Paco Boy の再対決でしょう。そのアスコットのセント・ジェームス・パレス・ステークス(GⅠ)で凡走した今年の2000ギニー馬マクフィ Makfi の巻き返しも見所の一つです。

GⅠ戦11勝目と去年に続く連覇を目指すゴールディコヴァが13対10の1番人気。パコ・ボーイが14対5で続き、2000ギニーはフロックとの見方もあったマクフィは22対5の3番人気に落ちていました。

万全を期すゴールディコヴァのフレッディー・ヘッド厩舎は、ペースメーカーとしてオンリー・グリーン Only Green とセイイング Saying を出してきました。2頭のペースメーカーが予定通りレースを引っ張り、ゴールディコヴァはそのあと3番手に付けます。対するパコ・ボーイは最後方の定位置。

測ったようにペリエ騎乗のゴールディコヴァが先頭に立ちましたが、馬場の所為かいつもの加速が見られません。
ここで襲いかかってきたのが本命をマークしていたマクフィ。無慈悲にもゴールディコヴァを交わすと、そのまま2馬身半差を付けて復活を果たしました。
パコ・ボーイも最後で追い込みましたが、宿敵ゴールディコヴァを首差捉えられず3着。そのあとは6馬身の大差が付いてフュイッセ Fuisse が4着という結果に終わりました。

ゴールディコヴァ陣営から敗因についての説明はありません。ヘッド師はただ、“より強い馬に負けただけ” とのコメントです。
このあとはムーラン・ド・ロンシャンに使い、最終目標であるブリーダーズ・カップ・マイル3連覇を目指す予定。

勝ったマクフィ、2000ギニーではペリエ騎乗でしたが、ペリエはゴールディコヴァの主戦騎手であるため、今回は新しいパートナーとしてクリストフ・スミオンが騎乗していました。
スミオン騎手、この勝利に感激し、“シー・ザ・スターズの再来だぁ!!” と些か興奮気味です。

マクフィは前走7着と凡走しましたが、レース後に喉の感染症が見つかり、敗因もハッキリしていました。マイケル・デルザングレ調教師の復活宣言です。

体調が戻ったマクフィ、クラシックは決してフロックではなかったことを証明して見せました。どんな馬場でも走るタイプで、やはりジャック・ル・マロワかクィーン・エリザベスⅡ世ステークスを使い、ブリーダーズ・カップに向かう由。
今年のチャンピオン・マイラーを巡る争いはますます熾烈を極めてきましたね。

この日はギョーム・ドルナーノ賞(GⅡ、3歳、2000メートル)も行われました。
10頭立て、13対10の1番人気は、前走ダフニス賞(GⅢ)2着のメロン・マルティーニ Mellon Martini 。

しかしこのレースも重馬場が影響したようで、優勝は44対5の伏兵スキャロ Scalo 。2馬身差2着がウェルシー Welthy 、更に1馬身半差3着に英国から挑戦したブラック・スピリット Black Spirit の順。
本命メロン・マルティーニは4着、これも英国から参戦して逃げたサーカムヴェント Circumvent を捉えるのがやっとという結果でした。

ドン尻から一気に急襲して優勝を攫ったスキャロは、ドイツのアンドレアス・ヴォーラー師の管理馬。本国ドイツでGⅢに2勝したあと、GⅡ(5着)とドイツ・ダービー(GⅠ、9着)で凡走し、今回が初の海外遠征でした。得意の重馬場で能力が全開したと看做すべきでしょう。

今回はフランス若手騎手のエース、マクシム・グィヨンが騎乗していました。

ところでフランスから日本関連のニュースが飛び込んでいます。
今年の仏1000ギニーに1着で入線しながら降着処分になったリリサイド Liliside が、ノーザンファームの吉田勝己氏に売却された由。
リリサイドは9月にロンシャンで走った後、アメリカに渡って重賞に挑戦する予定だとか。いずれは日本で繁殖に入ることになるのでしょう。リリサイドに注目です。

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