ヨーク・イボア2010・3日目
3日目のメインはヨークシャー・オークスですが、その前にラウザー・ステークス(GⅡ、2歳牝、6ハロン)から行きましょう。
8頭立ての1番人気(11対8)は、ロイヤル・アスコットのクィーン・メアリー・ステークス(GⅡ)に勝って2戦2勝のマカーシド Maqaasid 。ここも無事に通過してチーヴリー・パーク・ステークスに進めるかが見どころです。
しかし結果は11対1の伏兵、フーレイ Hooray の逃げ切り勝ち。4分の3馬身差2着にマーゴ・ディド Margot Did が入り、2馬身4分の1差3着にリムス Rimth の順。
マカーシドは一旦2番手に上がるも、そこから失速、結局は4着敗退でした。スタートして2ハロン地点で他馬と2度ほど接触するアクシデントがありましたが、それが響いたのかも知れません。陣営では5ハロンより6ハロンに適していると考えていましたから、距離が延びたことが敗因とは思えませんね。
2着に追い込んだマーゴ・ディドもアンラッキーだった1頭。内に包まれて出られず、前が開いた時には時既に遅しの感がありました。
勝ったフーレイはサー・マーク・プレスコット厩舎、セブ・サンダース騎乗。プレスコット師はフーレイについてGⅡに挑戦する素材とは考えていたようですが、勝てるとは思っていなかった様子。有力馬の不運に助けられた感はありますが、師にとっては久し振りのパターン・レース優勝です。
ところでサー・マーク・プレスコットと言えば、我が三浦皇成騎手の英国留学を受け入れてくれた調教師として日本でも馴染の方でしょう。「サー」の称号は、准男爵に叙された父君から相続したもので、父は長年、雑誌「パンチ」で芸術評論に携わり、その功績による叙勲とのこと。
さて本日のメインはヨークシャー・オークス(GⅠ、3歳上、1マイル4ハロン)。何と言っても注目は、新旧オークス馬の対決でしょう。
去年の英愛オークスを連覇したサリスカ Sariska 対、今年の英愛オークス・ダブル制覇のスノー・フェアリー Snow Fairy 。加えて、去年のオークス2着、ブリーダーズ・カップ牝芝とナッソー・ステークスを連覇してGⅠレース3勝のミッドディ Midday の三つ巴と言う豪華版です。
出走馬は8頭。85対40という珍しいオッズの1番人気がサリスカ、スノー・フェアリーが5対2の2番人気で続き、ミッドディは11対4の3番人気という前評判です。
ところが、レースは意外なハプニング。スターティング・ゲートが開いても、本命サリスカがスタートしません。ゲート内で出走を拒否してしまったのです。
そうとは知らない7頭、バーシバ Barshiba が速いペースで先行。ミッドディとスノー・フェアリーは夫々4・5番手に控え、直線の勝負に賭けます。
特にミッドディの手応えは抜群で、ほとんど馬なりのまま先頭に並びかけると、鞍上トム・クィーリーは後方をチラッと見ます。サリスカの位置を確認したのでしょう。
ままよ、ミッドディはそのままスパート、マークして進んでいたスノー・フェアリーに3馬身差を付けて圧勝してしまいました。更に2馬身差3着にスタウト厩舎のエレノラ・デューズ Eleanora Duse が入り、4着にミーズナー Meeznah の順。2~4着は3歳馬が占めましたが、優勝は4歳馬という結果です。
ということで残念ながら女王対決は不発。憮然としたスペンサー騎手(サリスカ)が馬を降り、近くの草を取ってサリスカに与えるシーンが現地のテレビにも映し出されていました。
いずれにしても本命馬のスタート拒否というのは珍しいこと。競馬ファンの皆様も、是非このシーンをご覧くださいな。
勝ったミッドディは、ヘンリー・セシル師の管理馬。師にとってヨークシャー・オークスは、1988年ディミニュエンド Diminuendo 、1998年キャッチャスキャッチキャン Catchascatchcan 、1999年のラムルマ Ramruma に続く4勝目となります。
オーナーのカーリッド・アブダッラー殿下、初日のトゥワイス・オーヴァー Twice Over は惜しくも2着でしたから、ここで溜飲を下げたことでしょう。
一方、サリスカを調教するマイケル・ベル師、ラウザー・ステークスではアンラッキーな2着(マーゴ・ディド)でしたから、この日は厄日だったに違いありません。
ミッドディの目標は凱旋門賞ではなく、ヴェルメイユ賞、オペラ賞、去年に続くブリーダーズ・カップと、いずれにしても牝馬のチャンピオンになる由。
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