4週目のドーヴィル

日曜日のドーヴィルはパターン・レースが4鞍、内2レースがGⅠという豪華プログラムです。

先ず、秋のヴェルメイユ賞のトライアルと位置付けられるノネット賞(GⅢ、3歳牝、2000メートル)から。1952年に創設された当時はロンシャン競馬場で行われていましたが、1980年からドーヴィル競馬場に場所を移して行われている一戦です。

6頭と少頭数ながら、ゴール前では3頭が並んでゴールする大接戦。7対5の1番人気に支持されたリリー・オブ・ザ・ヴァレー Lily Of The Valley が頭差で逃げたコントルダンス Contredanse を差し切っての優勝です。(Lilly じゃありません)
これも追い込んだザゴラ Zagora が頭差3着の順。

リリー・オブ・ザ・ヴァレーはジャン=クロード・ルジェ厩舎、クリストフ・スミオン騎乗。ロジェ師は1999年、2005年、2006年に続いてこのレース4勝目、スミオン騎手は2002年に次ぐ2勝目となります。

ガリレオ Galileo 牝馬のリリー・オブ・ザ・ヴァレー、今シーズンは負け無しの4連勝で、前走クロエ賞(GⅢ)に続いてGⅢ2連勝。ルジェ師によれば、同馬はGⅠクラスの逸材で、次はオペラ賞を目指すとのことでした。

次は、フランスの2歳戦最初のGⅠレースとなるモルニー賞(GⅠ、2歳、1200メートル)。
11頭立ての1番人気(13対10)は、イギリスからチャレンジしてきたハノン厩舎の無敗馬リブランノ Libranno 。ジュライ・ステークス、リッチモンド・ステークスとパターン・レース連勝中のチャンピオンです。

しかし、リブランノは好位置に付けながら最後の1ハロンでの伸び脚を欠き、6着に敗退してしまいます。
優勝は現地のオッズで131対10のドリーム・アヘッド Dream Ahead 。1馬身半差2着にティン・ホース Tin Horse 、首差3着がポンテヌオーヴォ Pontenuovo の順。

勝ったドリーム・アヘッドはデヴィッド・シムコック厩舎、ウイリアム・ビューイック騎乗。シムコック師はこれまでGⅢ優勝が最高の成績で、GⅠは初制覇となります。
またビューイック騎手は、前日シカゴでドビュッシー Debussy をシカゴ・アーリントン・ミリオンで優勝に導いてきたばかり、二日連続のGⅠ制覇となりました。

先月ノッティンガム競馬場の新馬戦を9馬身差で圧勝したドリーム・アヘッドは、これで2戦2勝。どちらかと言うと重い馬場を得意とする同馬は、火曜日にヨーク競馬場で行われたアコーム・ステークスを取り消してこちらに回って来た経緯があります。
この優勝により、来年の2000ギニーに16対1のオッズが出されました。
一方で、期待を裏切ったリブランノを2000ギニーのリストから外すブックメーカーもあるほどです。

続いてもGⅠ戦のジャン・ロマネ賞(GⅠ、4歳上牝、2000メートル)。伝統あるモルニー賞に対し、こちらは2004年創設の新しいレース。GⅠに格上げされたのも去年のことで、GⅠ格としては未だ2回目の一戦です。

8頭立て。4対5の1番人気は、去年の仏オークスとヴェルメイユ賞に勝ったスタチェリータ Stacelita 。陣営としては、前走ナッソー・ステークス(GⅠ、ミッドディ Midday の2着)からあまり間隔の無いローテーションに多少の不安があったようです。

レースは、ブロード・ミーティング Broad Meeting が逃げてスローペースに落としましたが、ペースが遅いのを見て素早くクリストフ・スミオン騎手はスタチェリータを2番手に押し上げます。
この判断が奏功し、スタチェリータは追い込むアンタラ Antara を頭差抑えて優勝。1馬身差3着にブロード・ミーティングが逃げ粘りました。

スタチェリータはこれが四つ目のGⅠ制覇、11戦8勝の高い勝率となります。調教するジャン=クロード・ルジェは、このあとはカナダ(EPテイラー・ステークス)から香港に転戦する意向のようです。

ルジェ/スミオン・コンビは、ノネット賞に続きダブル達成。

最後はステイヤーのためのケルゴレー賞(GⅡ、3歳上、3000メートル)。8頭立ての1番人気(9対5)は、前走モーリス・ド・ニエイュ賞(GⅡ)に快勝したブレク Blek です。

しかしブレクは3着まで。優勝は19対10のアメリケン Americain でした。中団の内を進み、ゴール前150ヤードで先頭に立つと、マニガー Manighar の追い込みを短首差凌いでの勝利でした。2馬身半差3着がブレク。

アメリケンはアラン・ロワイヤー=デュプレ師の管理馬で、ジェラール・モッセ騎乗。このコンビは1996年のカッサーニ Kassani に続く2度目の勝利となります。
同馬のパターン・レース優勝は、2009年のヴィコンテス・ヴィジエ賞(GⅡ)以来のもの。次はメルボルン・カップへの遠征が検討されているようです。

ケルゴレー賞で2着したマニガーは、イギリスのルカ・クマニ厩舎、キーレン・ファロンの騎乗。このコンビはノネット賞のコントルダンスでも僅かの差で惜敗しており、惜しい所で栄光を逃す厄日に当たっていたのかも知れません。

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