仏オークスに新星誕生か

昨日のロンシャン、パターン・レースは3鞍でした。この所パリ地区はかなりの降雨量を記録したようで、ロンシャンも重い馬場。公式発表以上に力の要る馬場になっていたようです。それが結果にも大きく影響しています。
まずヴィコンテッス・ヴィジエ賞(GⅡ、4歳上、3100メートル)はフランス長距離路線の一戦ですが、アスコット・ゴールド・カップ選抜戦の意味もあるレース。1859年創設ですが、かつてジャン=プラ賞として知られていたもの。現在のレース名は1985年から使われています。
8頭立ての1番人気(6対4)は去年のゴールド・カップ3着のコースタル・パス Coastal Path 。
しかし馬場の影響を受けたのか、7着ブービーの大惨敗、勝馬からは26馬身も離される始末。
勝ったのは66対10に支持されたアメリカン American という馬で、アンドレ・ファーブル厩舎、オリヴィエ・ペリエ騎乗で2着ポワンティリスト Pointilliste に1馬身差で優勝。3着は頭差でカドラン賞に勝ったバンナビー Bannaby 。
アメリカンとポワンティリストは前走で逆の着順でしたが、今回は逃げるポワンティリストをアメリカンが差し切っての雪辱。
1~3着の馬、惨敗のコースタル・パスも目標はアスコット・ゴールド・カップとのこと。
二つ目は仏オークスに向ける最後の重要なトライアル、サン=タラリ賞(GⅠ、3歳牝、2000メートル)。1960年創設の新しいレースですが、同じ位置付けだったリュパン賞(同じくGⅠだったダービー・トライアル)が廃止されたのに対し、こちらはトライアルとして健在です。ただし、このレースから仏オークスを連覇した馬は、1998年のザインタ Zainta 以降出現していないのが気になるところ。
今年は7頭が挑戦しましたが、13対10の圧倒的人気を集めた無敗馬スタチェリータが他馬を寄せ付けず圧勝。オークスに向けて新星が誕生しています。
その勝ち方は、スタートで先手を取ってそのままブッチギリ、追ったところなし、ルメール騎手も後ろの音が全く聞こえず、間違ってスタートしたのかと思ったほど。
昨日の東京でウオッカが圧勝しましたが、あれを想像すればよろしい。ビクトリア・マイルは英競馬新聞でも大きく取り上げられています。↓
http://www.racingpost.com/news/horse-racing/tokyo-japan-stunning-success-for-vodka-in-victoria-mile/187265/international/
スタチェリータの2着は6馬身遅れてアーティクル・レア Article Rare 、3着は更に2馬身半でアナ・アメリカーナ Ana Americana 。
勝ったスタチェリータはこれで4戦4勝。モンスン Monsun の産駒だけに距離不安は全く無いでしょう。
調教師ジャン=クロード・ルゲさん、サン=タラリー賞は6年間で4勝目。騎手ルメールも2007年から3連覇となります。
それにしても今年はルゲ軍団の快進撃が止まりません。フランス1000ギニーも1・2着独占でしたが、この日のもう一つのGⅠ戦も制してダブル達成です。
イスパハン賞(GⅠ、4歳上、1850メートル)は1873年創設の伝統ある古馬の中距離戦。今年は9頭が出走し、断然の注目を集めたのがヘッド厩舎のゴールディコヴァ Goldikova 。去年のブリーダーズカップ・マイルの覇者ですね。ペースメーカーにセレブリッシム Celebrissime を出走させて万全です。
ところがどうしたことかゴールディコヴァは大惨敗、7着という着順もさることながら、ペースメーカーからも6馬身半、勝馬からは10馬身も遅れる結果。
騎乗したペリエは、敗因は馬場でも距離でもない、とコメントしていますが、ヘッド師は馬場を敗因として譲りません。
イスパハンを制したのは、前述の通りルゲ厩舎/ルメール騎手のコンビ、ネヴァー・オン・サンデー Never On Sunday 。日曜日でも快勝です。
2着は1馬身差でグリ・ド・グリ Gris De Gris 、3着は2馬身半でランナウェイ Runaway の順。ペースメーカーは4着に粘り込みました。
イギリスからクマニ厩舎のカーテン・コール Curtain Call とゴスデン厩舎のタジーズ Tazeez も挑戦していましたが、夫々6・9着と敗退。
カーテン・コールは馬場状態に加えて13日間で2戦というローテーションが響いたのかも。
追記:
イスパハンに勝ったネヴァー・オン・サンデー、その父はサンデー・ブレーク Sunday Break と言い、日本産馬なのですね。
父はフォーティー・ナイナー Forty Niner 、母はキャットクイル Catquil 。母キャットクイル自身はカナダ産でイギリスで競馬、1994年に繁殖牝馬として日本に輸入されています。
日本での初産駒が桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯などGⅠ3勝のファレノプシス(父はブライアンズタイム)です。
4年後、1999年に生まれたのが件のサンデー・ブレーク。この馬は日本では走らず、アメリカでクラシック戦線に乗り、ピーター・パン・ステークス(GⅡ)に勝ってベルモント・ステークスでは3着に入着しています。
サンデー・ブレークは日本産馬としてそのままアメリカで種牡馬入り、5年間の供用を経て今年フランスに移籍しています。アメリカ時代の仔ネヴァー・オン・サンデーは、フランス生産界にとって良い宣伝になるでしょう。日本産が脚光を浴びる絶好の機会。
尚、キャットクイルの2004年産馬ヴィクトリアアイは現在でも日本で現役、3勝を記録しています。栗東の中竹厩舎所属。

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