ラ・クープ

昨日のロンシャン競馬場では、ラ・クープ(GⅢ、4歳上、2000メートル)が行われました。ラ・クープ La Coupe とは英語のカップ Cup のこと。
このレースが創設されたのは1865年のことですが、優勝の記念にカップが贈られたことがレース名の由来です。つまり当時は優勝杯そのものが珍しかったことの証拠でもあります。

さて今年は6頭が出走してきましたが、注目は何と言ってもスタチェリタ Stacelita 。GⅠに3勝という断然の実績から、ペナルティーの負担重量2.5キロ加算もなんのその、7対10という2倍を切る圧倒的な1番人気に支持されていました。

そして結果も人気、実績を証明するように悠々たる逃げ切り勝ち。逃げ、乃至は先行してそのまま押し切るスタイルはスタチェリタの勝ちパターンで、彼女の実力が最も発揮される戦法でもあります。

2着は1馬身半差で後方から追い込んだコート・カニバル Court Canibal 、3着は2番手を追走し、最後の一歩で短頭差交わされたラシアン・クロス Russian Cross の順。

これでスタチェリタは9戦7勝となります。負けたのは凱旋門賞(7着)と、今シーズン初戦のイスパハン賞(4着)だけ。前走は未だ冬眠から目覚めていなかったんでしょうね、スタートで後手を踏んでハナに立てませんでしたから。

スタチェリタは、昨秋のヴェルメイユ賞ではダー・レ・ミ Dar Re Mi に差されたものの同馬の失格で勝利を手にしていましたから、先頭でゴールを駆け抜けたのは去年の仏オークス以来、ほぼ1年振りのことでした。

勝ちパターンを思い出したスタチェリタ、次走はグッドウッドのナッソー・ステークスだそうで、最後はブリーダーズ・カップ・牝馬ターフを狙う由。

スタチェリタはジャン=クロード・ルジェ Jean-Claude Rouget 厩舎、クリストフ・スミオン騎乗。

ところでルジェ師は、最近になって漸くウィキペディアにも掲載されるようになりましたが、フランス競馬のメッカであるシャンティーの調教師じゃありません。シャンティーがフランス競馬の中心だったのは既に過去のことで、昨今はプロヴァンスに本拠を置く調教師の活躍が目立ちます。アレックス・パンタル Alex Pantall 然り、エリック・リボー Eric Libaud 然り。

ルジェ厩舎の本拠地は、南仏のポー Pau 。スペイン国境のピレネー山脈の麓に位置する町で、師は年間で150回も飛行機を利用するのだとか。5台ある馬運車の走行距離は、全て8千キロを超えているとのこと。
ルジェ厩舎にとっては、シャンティーやロンシャンに遠征するのと英国本土に出掛けるのとに大した差はありません。南国ポーの暖かさが、馬の能力をフルに引き出していることは間違いなさそうです。

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